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ごはんとワルツを  作者: 明石家にぃた
25/52

暑さ寒さは彼岸まで?

私がフルーツだったら寒暖差で甘くなるのになぁ……

なお今回はいつもよりだいぶ短めです。

 ……これはアカン兆候だ。

 なんとなく痛む足とか、髪に触れた首筋が、ぞわりとする感覚。


 確かにここ数日、日が暮れたあとは急に冷え込む。

 日中は、半袖でも汗をかくくらい暑いのに。


「んー、今日はショウガ湯でも飲んで早めに寝るか……」

 今のところ、体温は正常。

 念のため、薄手とはいえ長袖長ズボンの寝間着を取り出す。


 今年は衣替えも、例年より少し早めにしておいた方がいいだろうか?

 とりいそぎ、仕事着と寝間着だけでもぼちぼち入れ替えはじめてもいいかも知れない。


 まぁ暦の上ではもう秋だしな。


 今朝もわりと空気が冷えていたことを思い出し、脳内だけで今後の予定を立てる。

 とりあえず、明日の仕事はTシャツの上に、いちまい余分に羽織って行こう。

 日中暑かったら脱げばいいだけだし。


「ええと、片栗粉はまだある……っと」

 お湯を沸かしながら、愛用のマグカップに片栗粉とチューブのショウガを適当に入れる。

 少量の水で片栗粉を溶かし、よく混ぜる。

 ほんのり白く濁った水溶き片栗粉に、ショウガの黄色が金箔のように散って、心なしか華やか。

 

「ショウガ湯、とはなんか違うんだけど、なんかこっちの方があったまりそうな気がするんだよねぇ……」

 沸騰したお湯をその中に勢いよく流し込むと、ショウガ混じりの白い液体が、まるで入道雲のようにぶわっと大きく膨らむ。


 お好みで砂糖を入れて出来上がり。


 いわゆるくず湯もどき……花練りの応用である。

 ショウガが入ることでより身体があったまる、本来ならば冬仕様。

 もしくは風邪のひき始めを感じた今日みたいな日にぴったり。


 そういえば、漢方には〝乾姜〟と呼ばれる蒸して火を通して乾かした方と、生のままの〝生姜〟があり、前者は身体をあたためる作用、後者はどちらかというと身体を冷やす作用があるとかないとか。


「確かにチューブの生ショウガって、そうめんの薬味にするもんな。

身体を冷やす夏の味覚に、温める作用のショウガって意味あんのかな、冷やしすぎないためなのかな?とか思ってたし」


 さて、そうなるとこの〝特製ショウガ湯〟に入ってるショウガは、乾姜生姜どちらの仲間なのだろう。

「使ってるのは生のままだけど、お湯で火が通ってそうな気はするし……でも別に蒸してるわけではないけどお湯の蒸気で蒸されて?」

 

 まぁいいか、美味いし。


 最後のひとくちをスプーンで流し込み、ほこほこの身体のまま布団に入る。

 カップを洗うのは、明日の自分に丸投げする。

 こういう体調のときは無理しないのが肝心。


「明日もこんな感じだったら、仕事帰りに薬とエナドリ買ってこよ」

 そもそも薬ぐらい常備しとけよ、という、世話焼きなイマジナリーフレンドのことは無視して、私は頭まですっぽり毛布をかぶったまま、いつものようにくるりと身体を丸めた。


どうもこの寒暖差で風邪をこじらせたようでして。

早めに治します。


次回更新は10/25です。

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