第33章 フルフルの定義、正体、そして証拠
音はそこで止まった。
「どういうこと?」ジュリアが聞いてくる。
「どうやら、今捕まっているフルフルは、この音水晶を残した者の娘みたいね……」
マドライナが話す。
「でもなんかこのメッセージ変なこと言ってなかった?
自分がフルフルだとか、娘にフルフルの名と?力と記憶だっけ?それを伝えるとか。頭こんがらがりっぱなしなんだけど。」ジュリアはなおも続ける。
「どういうことなんだろう……」
マドライナも戸惑っているようだ。
「そういえばヨウ、さっきイデアルとか言ってたよね?
この音水晶のメッセージにもその言葉出てくるし。」
「ああ。フルフルの種族はなんか、自分より強い個体に忠誠を誓う習性があるらしいんだ。
フルフルによれば。その強い個体をフルフルの種族は『イデアル』と呼ぶとか。」
「うーん。ちょっともう一回聞きたい。マドライナ、もう一回鳴らせる?」
「大丈夫。」
俺たちはもう一回メッセージを聞いた。全く同じ内容だった。
「うーん……やっぱりわかんないな。マドライナ、わかる?」
「わからない」
「多分だけど、『フルフル』って個体名じゃなくて、『称号』みたいなものじゃないの?当主みたいな。」俺が思いつきを口にしてみる。
「どういうこと?」ジュリアが聞く。
「仮に、娘の方をネルネル、父の方を……パパネルネルとすると」
微妙に言いにくいな。パパネルネル。
「パパネルネルが、今までこの世界で暴れていた『フルフル』だった。
しかし誰かに打ち倒され、命からがらここにきた。」
「でも今にも死にそう。
そこで、残りの力を振り絞って、ネルネルに『フルフル』の名と力と記憶とを継承する儀式?とやらを行った。」
「そして音水晶にメッセージを残し、死んだ。
その後ヴァルターと戦ったり、色々あって今捕まっているのは、ネルネルの方だった、ということでは?」
「ああ……」マドライナが口にする。どうやらマドライナは腑に落ちたらしい。
「でも娘の方は人間の侵略は自分がやったって言ってたんじゃないの?」ジュリアが聞く。
「そこは本人に聞かないとわからないけど、『記憶を継承した』ってある。
多分、先代やその前の『フルフル』がやったことと自分がやったことの区別がついていないのか、それとも……」
そこまで話して、ネルネルの必死な表情を思い出した。
「……父の罪を自分が償うつもりなのか」俺は口にした。
「いずれにせよ、このままネルネルが処刑されるのはまずいわ……このメッセージが本当なのか、真実なのかわからないけど、『儀式』で力の継承が出来るなら、フルフルは一匹とは限らないということになるし……」マドライナが続ける。
「そんなことより、ネルネルは無実かもしれないってことじゃない!?だって、人間を襲ったのは親父の方なんでしょ!?そうだとしたら、裁判止めさせないと!」ジュリアが言う。
「戻ろう。この音水晶持って。」俺がいう。
これでネルネルは無実だと認識してもらえるかも知れない。
結構急ぎ足で帰ったが、俺の体力がそんなにあるわけではない。
結局行きとさほど時間に違いはなかった。




