第25章 ザガンとの対決
「主はここに!」フルフルは俺をその場に立たせ、俺を置いてダッシュで城の中に入っていく。
だが入ろうとしたときに、城の壁を破って骸骨巨人が出てきた。
さっきネルネルが投げ飛ばした奴だ。
近い。見上げるような位置だ。
「どういうこと?」俺がフルフルに聞く。
「さっき話していた人間の子どももザガンの操り人形でした。
あれは囮だったのです。」
ネルネルは続ける。
「魔力から見て、おそらくあの骸骨が、本体が入った器かだと思います。
我々が囮を追っている隙に、本体があの巨人に入ったのでしょう。」
「なんとかできそうか?」
「この魔力量からすると、かなり厳しいです。
さっき投げ飛ばした時とは桁違いだ。
主、逃げて頂けませんか。多分主を守り切れない」
「逃がすか!死ね!」
そう骸骨が言ったとたん、上から衝撃を感じた。
骸骨が振り下ろした拳をネルネルが両手で押さえているところだった。
2回、3回と骸骨が拳を振り下ろす。ネルネルはかなり押されている。
なんか出来ることはないのか!
そう考えた瞬間。
一瞬のうちに、どおんという轟音、白い光、吹っ飛ぶ骸骨。
頭が追い付かなくなってきたが、助けが来たのか?
俺から見て左手から絨毯みたいなのに乗ってきている二人が来た。
前がセンデロス、後ろがレオニーだ。
「大丈夫ですか!?」センデロスが大声でいう。
「乗って!ネルネルも!」レオニ―が続いていう。
「逃がすか!」骸骨がこっちに掴みかかってくる!
その時、再度轟音と光がなり、骸骨が吹っ飛んだ。
俺が絨毯に乗る。
ネルネルはいったん躊躇するが、乗り込んだ。
絨毯が高く舞い上がる。おおお……
「よかった!間に合って!」センデロスが言う。
「助けに来てくれたんですね。」俺が聞く。
「ええ。レオポルド3世の居城で轟音やらパニックやら起きているのが分かりましたのでね。」センデロスが言う。
「ヴァルター一行で乗り込んでみたら骸骨と二人が見えたってわけです。
「あの骸骨は何ですか?」レオニーが続けて聞く。
「ザガンが乗り移った体です。
あれをレオポルド3世に乗り移らせてレオポルド3世を若返らせる計画だったとか。
ザガンが言ってましたけど。」俺が説明する。
「あいつに攻撃しているの、ヴァルタ―ですか?」俺が聞く。
「いや、カミラです。巨大なモンスターにぶつける大技が得意なんです、カミラは。」レオニーが答える。
そのとたん、巨人にまた光の束がぶつかった。
光の発するところを見た。
確かにカミラらしき人物が大きい斧をスイングして光を出しているのが分かる。
「センデロス、あれがザガンの本体か分かる?」レオニ―が聞く。
「いえ、おそらく違うでしょう。まだ操り人形にすぎないはず。
ただこれだけ派手に人形を動かせば、本体をたどれます。恐らくヴァルタ―がやってくれているはず。」センデロスが説明する。
「ヴァルタ―は別行動ですか?」俺が聞く。
「そうです。
私たちが二人の救出。ヴァルタ―はこの隙にザガンの居場所を突き止めて、出来ればザガンを倒すという役割分担です」レオニーが話す。
―センデロス、聞こえるか!?
ヴァルタ―の声がした。
「ああ、聞こえるよ。どうした?」センデロスが答える。魔法で通信しているのか?
「城の城壁内部北東の隅に居住用の建物がある。ザガンはそこだ。そこから魔力が発せられている。救世主様は救出できたか?」ヴァルタ―の声だ。
「救出に成功した。ここにいるよ。」センデロスが答える。
「じゃあそこにいるみんなも俺と合流してくれ。そばで合流してその建物に進入しザガンを叩く。」
「了解。」
それから数分後。俺、フルフル、センデロス、レオニ―はヴァルタ―と合流した。
ヴァルタ―が言った建物の近く。
「これは……まずいな。」ヴァルタ―がつぶやく。
我々5人が近づくとその建物が見えてきた。
上から見るよりずっと大きい。
大豪邸だ。
何人か使用人と思しき人物が外に出ている。
骸骨巨人の轟音を聞いて外に出たのだろうか。
「多分これは……レオポルド3世か、その親族の住居です。」センデロスが話す。
「こんな隅にあるの?」俺が聞いてみる。
「まあ領主の住居は領主の好み次第なんで、隅に建てられることもあります。」センデロスが答える。
「どのあたりに気配があるとか、分かる?」俺が聞いた。
「それが、建物一体に気配が散らばっています。ここにいることは確実ですが、どこにいるのか、誰なのかまでは気配では特定できそうにありません。」センデロスが話す。
「入ってみるしかないだろう。骸骨巨人と戦っているカミラもいつまで戦えるか分からないし、もたもたしていればザガンが力を取り戻したりレオポルド軍が我々を捕縛してしまうかもしれない。
時間は味方してくれないよ」
ヴァルタ―が落ち着いた声で言う。このあたりの判断の速さは、さすが勇者。
その後、我々は屋敷の入り口につき、門番に用件を話した。
どうやらここは本当に、レオポルド3世の家族が住んでいるらしい。
「分かりました。どうぞこちらへ。」
門番はあっさり通してくれる。
俺たちは全くの部外者、赤の他人のはずだが……
一階の広間についたところで、突然。
門番が目の色を赤く変えて剣を取り出した。
ヴァルタ―が即座に剣をはじき、手を門番の顔に当てる。
どうやら魔法で眠らせたようだ。
「……囲まれていますね。」ヴァルタ―がつぶやく。
周囲には同じ赤い目をした使用人やメイドがいる。
それぞれ手に剣を持っている。
「どうやら我々を広間に導いたところで、周囲の人間に一斉に魔法をかけたようです。」ヴァルタ―が言う。
「まあ、操られているとはいえ、我々の敵ではないでしょう。」ヴァルタ―がそう言った。
その途端。
俺は頭に強い打撃を受け、意識を失った。
最後に見たのは、ウサギのような生き物のぬいぐるみ。




