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ごはんとワルツを  作者: 明石家にぃた
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振り回すには大きすぎ

今気づいたけど、すたこらぴゅー、って死語ですよね。

これだから昭和生まれは……

「……とりあえずめんつゆと根菜類」

「はいっ!」

 わんわん。

 レンタルしたキッチンスタジオの入口。

 野菜売り場の辺り。


 スーパーの入り口付近がたいがい野菜売り場な理由は諸説ある、らしい。

 野菜を一切使わない献立はあまりないからとか、栄養学的にいっぱい食べて欲しい野菜を中心に献立を決められるようにとか。

 購買意欲があるうちに、お高い野菜をカゴに入れて欲しいからとか。


 とはいえどんぶりごはんに漬けマグロドーン、焼いて塩振っただけの肉ドーン、のような、男飯じみたことばかりやっていると、野菜コーナーをしっかり見ることは少ない。


 ……いや、野菜は好きなのよ。


 単身者向けの小袋なんかも売ってるけども、アレは普通に割高だし。

 かといってまとめ買いすると余らせて、最悪腐る。

 そうでなくても最近は野菜が高いというのに。

 

 結果、冷凍野菜に逃げる。

 幸いうちの冷凍庫は、単身者用にしては比較的デカいし。

 代わりに冷蔵庫には酒と卵と調味料しか入っていないというカオスにはなるが。

 ……あ、チーズ類も入ってるか。


「持ってきました!」

「ん」

 ぶんぶんとちぎれんばかりに振り回されるしっぽの幻覚が見える後輩が持ってきた人参と玉ねぎを、カートの上に置いたカゴに入れる。

「……めんつゆ、デカくない?」

「その方がコスパ良さそうだったので!」

 気持ちはわかる。

 めんつゆとかしょうゆって、下手すると値段が逆転して、デカい方が安かったりする。


 とはいえ、おそらくさほど料理はしないであろう彼が、二キロ近くあるでっかいペットボトルのめんつゆはさすがに多かろう。


 なんなら私でも持て余すぞコレ。

 ダンベルかこれ。


「……今はまだ、ペットボトルジュースぐらいの奴で十分。

料理が板についたら大きいの買ってもいいと思うけど」

「あっ、なるほど!」


 すたこらぴゅー、と、めんつゆを取り換えに行くわんこ(仮)を見送りながら、野菜コーナーの見切り品に目をやる。


 ……ふむ、束の三つ葉が半額か。

 まとめて買ってって、今日は親子丼にでもしようかな。

 確か冷凍庫に何かしらの肉があるはず。

 豚なら他人丼になってしまうが、あれはあれで普通に美味しい。


 残ったとしても、見切り品とはいえ数日はもつし、明日はサラダやおひたしにしてもいい。

 傷む前に生のまま冷凍しておけば、卵焼きとかに入れても美味しい。

 

 そんなことを考えていたら、ポメもとい後輩が戻ってきた。

 慌てて見切り品の三つ葉をカートの下のカゴに数束ぶち込む。

 こっちのカゴは、私個人の買い物。

 ついでに買い足そうと思っていた人参をひとパック。三本入り。

 

「あとは何買いますか?!」

「……冷凍庫のサイズによる」

 ある程度の大きさがあれば、小分け冷凍できる肉とか冷凍野菜とか買うと便利。

「んー……あるけど使えないですね」

「……どういうこと?」


 いわく。

 冷凍出来る場所は小さいがついている、と。

 だがアイスが数個入っているだけで、あとは霜でおおわれて入らないのだという。

「……冷凍室あるあるだな」

「そうなんですか?」


 お金に余裕があるなら、小さくてもいいから冷凍と冷蔵がわかれてる奴を買うといい、とアドバイスしておく。

「まぁなくても困らないひとは困らないから、それは自炊する過程で必要そうなら検討すればいいと思う」


 私みたいに、冷蔵庫に物入れなさすぎて「冷凍庫と冷蔵庫の大きさが逆になればいいのに」とか考えてる人もいるし。

 ちなみにそういう人は、いっそ保存用に冷凍庫だけのやつを追加で買えばいいと思う。

 うちは置く場所ないからやらないけど。


 後輩が元気よく返事をするのを見計らって、レジに向かう。

 冷凍室が使い物にならないなら、必要以上に買い込む必要もなかろう。


「肉とかは買わなくていいんですか?」

「任せる。冷蔵庫に入る範囲で、消費期限内に使い切れる量にしといて。

買うならひき肉か豚のコマ切れ辺りが安くて何かと便利」

 後輩が男性であることを考慮すれば、まぁ二百グラムもあれば一食分か二食分にはなるだろう。

 後輩はしばらくぽやんとした顔をしていたが、まもなく合いびき肉のパックを持ってきた。三百グラム。

 ……まぁいいか。

 一回に食べる量は人それぞれだし。


「あ、あと米とかパンとか乾麺とかの主食も買っておいて。好きなのでいいから」

「あいあいさー!」


 主食を探しに行く後輩を背にレジに向かう途中。

 私は下段のカゴに、ぽいとピザ用チーズの大袋パックとおつまみ用のミニチーズを放り込んだ。


 時計を見ると、レンタルキッチンスタジオの予約時間まで、まだ小一時間ほど残っている。

 どう手間取るかわからないからと早め集合にしたことを後悔し、私はため息をついた。

すいません、料理ネタが尽きてるのでしばらく後輩ネタ引っ張ります。

お手数ですが、今しばらくお付き合いください。

……次回こそキッチンスタジオ回。


次回更新は1/25です。

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