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ごはんとワルツを  作者: 明石家にぃた
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悪食の定義

そういえばうちの地元に「納豆カルボナーラ」なるパスタがある、イタリアン?の店があるのですが。

わりと美味しかったです。

今度はおすすめメニューだという、二郎系ラーメンも食べてみたいと思います。

「なんか、あったま悪いもの食べたい……」

 こう、名前だけでは味のイメージがわかなくて、食欲がそそられないような奴。

 とんこつバジルトマトのハヤシライスごはんパスタ、みたいな。


 ていうかとんこつとハヤシライスを混ぜるなっていうか、ライスとごはんで頭痛が痛い、みたいになってるし、なんならごはんなのかパスタなのかどっちなの。


 あれ?もしかして今めっちゃ疲れてる?


 んでまぁ、こういうときに限って、おかずになりそうなものは何もないわけで。

 かと言って、疲れていることを自覚してしまうと、買い物に行く元気もないわけで。


「もういっそ、いつもの調味料ごはんで済ましたろか」

 バター醤油ごはんとか。

 マヨ醤油とか。

 塩おにぎりとか。

 ドレッシングごはんとか。

 ごま油とコチュジャンで具なしビビンバとか。

 めんつゆと天かすでたぬきごはんとか。

 ……あ、天かすないか。

 

 そもそも白飯を炊くところから始めねばならない。

 昼にカップ麺を食べてしまったので、夕飯は出来れば麺類じゃない方がいい。


 一応、困ったときの定番ネタであるツナ缶はあるし、塩昆布もある。

 まとめて炊き込んでしまえば、それなりに美味い炊き込みご飯になるのはわかっている。

「でもそうじゃないんだよな……」

 わがままを言っている自覚はある。

 そうこうしているうちに、むしょーにお腹すいてきたことも。


 ご飯を炊く気力を取り戻すためにも、まずはカロリー。

 取り急ぎ、買い置きのお菓子に手を伸ばす。

 チョコレートよりはおせんべい系の方が、なんとなく間食に対する罪悪感が少ない。

 あとそっちの方が、血糖値が急激に上がりにくいとかなんとか聞いた気がするけども、どこでだったか。

 ありふれたおせんべいの中に、柿ピーを見つけ、取り出す。

「……炊くか」

 あたまわるいごはん、と目の前の柿ピーでピンときた。


 おせんべいやおかきの原料は要するにもち米。

 なので柿ピーを白米と一緒に炊き込むと、おこわだかなんだかそんな感じのもちもちごはんになるとかならんとか。

 以前試しにやってみたことがあるが、ピーナッツがゆで落花生のような食感になり、おこわかどうかはわからないが、あれはあれでわりと嫌いな味ではなかった記憶がある。


 とはいえ柿ピーは一袋しかない。

 確かそのときはピーナッツ盛りたさに、二合の米に対して三袋くらい入れた記憶がある。


「ふむ、要はもち米から出来たおせんべ系ならいいわけだ」

 だったらこれはどうだろう、とお菓子ストックの中から歌舞伎揚げを大袋ごと取り出す。

 柿の種と比べると少し甘いが、まぁもち米菓子には変わりない。


「具材は……まぁピーナッツも入ってるし、ツナ缶でイケるか」

 ただし、歌舞伎揚げの風味を損ねないように水煮缶。


 白米は二合。

 柿ピーは一袋。

 ツナの水煮缶は一つ。

 歌舞伎揚げの量は、とりあえずありったけ。

 

「うわー、馬鹿っぽーい」

 炊飯器に入れた白米とツナが見えないほどの、大量の歌舞伎揚げ。

 

 なにこれ意味わかんない。


 柿ピーの炊き込みご飯もなかなかにファンタスティックだったが、これは相当、頭悪そうなメニューだ。


 てゆかなんでこんな未知なシロモノを、二合も炊こうとしてんだ私。

 

「ま、マズくはならんやろ。なったらなったでその時はそのとき」

 

 ひとまず炊いてみよう。

 美味いかマズいかはわからないけどと、私はウキウキしながらスイッチを押す。


 ……と、いうわけで小一時間後。


 米を炊いていたとは思えないほど謎にあまじょっぱい匂いが立ち込める中、炊飯器を開ける。

 歌舞伎揚げはどろどろに溶けていた。

 まぁこれは想定内。

 実際、柿ピーを炊いたときもそうだったし。


 溶けた歌舞伎揚げが全体に混ざるように、ざっくりとしゃもじを入れる。

 匂いだけなら、わりと美味しそう。

「炊き込みご飯の匂いではないけどな」


 愛用のどんぶりに盛る。

 歌舞伎揚げの向こう側に、かすかにツナの香りがする。


「……いざ、実食っと」


 古今東西、甘いごはんというものは存在する。

 たとえば甘納豆がたっぷり入った北海道のお赤飯、海外には牛乳と砂糖で煮たおかゆのような食べ物もある。

 また広義では、丸めてきなこやあんこをまぶした、おはぎやぼたもちなんかもその部類に入るだろう。

 そしてそれらは、人によってはどうしても受け入れられない、悪食に該当するものにもなりうるらしい。


 とりあえず結論から言おう。


「……いや、アリだな」

 炊き込みご飯としては、確かに甘い。

 が、別に気になるほど甘ったるいわけでもなく、せいぜい普通の炊き込みご飯と比べたら甘めだな、という程度。


 まぁよく考えたら歌舞伎揚げの味は、広い意味では和風の煮物の味付けと大差ない。

 日本人にとっては、そこまで逸脱した味付けというわけではない。


「なんかもっとやばい感じのを想像してたのに、拍子抜けだったな。

……やっぱり、とんこつバジルトマトのパスタとか作るべきだったか」

 どうやって作るか知らんけど。


 まぁ今日のところはコレでヨシとしよう、と。

 私は再び、甘い匂いの立ち込める炊飯器へと向かった。

歌舞伎揚げって、たまに食べると止まらなくなりますよね。

しかしアイツ、思ったよりもカロリーが高いので太るのが心配……まぁお菓子とはいえ揚げ物だしな。


次回更新は3/25です。

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