きっと神さまも見守ってるから
先日、近所(自宅から歩いて3キロくらいのとこ)の神社の例大祭に行ってきました。
お神酒しこたま飲んでカラオケ歌ってきました。
……あれ?もしかして私って意外と陽キャ?
「あ、祭やってる」
仕事帰りの通りがかり。
わりとこじんまりとした鳥居があるのは知っていたが、それほど気にもとめていなかったそこは、びかびかの照明に照らされ、にぎやかに人がごった返していた。
確か、実家の方の馴染みの神社では毎年先週あたりだったような気がする。
例大祭。
子どものころはいまいちピンとこなかったが「要するに神社の記念日」とか「誕生日」みたいなものらしい。
そんな毎年同じ日にこだわらなくても、どうせやるなら週末に合わせてやればいいのに、と思ってはいたが、どうもそういうものではないらしいというのも、知ったのはオトナになってからだ。
「まぁ記念日ならお祝いしないとだよねー、今はご近所さんでご縁があるんだしさ」
というか、さっきからすんごいソースのいい匂いがしててだね。
「とりあえずたこやきと……ビール高いな」
すぐそこのコンビニで買ってきちゃおうかな。缶とはいえ、そっちの方が安いし。
「……いや、祝い事の金に糸目はつけちゃダメでしょう」
決して、プラスチックのカップに注がれたキラキラのビールとふわっふわの真っ白い泡に屈したわけではない。
あと、屋台の前で勢いよくビール飲み干してる知らんおっちゃんが、めっちゃ美味そうに飲んでるからってわけでもない、はず。
いやこれけっこう関係あるわ。めっちゃ美味そうに飲むやんおっちゃん。
たこ焼きは8個入り。
昔に比べればかなり高くなった印象がある。
自分が実家にいたころは、同じ値段で10個買えておつりが来た。
「とはいえ屋台ってだけでなんかこう、そそられるものがあるんだよねぇ……」
チェーン店のたこ焼きも嫌いではないし時々は買うが、それとはまたちょっと違うジャンクさがある。
「さて……たこ焼きとビール、合うかなー?」
まぁほんとはハイボールとかレモンサワーとかの方が合うんだろうけど、だっておっちゃんめっちゃ美味そうに飲むんだもん。
「あー、やっぱ祭ごはんっていいなぁ……」
適当な石段とかに腰かけて食べるのも、こうなんかオツだ。
あとなんか楽しい。
取り急ぎ小腹が満たされたところで、ぐるっと屋台を見て歩く。
ポテトフライ、なんか豆、変な容器に入ったシロップ薄めただけのやっすいジュース、クレープやワッフルなんかは、最近になって出始めた気がする。
食べ物だけではない。
うさん臭さこの上ない、ひもくじだったり射的だったりダーツだったり。あとは金魚すくいとか。
連れて帰っても世話できないからやらないけど。
「……あ、型抜き」
そういえば兄ちゃんが好きだったなコレ。
成功するとなんか景品がもらえるってんで、他のくじとかのゲームそっちのけで、すんごい熱中してた記憶。
あの人、めちゃめちゃ器用だからなぁ……
「難しいのかな、これ」
一応、難易度設定もあるっぽい。
小学生らしき小さな子どもが、どうやらなにかしらを成功させたようでガッツポーズしている。
やってみても、いいかな。
小学生当時はやらなかった。
だって出来ないから。
でも、大人になった今なら。小学生でも出来るなら、大人になった今なら出来るかも知れない。
ごく簡単な、いちばん難易度の低いものを購入する。
ばくばくと鳴る心臓を抑えるように、こくりと唾を飲み……そっと手を伸ばす。
見よう見まねで大まかに余白を割り取り、細かい部分に着手する。が、思っていたほど簡単には削れない。
横ではまた別な小学生がやたらデカい声をあげている。失敗したのか成功したのかは、見えないのでわからない。
ぱき
「あー、ざんねんー」
型抜き屋のおっちゃんが、私の手元を見て小さく声をあげた。
やっぱりだめなんだ。
わたしなんか。
なにもできない。
どうせ。
わたしはできそこないで。
いてもいなくてもいい、いらない……
「あのね、これおいしいんだよ」
知らない女の子が割れた型抜きを拾って、私に差し出した。
「われちゃったら、たべてあたらしいのがんばればいいんだよ」
口に放り込まれたピンク色の型抜きは、素朴な味がした。
「え?これなら慣れちゃえば簡単なやつじゃん」
「おねーさん型抜き初めてなん?」
「コツおしえたげるー」
「ばっか、おまえだってあんまうまくないじゃん」
わらわらと、他のテーブルにいた小学生たちが集まってくる。
賑やかな小学生の群れに囲まれ、気づくと目の前には新しい型抜きが置かれていた。
さっきのより、ちょっとだけ難易度が高い奴だ。
「……出来るかな」
「できるよ!」
力強いたくさんの応援隊に囲まれて、私は再び、針を取る。
ちなみにまだ型抜き未経験です。
でもあの板はちょっと食べてみたい。
次回更新は10/25です。




