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第19章 弁護士、異世界で拉致される

次の日から、ダンジョンの帰路についた。

「帰り道っていつも退屈なのよねえ。ホント、ヨウが言うようなワ―プ魔法とか欲しいわあ……」

ジュリアはそんなふうにぶつくさ言っていた。

気持ちはわかるなあ。俺もワープしたかった……


それでも、行きよりは早く、最下層から5日くらいでダンジョンの入り口についた。

その後、街道に出て、町につながる道を歩いていく。

周りには、旅人や行商と思しき人々が歩いている。何回かすれ違った。

時々馬車も通っていく。


「あと30分くらいでゴ―ルね。いやあ、疲れたなあ……」ジュリアが言った。

「この後どうします?次のクエストとかやるんですか?」俺が言った。

「まあ、とりあえずヴァルタ―が」

そこまでジュリアが言った時。


通りかかった荷馬車から、人の体をつかめるくらいの大きな左手が突然出てきた。


その手はびっくりするくらいの速さで俺をつかみ、荷馬車の中に引きずり込まれた。

すぐに猿轡をかまされる。

「主!」ネルネルの声を聴いた後、俺は意識を失った。




目を覚ますと、檻が見えた。


どうやら俺は牢屋に閉じ込められているようだ。後ろ手にされ手錠をかけられている。

猿轡をかまされていて、話すことは出来ない。

話すことさえできれば、なんとか出来るんだが……


「目を覚ましたか」檻の外から声を掛けられる。獣の頭をしている。二人いる。

両方とも人間ではない。


二人は檻の中に入ってくる。

二人とも大きな斧を持っている。

斬られたら間違いなく骨ごと真っ二つだ。


片方が俺を立たせ、言った。

「前の奴についていけ。妙なことをすれば殺す。」


俺は前の奴についていく。ここはどこだ?どこかの城の中のようだが。


とある部屋の前に来て、前の獣人が扉を開ける。

中にいたのは俺を連れてきたのとは違う魔物だった。


見たことはない。

人間のように二本脚で立って日本の腕があるが、翼は生え、尻尾がある。

角もあった。見た目魔王っぽい。


「猿轡を外せ」その魔王っぽいのは言った。

まだ両隣にさっきの獣頭ががいる。


「関係ないことは一切しゃべるな。関係ないことを喋れば殺す。お前だけでなく、ネルネルとかいうお前の仲間も。」見た目魔王が言う。


「お前があの町で子どもたちを解放していたのか?」

俺は答えない。


「答えろ。俺の質問に答えなくてもネルネルは殺す。」

「そうだ。」俺は答える。

ぼんやりして、俺の頭が回らない。

こいつら誰だ?なんで俺はさらわれたんだ?


「どうやった。」

「魔法で。」

「どういう魔法だ?」

「俺は、拘束されている人間を解放することが出来る。それを使った。」


「……お前が異世界から召喚された人間だな?」

答えるべきか。

一瞬躊躇したが、答えなければ殺される。俺だけでなく、ネルネルも。


「……そうだ。」

「フルフルを倒したのもお前か?」

「……そうだ。フルフルを知っているのか。」

「余計なことをしゃべるな。次はないぞ」


「コイツ、どうしますか」右の獣人が言う。

「まあ、人間の前にコイツを出すとヤバイらしいしな。

コイツ殺しとけば俺の邪魔も入らないだろう。

俺が食うよ。うまくいけばこいつの能力盗めるかもしれないし。」


やべえな、食われんのかあ……俺の魔法はこいつには効かなさそうだしな……

日本の法律が人間を対象にしてるのばっかりだから、基本、俺の法律魔法は人間にしか効かないし。


その瞬間。


ガッシャアアアアアン!!!


右側から窓が割れる音がした。

誰かが窓を割って入ったようだ。

暗くて誰か分からない。


「主!よかった!」その声で、入ってきたのがネルネルだということに気づいた。


ネルネルはこっちにダッシュで駆け寄ってくる。

「止まれ!そいつを殺すぞ!」見た目見た目魔王が怒号を発する。

ネルネルはそれも聞かずに一目散にこっちにくる。


いや、止まってよ。俺殺されちゃうよ?


「首を刎ねろ!」見た目魔王が再度怒鳴る。恐らく俺の両隣の獣人に指示したんだろう。


だが。


ネルネルが何か投げるそぶりをした瞬間、俺の両隣の獣人はバタバタと倒れた。


「よかった!主、御無事ですか!」ネルネルが涙目で俺に話しかける。


やばい、むちゃくちゃ可愛いな。


「お、おう……」対応が遅れてしまった。

「今錠を外します」そういって俺の錠を力業で引きちぎった。

その瞬間、俺は右後ろに跳ね飛ばされた。


気が付いたら、ネルネルにお姫様だっこされていた。

何が起きたのか理解が追い付いていない。


「フルフル、人間の下僕になったという噂は本当だったか。

落ちぶれたものだな」見た目魔王が言う。

右腕が狼の形になっている。

その狼の手で殴りかかったのか。


ネルネルは足から火の玉を出して見た目魔王に向かって蹴飛ばした。

火の玉がサッカ―ボ―ルのようにまっすぐ見た目魔王に向かっていく。


見た目魔王が狼の手で防いだ瞬間、ドォンという重低音とともに爆破し、あたりは煙に包まれた。


「今のうちに逃げます。しっかりつかまって下さい」

そうネルネル=フルフルは言って、すごいスピ―ドで走り出した。

俺は必死にしがみつく。みっともないけど仕方がない。


その部屋を出たら、高台にある城の2階のようなところだった。

外は夜。


そこから一階に向けてネルネルは飛び降りる。

俺を抱えたまま。


「おおぉ……・」俺は情けない声を出してしまう。

高いところはダメなんだ……

怖い……


ネルネルは数メ―トルのジャンプを繰り返し、城壁までたどり着く。


フルフルは10メ―トル以上ありそうな城壁を俺を抱えたまま飛び超え、着地する。


俺はずっと必死でしがみついていた。

気を失いそう。


着地してしばらく、ネルネルは何も言わず俺を抱きしめたままだった。

「よかった……本当にどうしようかと……」そういってネルネルはボロボロ涙をこぼす。


どうしよう。

こういうシチュエ―ション、全然慣れてない。

高いところからジャンプしたばっかりだから心臓バクバク言ってるし。


「う―ん、ありがとう。助かったよ。」

「本当に、主が死んだら、どうしようと……」ネルネルは声まで震えてくる。

泣き方は本当に年相応の女の子と変わりない。


俺はしばらく黙っていることにした。

自分の心臓がバクバク言っているのだけ分かる。



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