私の中の情熱
ダイ○ーのフッ素コートのミニフライパンとミニホーロー鍋はひとり暮らしにはすごい便利だと思うんですよ。
基本的にいただけるものは遠慮なくいただくが、さすがに量を考えて欲しい。
そう言えればどれだけ楽か。
目の前にはどーん、と、赤い果実が入った平たい箱が鎮座している。
去年は大根、今年はトマト。
箱に入ったそれは、ざっと数えただけでも十個以上。しかもすっかり完熟している。
……まぁ生でも喰えるし、去年よりはまだ使えるか。
とりあえず手近なひとつを軽く服の裾でぬぐい、かぶりつく。
おお、甘い。
じゅるりと口の端から流れてきた種を手の甲でぬぐい、その辺に置きっぱなしの塩を断面に軽くふる。
味見をしながら数えると、トマトは全部で十五個あった。
今食べてるのも合わせて十六個。
どれもすでに完熟しているから、もってせいぜい一週間といったところか。
「チーズはあるから明日はカプレーゼもどきにでもするとして……オリーブオイルまだあったかな」
本来はモッツアレラだが、刻んだトマトとピザ用チーズを和えてオリーブオイルと塩コショウを振るだけでも、それなりに美味しい。あと酒に合う。
それをさらに餃子の皮に乗せて焼くと、ピザっぽくなって美味い。あと酒に合う。
チューブのバジルとか乗せるともう完全にピザ。
諸々探しながら、ついでにトマトをもういっこ。
今度は砂糖をかけてみる。
元々がわりと甘いのと、ほどよい酸味も相まって、これはこれでデザートみたいで合う。
目玉焼きになにかける論争を聞くたびに思うのだが、どうして食べ物のことで人は争うのか。
何かけたってそれなりにどれも美味いし、気分によって使い分ける、という平和的な解決がどうして出来ないのか。
ああ、きっと戦争がなくならないのはこういうことなのだ。
ちなみに私の目玉焼きはランダム派だ。
しょうゆだったり塩だったり塩コショウだったり、めんつゆも美味しい。
ケチャップやマヨネーズをかけると洋風になるし、なんならよく混ぜてオレンジ色のオーロラソースにしてもアリ寄りのアリ。
個人的に昔よく食べていたのは、マヨネーズを和えたごはんに目玉焼きを乗せ、それにめんつゆやしょうゆをかけて食べる目玉ごはん。
ちょっと七味とかをかけてもぴりっとした刺激が心地いい。
話が逸れた。トマトの消費方法だ。
我ながら、最低限かそれ以上の食材や調味料は常備してあると思う。
賞味期限はおいといて。
ぼちぼち寒くなって来たし、身体があったまりそうなものがいい。
あと、最近太ってきたからヘルシーなもの。
困ったときは冷凍庫か保存食の戸棚。
開けたら大量のブロッコリーが出てきた。
こないだ無性に食べたくなって特売で衝動買いしたものの、食べきれなくて冷凍したやつ。
なお、ちゃんと茹でた状態で小分けになっている。
素晴らしい。
ブロッコリーで身体があったまるものといえば、やはりアレだろう。
なお、エビも合う。
ついでにトマトも入れれば野菜たっぷりでヘルシー。
確か玉ねぎもあるはず。
あときのことか。
手のひらサイズの小さいフライパンに、オリーブオイルを三分の一くらいとチューブのおろしにんにくをどばっと。
そのまま弱火でじっくり加熱する。
合間にブロッコリーとエビを解凍し、トマトとしいたけを適当な大きさに切る。
玉ねぎは小さめのものを根元を残して四つ切に。こうするとばらけない。
やっべ、調子に乗って切りすぎた。
フライパンに入りきらない。
まぁいいか。
オリーブオイルがくつくつしてきたところで、きのこと玉ねぎを入れる。
あと七味唐辛子。
そのままほったらかし。
ついでに両手鍋でお湯を沸かす。
塩は適当に。
いまいちこの塩の意味がわからないけど、なんか入れた方が美味しい気がする。
沸いたお湯に、パスタを一束と半分をぽーい。
そうこうしてるうちに玉ねぎがくったりしてきたから、トマトとブロッコリーとエビを投入。この辺はすでに加熱してあるか生でもイケるやつだからオイルを和えるだけでオッケー。
仕上げに軽く塩コショウ。
よっし、野菜とエビのアヒージョもどきの完成。
赤と緑で彩りも鮮やか。
本来はニンニク刻む、とか鷹の爪を輪切りにして~とかあるけど、そんなしちめんどくさいことしてらんないので簡易的に。
これでも案外イケるんだわ。
アヒージョは情熱の国、スペインの料理だからね。
恋は勢いが大事ってなもんよ。
そんな恋、したことないけども。
それにしてもめっちゃ酒に合いそう。
でも昨日飲みすぎたから今日は休肝日の予定だったんだよね。
手ごろな酒もないし。
少し固めに茹でたパスタは湯切りして再び両手鍋へ。
出来立てのアヒージョも、ちょこちょこつまみ食いしながらどばー。
くっつかないうちによく和えたら、オイルパスタの出来上がり。
さて、スペインっぽく、赤いランチョンマットでも敷いてみますか。
まぁそんなおしゃれなもん持ってないから、正確にはただのバンダナだけどな!
「そういえば闘牛って、別に赤に反応してるわけじゃないんだよね」
実際のところは赤に興奮しているのは観客の方であって、牛の方は色の判別が出来ないのでひらひらした布の動きに反応しているだけらしい。
わかる、赤くなくても布のひらひらってなんか興奮するよね。え?しない?
「……スカートでも買ってみようかな。ひらひらのやつ」
私は牛ではないけれど。
いつもよりほんの少しでも華やかな柄のスカートをひらめかせたら、何かが少しくらいは変わるかも知れない。
いい変化かどうかはわからないけれど。
酒のつまみをアレンジしたオイルパスタにぐさぐさとフォークを突き刺しながら、ふとそんなことを思った。
ちなみにこのフライパン、一話で玉子丼作ってたやつです。
私はこれでから揚げもします。小さいから油も少なくて済むし、残り物とかついでに揚げながらキッチンドリンカーするの最高。
次回更新は10/25です。




