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ごはんとワルツを  作者: 明石家にぃた
31/52

天使と悪魔の婚姻

ジャンクなものってなんであんなに中毒性があるんでしょうね……

 小腹がすいた。


 休日、珍しく早く目が覚めた。

 ならばちょっと普段はやらないことでもしようか、と、気になって録画したはいいがほったらかしにしていたドラマを見たり、アプリでマンガや小説を流し読みしたりと、ひたすらだらだらしていたのだが、そろそろ飽きてきた。

 

「米はあるから、なんか適当におかず……」

 あまりに空腹すぎるとお腹が痛くなるので、とりあえず夕飯までもつ程度に腹が膨れればいい。

 ので、おかずがなければないなりにバターと醤油とかでもいいし、それすらなければ塩おにぎりにでもしよう。

「白飯は正義」

 冷蔵庫をあけたら、先日特売で思わず大量買いしてしまった豆腐がまだ残っていた。

 ちなみに絹豆腐。

 賞味期限は今週中。


 あとこないだ急におそば食べたくなって買ったときに余った天かす。

 白飯をどんぶりに入れ、天かすをぶちまける。

「天かすどっさり~♪」

 ついでに刻んだネギとかつおぶし。

 これにめんつゆをかけて混ぜれば、一時期ネットでめちゃめちゃ流行った悪魔のたぬきごはん。

 背徳の味。


「あ、いっそ豆腐も乗せるか」

 洗い物減るし。

 おにぎりにするなら水っぽくなりそうな豆腐は入れない方が良いかもだけど、どうせどんぶりで食べるし。

「まぁ不味くはならんやろ」

 天かすもネギもかつおぶしも、冷奴に合うものトップテンには確実に入る具材。

 これで不味くなるようなら嘘である。


 えーい。

 手のひらで四つ切にした豆腐のうちのひとかけを、たぬきごはんのうえに。

 

 残りの豆腐は水と一緒に密閉容器に入れて冷蔵庫。

 水をちゃんと毎日取り換えればこのままでも数日はイケるはずだが、夕飯はこれで湯豆腐にでもしよう。

 

「さてめんつゆめんつゆ~」


 ……私は在庫管理、ってものが出来ないアホの子なのかな?

 

「なんで醤油が二本もあるのに、めんつゆがないのかな?」

 正確にはゼロではない。

 たまごかけごはん一回分くらいは辛うじてある。

 だが、今どんぶりでめんつゆを待ち焦がれているのは、豆腐と天かすだ。

 

 しょうゆでもまぁ不味くはならないことはわかっている。

 だって冷奴にはしょうゆもかけるし。

 豆腐は目玉焼きと同様、多くのポテンシャルがあり、わりとなんの調味料でも合う。


 醤油、めんつゆはもちろんのこと、一時期流行った食べるラー油とかキムチ、納豆なんかも合うし、意外だけど案外イケるのが黒蜜とか。デザートっぽくなる。

 コンソメ顆粒ととろけるチーズ乗せてレンジでチン、ケチャップかけて洋風にしても美味しい。


 たんぱく質たっぷりだし、温かくしても冷たくても美味しい、疲れて食欲がないときにでもつるっと食べられる万能食材。

 まるで清濁全てを微笑みとともに受け入れる、女神か天使のような食材である。


「つまりこれは、天使と悪魔のどんぶり……?」

 

 なんか昔見たアニメーションで、天使と悪魔がおっかけっこしてるのがあった気がする。

 剣の舞だったか、天国と地獄だったか。

 なんか運動会のリレーとかでよくかかってるやつ。


 運動会なー

 足遅いからあんまり好きじゃなかったけど、借り物競争とか綱引きとか、そういう純粋に運動神経だけが求められない競技はわりと好きだった。

 綱引きとか実際ただの腕力だし。

 正直、そっちはちょっとだけ自信がある。他よりマシってだけだけど。


 話が逸れた。

 今提起すべきは、めんつゆない問題である。


「てかめんつゆって作れないのかな……」

 調べてみる。

 いちおう必要な材料はあるのでやってやれないことはないが、さすがにそこまでするのはめんどくさい。

 ちなみに材料は確か、しょうゆとみりんとほんだしと水。


「これじゃ駄目かなぁ……」

 冷蔵庫の片隅で忘れられてたやきとりのたれ。

 材料的にはだいたい合ってる。

 ていうか和風のタレって、ほぼ醤油とみりんで出来てる気がする。

 かばやきのタレとか割り下とか天丼のタレとか。

 

「まぁ不味くはならんやろ」

 さっきも同じこと言った気がする。まぁいいか。

 わしわしとよく混ぜた天かすと豆腐と薬味とごはんの上に、とろりとしたやきとりのたれを垂らす。

 あまりかけすぎるとしょっぱいので、最初はやや控えめに。

 

「……いや、ちょっとむりこれ……」


 悪魔を通り越して魔王だよ。

 天使と悪魔の婚姻によって生まれた、全知全能の魔王だよ。

 

 でもこれ、出来れば酒の〆とかで食べたかった。

 酒の後は塩分と糖分が美味しい。

 

 酒の〆はラーメン派とかお茶漬け派とかパフェ派とかいろいろ派閥があるというが、酒の後は塩分と糖分と水分が不足しやすくなるので、そこらへんを補える〆メニューというのは、実は理にかなっているらしい。

 

 知らんけど。


「湯豆腐にする前に豆腐なくなったりして」

 まぁそれはそれでいいか。


 無理なく食べたいものを作って食べるのが、自炊を続けるコツ。

「自炊ってほど大したもん作ってるわけじゃないけどね」


 とりあえず二杯目はいただきます。


食べるのは好きなのですが後片付けは苦手なので、普段はだいたい、どんぶり片手にこういうエサみたいなもんばっかり食べてます。

(エサ言うな)

毎日三食ちゃんと自炊してるひとマジ神。


次回更新は4/25です。

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