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ごはんとワルツを  作者: 明石家にぃた
29/52

そなた、名は何と申す

先日、友人とシカ(とクマ)を食べに行きました。

美味しかったです。


地元にもっとジビエの店が増えるといいな。

「今日の夕飯はオムライスだな」

 休日の正午過ぎ、頭まですっぽり布団にくるまり人間オムライスになりながら、ついひとりごと。


 いやもう正直に言うと、布団から出るのも嫌なんだけども。


 でもさすがに、昨夜から半日以上こんな状態なもんで。

 さすがにこのままだと人間であることすら忘れそうなので。


 そもそも夜はオムライスにするのはいいとして、昼はどうすんだ、って話なんですが。

 

「食欲、あんまりないんだよなぁ……」


 身も蓋もなく言うと、二日酔いである。

 昨日は映画を見ながら晩酌してて、ついつい食べるのとやわらぎ水をおろそかにしてしまった。

 とりあえず枕元に置いたスポーツドリンクをぐびり。

 

 米は冷凍しているのを使うとして。

 卵もある。

 玉ねぎもあったはず。


 ケチャップ、確かそろそろ賞味期限切れるから使い切りたいんだけど、実はあんまり使わないんだよな。

 オムライスかナポリタン以外に、使う用事あったっけ?

 

「あとはもうちょっと肉感欲しいけど……ツナ缶まだあったかなー」

 サバの水煮はまだあったはずだが、ちょっと解釈違い。


 普段ならあの癖のある匂いとかも味になるのだが、正直それはもっと元気なときに限る。


 今日はこう、もうちょっとあっさり食べたい。


 あっさりを願っておきながら雑炊とかおかゆではなくオムライスを所望している時点でツッコミどころ満載なのだが、まぁそれはともかく。


 ずるぅり、とベッドから這い出る。

 寒い。

 

 でも戸棚にツナ缶があるかどうかだけでも確認しなければ。

 手持ちのスポドリもなくなったし。


 ひとまず冷蔵庫でスポドリを補充。

 こっちはまだ余裕で残っている。


 さて、戸棚。

「……切らしてたか」

 

 残念ながらツナ缶は買い置きがなかった。

 ただし、サバの水煮はあった。

 でも今日はお前じゃない。

 明日の仕事終わりにでも買い足しておかなきゃ。


「なんかこう……他に肉っぽいもの……あ」

 そのうち酒のつまみにしようと思って、半額のときに衝動的に買っておいたものがあった。

「カニ缶かぁ……」

 ちょっともったいない気もするけど、他に使えそうなものはない。

 あ、ホールコーンの缶詰もあった。


「……まぁこれでいいか」

 

 これも魚系といえば魚系ではあるが、少なくともサバの水煮よりはあっさり系といえる。

 ていうかツナ缶も魚だし。

 

「もうひと眠りしよ……」

 

 動けないというほどではないが、決して絶好調というほど元気ではない。

 発掘した缶詰をそのまま台所に放置し、ひとまず身体を休めるべく、寝室に戻った。


 そして、数時間後。


「ふっ、かーーーーーつ!」

 

 昼間から寝すぎてしまっては昼夜逆転してしまうから、と、布団の中で動画見たりマンガ見たりしているうちに案の定寝落ちてしまい。

 それでも翌朝までぐっすり、というほどの体調不良ではなかったためか、2時間ほどで勝手に目が覚めた。


 単にお腹がすいただけともいう。

 確かに朝も夜も食べてないですし。


 とりあえずちょっと早いがごはんの用意をすることにした。

 

 玉ねぎを刻む。皮をむいて芯をとり、ざく切りにしたらあとは手っ取り早くフードチョッパーで。

「これ地味に楽なんだよね……まぁ洗うのはめんどいけど」


 ちなみにもらい物である。

 スライサーなんかももらって使ってみたことがあるのだが、勢い余って指先を切り落としそうになったので諦めた。

 あとアレもなんやかんや、刃を気にしながら洗うのが意外とめんどい。

 

 とりあえずケガの心配が少ないぶん、フードチョッパーの方がいくらかは使いやすいので、最近のみじん切りはもっぱらフードチョッパーである。


「ぶんぶんぶん~、ねぎがとぶ~♪」


 おなべの周りに、たまねぎ散ったよ♪ぶんぶんぶん~、ねぎがとぶー♪


 ……はい、ぶんぶんした玉ねぎをフライパンに入れようとして、思いっきりこぼしましたがなにか?


 ぶちまけたたまねぎをフライパンで炒め、半透明になったらホールコーンを足す。

 そして解凍したごはんをどーん。

 汁気を切ったカニ缶を入れ、さらにざっくり混ぜたらケチャップ。


「……普通にこれだけでも美味そうだな」

 まぁでも、卵もう溶いちゃったし。

 

 溶いた卵にはカニ缶の汁が入っている。

 カニ入りケチャップライスをフライパンから取り出し、皿に盛っておく。

 

 フライパンは、熱いまま洗ってしまうとテフロンが傷むので、キッチンペーパーでざっと表面をふき取るだけにとどめる。


「んでバター、と……うーん、これ、あっさりかなぁ?」


 たっぷりの卵液をフライパンに流しいれ、半熟になるようにぐるぐるかき混ぜながら思う。

 そんなことを考えていたら、失敗した。

 ケチャップライスのど真ん中に、出来た卵を乗せる。


 ……うん、これオムライスじゃないな☆


 そもそもオムライスのオムは包む、という意味らしいので、ライスを包めていない時点でこれはオムライスとは言い難い。ならこれはオンライス。もしくはインライス?

 

 悪いな、私、英語苦手やねん。

 あいあむ、えいごわかりませーん。

 

 あるいはオムレツとライス?

 いや、アイドルユニットかよ。


 せめてもの情けに、オムレツの上にそっと、ケチャップでハートを描く。

 ますます意味がわからなくなった。


「……とりあえず食べるか」

 カニ缶入りのオムってないライスは確かに美味しかった。


 ただ、めちゃめちゃ負けた気はするので、近々リベンジすることにした。

 ……今度こそ、ちゃんとオムってやる。


ちなみに私もオムれないのでスクランブルエッグを混ぜ込んでしまうタイプです。

それもはや、ケチャップ味のチャーハン。


次回更新は2/28です。

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