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ごはんとワルツを  作者: 明石家にぃた
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いかにもありがちな青

……これ、6月のネタにした方がよかったかも知れない。

でもまぁ6月って、梅雨の時期だし実は湿度とか天気とかであんまり結婚式には向かないって聞いたことがあったりなかったり。

秋晴れの結婚式もいいものですよ?今めっちゃ真夏ですけど。

 どうやら従姉が結婚するらしい。

 結婚する気はない、ってけっこう昔からずっと言ってたわりに、出会って三か月のスピード婚。

 しかも八歳も年下のひと。


 あ、別にそれに対してどうこういうつもりはないんだけど。

 

「そうなると……呼ばれるよなぁ」

 昨今は結婚式をあげない夫婦も増えているとはいえ、本人たちの意思はさておいて、親族の手前、簡易的でも式をあげざるをえない、みたいなパターンも少なからずあるとかないとか。

 うちの同僚にも、今後のことを考えると写真だけのつもりだったのに、結局親族に押し切られ、妥協案として親族だけの簡易的な式をあげたという家もあった。

 

 で、その従姉。

 どっちかというとサバサバ系というか男前な雰囲気の彼女は、どちらかというと結婚式反対派のように思われた。

 なんならドレスよりタキシード着たがりそう。


 とはいえ、その妹さんが数年前にけっこうしっかりした結婚式をあげていたので、伯母さんの性格を考えると「姉妹で同じように」と考えていてもおかしくはない。

 そうなれば、ほぼ十中八九うちの家族も呼ばれるだろう。

 新婦の意思はどうあれ、式をやるのかやらないのかがまだわからない以上、一通り用意しておくに越したことはない。

 

 同じ冠婚葬祭でも、葬式に関しては「(死ぬのを)準備しておいたと思われないように」あらかじめ用意するのはよくないそうだが、その理屈でいけば結婚式はむしろ「(楽しみで)準備しておきましたぁ!」がまかり通る、ということになる。


「あんとき着たドレス……そのときに確かこっちに持ってきてたはずだけど、どこにしまってたかな」

 ドレス、ネックレス、ストール、あと必要なのは靴か。


「あ、そういえばそのとき、めんどいからってメガネで行って怒られたんだった……ということはコンタクトも用意しておかないとか」


 別にフォーマルの際はメガネをしてはいけない、というマナーはないはずだが、どうしてもメガネには野暮、というイメージがまとわりついているらしく、冠婚葬祭、とくに結婚式のときのメガネに関して母はあまりいいイメージを持っていない。


「あとでぐちぐち言われてもめんどいし……ありゃ、コンタクト切らしてら」

 こういうときのために買っておいたワンデータイプのコンタクトレンズが、ちょうどなくなっていた。

 そういえば先日、ソロで映画見に行くのにコンタクト使い切ったっけ。


「だってメガネだと涙でぐっちゃぐちゃになっちゃうし……んー、どうせなんかしらで使うだろうし、買い足すかー?」


 使用期限は切れてないとはいえけっこう買ったの前だし、いちど診察した方がいいかもしれない。

 ちょうどメガネのフレームも歪んできていてそろそろ買い替えの時期だから、ついでにメガネの処方箋ももらいに行こう。


 というわけで翌週。

「コンタクトげっとー」

 思い切ってふちアリにしてみた。

 もちろん透明なやつと比べて値段はその分あがるが、まぁそれほど頻繁に使うものでもなし、ちょっとした贅沢という奴だ。


 ちなみに、度数はちょっと落ちてた。

 深夜にスマフォでマンガ見まくってるのが祟ったのかも知れない。


「というわけで今日は、目にイイもの食べていこうねー」


 というのは建前で、実際は眼科の帰りに寄った普段行かないスーパーで、サーモンとまぐろの切り落としが安く買えたから。あとアジの刺身。

 なんなら数日前から仕込んである、卵黄の醤油漬けも載せちゃう予定。

 あぁ、なんて背徳的なごはん……!


「お刺身はねー、おさかなに含まれるなんちゃらこんちゃらって成分で、なんかとりあえず目にいいっぽいからねー」

 

 ……言い訳が適当すぎる?いいんだよ細けぇこたぁ


 半額シールの貼られた刺身の切り落としとアジの刺身を、ぽいぽいと手近なジッパー袋にぶち込む。

 酒、としょうゆ、あとごま油。

 分量は、なんかだいたい。


 時間は三十分から小一時間。


 漬けている間に、タンスから発掘しておいた結婚式の列席用のドレスを手に取る。

 深いブルーのフリルワンピース。

 五年くらい前の同僚の結婚式のときに着ていくものを探していて、うっかり一目ぼれしたものだ。

 アラサーが着るには少々丈が短すぎると母に指摘されたが「結婚式に出る用なら、サムシングブルーってことで」とごり押ししたお気に入り。

 今回もサムシングブルーを意識、というか言い訳にし、これを着る予定。

 他にドレスを持ってないから、というのもあるが。


 結局、従姉は式を挙げることにしたらしい。

 ウェディングドレスなんて柄じゃない、と散々ごねたが、結局は義理の家族になだめられてしぶしぶ式を挙げることを了承したそうだ。


 式は再来月。

 旦那さんも地元はこっちの人だそうなので、式は近場であげるという。


「化粧は……とりあえずはいいか。今ちょうどコンタクトだし」


 コンタクトの処方箋を取るときに購入予定のレンズの試着をしたため、今日は珍しくふちアリのコンタクトを装着中なのだ。

「いやはや、レンズひとつであんなに黒目おっきくなるとは思わなかった……ふちアリ、あなどれん」

 元々、黒目がそれほど大きくなく、幼少期には目つきが悪いと言われることもあった。

 

 コンプレックス、というほどではないが、幼心に少なからず気にはなっていたらしい。

 鏡の向こうにうつる、少しだけ見慣れない黒目がちな自分にちょっとテンションがあがってしまった。

 

 これなら、少しはマシに見えるに違いない。

 たとえ私が、化粧で誤魔化しきれないほどのブスメガネだとしても。


「……あ」


 前言撤回。

 化粧で誤魔化すどころか、ドレスもまともに着れないデブスメガネだった。


 背中のファスナーがバラ肉もとい腹の肉につっかえてあがらない。

 手が届かないのは家族に頼むとしても、そもそもファスナーがあがらないのは家族にはどうしようも出来ない。


「……ストレッチと食事制限と運動でどうにかなるかな」


 取り急ぎ、炊きたての白飯と冷蔵庫で仕込んである漬けは、せめて今日は半分だけにしよう、と心に決めた。

果たして漬けは美味しく出来ているのか……!

主人公は無事にダイエットにドレスを着られるようになるのか……!(続くかも知れない)


次回更新は9/25です。

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