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82てぇてぇ『ガガとそーだってぇ、てぇてぇんだってぇ』

【加賀ガガ視点】



『ががががぎぎぎぎぐぐぐぐげげげげごごごご! やっぱり一番、ガガ強―い! うぃーっす! 加賀ガガでーっす!』

『みんな一緒に楽しみたそーだ? そーだよ、そーだがそーしてあげる。楚々原そーだです』


今日はそーだとのコラボ配信。

やっぱり昔から一緒だったからそーだとのオフコラボはめっちゃやりやすい。

やってて楽しいし、そーだの包容力が凄いから、アタシがヤバそうになるとすぐラインを引いてくれる。そういうちゃんと守るべきところをしっかり見てるところ、すごいなって思うし。そのうえで、ガガを暴れさせてくれてる。


しかも、ガガの好きなゲーム対戦配信。


『はっはっは! 今度こそガガガチ勝ち!』

『は~い、よくがんばりまちたね。よちよち』

『はあ、ガガ、ガキじゃねーんだけど!』

『ガガガキでしょ、クソガガガキ』

『クソガガガキじゃねーし!』


基本ゲームでは圧倒的にガガが有利なんだけど、心理戦ではマジでそーだは強すぎる。

今日のゲームは読み合いが重要だからなかなか勝てなくて悔しい。

悔しいけど、楽しい。そーだはいつでもルールを守ってやってくれるから。

正々堂々やったら負けても楽しい。悔しいのは悔しいけど。

あんだけメンタル雑魚だったあの頃が懐かしい。


ほんとに、こっち来てよかったね。




あの頃、アタシは罪悪感で押しつぶされそうだった。

自分が入った事務所のタレントの弟があの人だなんて運命じゃん! とか思って浮かれてた。

だけど、その後、残ったそーだの配信を見て、ツラくてツラくて仕方なかった。

そーだがこんな配信やりたいはずがないって。

アタシが本当は守っていけなきゃいけなかったのにって。


連絡したけどいっつも既読スルーされて。

そして、あの日の配信。アタシの配信の直前だったけどギリギリまで見ようと思って。

ヤバいって思った。親友だったアタシだから分かる。

そーだの今まで見たことないようなヤバさ。


スマホが鳴る。

あり得ないけど、そーだかと思って、手に取ると……センパイだった。

センパイ! センパイ! センパイ!

泣きそうになりがらセンパイに伝えなきゃと思って電話を取ると、いつもなら、ゆっくり穏やかなに話しかけてくれるセンパイが焦ってた。


『ガガ!』

『もしもし……先輩?』


びっくりするくらい自分の声がかたいことに気付く。

それより、もしかして、センパイも配信を見てたのだろうか。


ずっとアタシ達を見てくれてたセンパイだ。何か感じるものがあったのかもしれない。


『頼む! ガガ! 教えてくれ! Vtuberファンとして失格なのは承知の上だ! アイツの! 楚々原の家の住所を教えてくれ!』


センパイ……!

色んな感情が溢れて泣きそうだったけど、今はそんな時じゃないぞ! 泣くなバカガガ!


『……うん! お願い! 先輩! あの子、多分やばい! あの子を助けてあげて! 先輩なら、きっと!』


そして、じっと祈りながらそーだの配信を見つめる


そして、一番見たくない最悪の瞬間。


そーだが一瞬止まって、急に泣き叫びだした。


『ごめんね~、アタシさ、アタ、アタシ……私、ごめんなさいごめんなさい!』


そして、また止まって。


『もう、消えるので許してください』


やだやだやだやだやだやだやだ!


やだよ、そーだ!


そーだがいなくなるなんて! やだよ!


そーだはアタシみたいにかまってちゃんじゃない。

こういう時は真面目に本気でガチな時だ。


そして、画面でカクリと魂の抜けたような身体とバタバタと走る音と、ガラって多分窓の開く音。


全身に細長い鉄の糸をぶっ刺されたようないやな感覚。


アタシも。


しにたくなった。


でも、


『聞いてくれえええええ!』


遠くから、あのひとの、声がした。


『俺はっ! お前を応援してる! 色んな事に悩みながら! それでも一生懸命頑張ってるお前を、俺は! 俺は! 応援してるんだああああああああああああああああ!』


……ばかだな。ばぁか。かっこよすぎかよ。


そして、センパイはやっぱりヒーローだった。

そーだにとって。そして、アタシにとっても。


アタシをいっつも動かしてくれるんだから。

そして、アタシはワルプルギスで声かけられる人みんなに声を掛けて、配信でもスペースでもなんでもいいから今色んな意味で話題になってる楚々原そーだって子に応援メッセージを送って欲しいと頼んだ。

当時まだ他事務所のタレントであるそーだを応援しろなんてめちゃくちゃだと思う。

その上、いきなり配信したと思ったら叫んでるし。


『楚々原そおおおだあああ! 聞こえてるか! お前ぜったい死ぬなよ! お前は! アタシのライバルだかんな! がんばれV!』


馬鹿だ。

でも、アタシはクソガキガガガキだから、それでもいいやと思った。


そーだを失うくらいなら、ガガは死んでもいいって。

マネージャーや社長にはめっちゃ怒られたけど、ちょっと褒められた。


人としてよくやったねって。

はじめてかもしれん。そんなこと言われたの。




ほんとうに、こっちに来れてよかった。


目の前の柔らかく笑うそーだを見てガチでそう思った。


配信が終わって二人で終わったとの反省会。

まとめたら先輩に見てもらうから、バンバン出す。

あの人はどんなに出してもちゃんと見て遠慮なく言ってくれるから遠慮なく言えばいい。

先輩、マジ馬鹿。Vtuber馬鹿。へへ。


「ガガちゃんはさ……ルイジさんに何かアプローチしないの?」


急に来るし。


「は、はあ!? なんで?!」

「ん~、なんでも。でもね、ガガちゃんが正妻で、私が愛人だったらすっごいいいなあと思うの」


いや、思わんし。ごめんちょっと嘘だ。ありなのかもしれん。

だけど。だけど……個人的には、ちょっと、その、独占欲とかある。


そーだがめっちゃにやにや見てくる。腹立つんだけど。

でも、センパイは腹立つけどマジで凄い人だし、やさしいし、フツメンなのにめっちゃモテるし、そーだとかマリネさんとかの美人とかさなぎちゃんとか純情ちゃんとかノエさんとかツノさんとかの気遣いデキる女がいいと思うし。

それに、あんな美人のお姉さんがいる。

ガガなんて、マジただのクソガキだ。だから。


「ガガはさ、こんなだからさ、このくらいで丁度いいんだよ」


そういうと、そーだはちょっと眉間に皺寄せる。かわいいな、おい。


「……わたしはね、やだよ。遠慮しちゃうガガちゃん。そんなのガガちゃんらしくないよ」

「ガガらしいって何よ?」

「……ガガちゃんはね、遠慮なくズケズケと他人のプライベートに入り込んでめっちゃくちゃして、悩んでんのバカみたいって思わせるようなクソガキムーブがガガちゃんらしさ」


真剣な顔で、そーだはそう言った。


「って、誰がクソガキじゃい!」

「ふふ、でも、やっちゃう時もやっちゃった後も、大丈夫かなってちょっと心配そうにしてるネコちゃんがガガちゃんなんだよ。そういうのって、他人の事が良く見えてて、距離感をちゃんととる先輩からすれば、きっと嬉しいよ。実際、ルイジさん嬉しそうだし」


ふーん。

へー。

そっかー。

ふーん。

べつに、いいけど。


いいけど。よくないことがある。


「そーだはどうなのさ? 二番目でいいとか言ってるけど」

「私こそ無理だよ……あれだけ迷惑かけて、都合よすぎるよ」


そーだは、あははと笑ってガガの嫌いな顔する。

やだ。

そーだのその顔いやすぎる。


「そーだのその顔、ガガきらい」

「……もう、ガガちゃんははっきり言うんだから……」


はっきり言う。絶対言う。そーだには遠慮しない。

そう決めてる。

もう後悔したくないから。


「言うよ。アタシはそーだの友達だもん」

「そっか、うん、そっか」

「ガガに言ってたけど、そーだもそーだらしくないよ。腹黒く狙うのがそーだでしょ」

「……バレたか。だから、お傍に置いてくださいムーブして。隙あらばだったのに」

「きったねえ!」


そして、ガガはそーだにしがみつく。

むかつくむかつくむかつく、けど、けど、だいすき!


そーだな、そーだなら一緒もありかもしんない。

いや、やっぱ違うな。

アタシたちはバトってなんぼでしょ。


だから、本気で来なよ。そーだ。

ガガがんばるから。


そして、二人であの人のところに行く。

今日も見てくれたかって、ちゃーんとがんばるアタシたちを見てくれたかって。


「ルイジさん」

「セーンパイ!」

「おう! 見てたぞ、めっちゃてぇてぇに溢れてた。なんか……いろいろ思い出して……ちょっと泣いたわ」


あはははは、大の大人が泣いてやんの。ひひ。

かわいいなあ、もう!

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― 新着の感想 ―
[一言] てぇてぇ 今あるそーだとガガの感情で、過去を思い出して、泣けた。ウテウトのあの叫びでまた、思い出して泣けた。 今回は泣き回か。 いつもありがとうとそばに入れる事が出来る気の置けない友人がい…
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