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第17章 初めてのダンジョン探索

「いやあ、これはいける!初踏破いける!」ジュリアが嬉しそうに話す。

俺たちは元いた町から一キロくらい南にある遺跡の地下のダンジョンにいた。


ジュリアがいうには、このダンジョンは敵や罠はそれほどでもないが、かなり広く深い。

そのため途中で食料やアイテムが尽きてしまう。

まだ踏破した者がいないとのことだった。


「結構みんな気になっていたのよ。ここ、地下何階まであるのかって。

やっぱネックは食料や物資だから、100人くらいでキャラバン組んで挑んだり、王様が兵士たちを派遣したりしたわ。

でもどっちも途中で物資が尽きて、引き返さないといけなくなっちゃったのよね。道中でもたいして成果がないから、大金はたいてまでこのダンジョンの踏破に挑む人も最近はいなくなっていたの。」


「でもやっぱ気になるじゃない?最下層にはすごい宝物があるかも知れないし、超古代文明の遺産があるかも知れないし。冒険者の間では噂になっていたのよね。」事前の作戦会議でジュリアが話していた。


「そんなに町から離れていないのにそんなのがあるんですね」俺が聞く。前人未踏というと、人里離れたところにあるイメ―ジだったけど。

「そう!でもヨウの能力なら、物資の問題は行けるでしょう?」

「まあ、多分……」


テミスに予め聞いていたが、基本的に根拠法令があってそのために必要な機能なら、根拠法令を魔法として唱えると即時にその施設が備わる。


例えば前に使った農水省一階のレストラン。

その食料を俺たちが食い尽くしても、もう一度農水省設置法2条を唱えればレストランの備蓄は復元された農水省がもう一度出るらしい。

限界もない。

まさしくチートだな。


「ヨウとネルネルの経験値にもなるし、ダンジョンにいる間は追手もこないだろうし、お宝もゲット出来れば一石三鳥でしょ?」ジュリアが自慢げにいう。

ジュリアは表情が顔に出る。


「でも、ヴァルタ―が帰ってくるんじゃ?」俺が聞いた。

「大丈夫。ギルドのマスタ―に伝言していくから。」ジュリアが答える。


「最高踏破記録はどのくらい?」

「地下50階。アティベル国軍が捜索隊を派遣した時ね。」


作戦会議が終わった後、俺が法律魔法で呼び出せる宿泊施設を見せた。

その時見せたのは国家公務員宿舎法10条3号で呼び出した首相公邸。

めちゃくちゃ豪華で、こんなことでもなければ泊まったりできなかっただろうなあ。

まさか異世界に転生して首相公邸に泊まるとは思わなかったけど。


「すごい!これがヨウの国の一番偉い人が住むところなのね!きれい……」ジュリアがうっとりする。

「この建築様式は初めて見ました!興味深いです!」マドライナが興味津々で言う。

国家公務員宿舎法10条には他にもお偉いさんが使う公邸というか、国家公務員宿舎が列挙されているので、しばらくはこの条文で呼び出せる施設で寝泊まりする予定だ。




……ということで、俺の法律魔法で設置できる施設を衣食住の拠点として、このダンジョンを踏破しようということになったというわけ。


道中は基本的に3人にお任せという感じ。というかだいたいネルネルが一人でぶっ飛ばしていた。

ネルネルのファイティングスタイルは基本的に素手の格闘。

力が強すぎて、殴ったり蹴ったりするたびにモンスタ―が吹っ飛んでいくので、見ていて爽快だった。

力入れすぎなんじゃないかとも思ったけど。魔神だからなのか?

「これでも手加減しています」ネルネルは俺に話した。


地下30階あたりから、ネルネル一人では手が足りなくなって、だんだん3人で戦う感じになっていった。


一方、俺は何もできることはなかった。

若干手持無沙汰で情けなかったが仕方がない。

それでもRPGよろしく、経験値は上がって若干レベルも上がり、身体能力その他も少し上がった。

何もしなくても能力が上がるのは便利だな。




……というわけで、今そのダンジョンの地下50階。潜って一週間がたっている。

「この階段を下ると地下51階。最高記録更新ね。覚悟はいい?」ジュリアが緊張した面持ちで伝える。

「大丈夫」マドライナが答える。

「ネルネルは大丈夫か?」

「大丈夫です」ネルネルは答える。

ぱっと見疲れてはいなさそうだが、態度に出しそうなタイプじゃないしな……無理させないようにしないと。


その後も同じようなダンジョンが続いていたが、様子がおかしい。

空いた宝箱があったり、野営をした痕跡があったりしたのだ。

誰かがここに来たのか?


「変ね……ここは前人未踏のはずなのに、誰かがここに来ているの?」ジュリアが話す。

「単に誰にも内緒でここに来た奴がいただけでは?」俺が聞いてみる。

「でもギルドに報告しないと報酬ももらえないのよ?

アティベル国軍でも踏破できなかったダンジョンを踏破できる冒険者がいたら、それはもう有名になっていると思うし。」

そういうものなのか?


「……まあいいか。先いけば分かるかも知れないし。ヨウ、あなたは体調大丈夫?」

「大丈夫。」

「あなたが頼みなんだから、頼むわね」


さらに3日ほど潜った。


ダンジョンは相変わらず単調で、モンスタ―もたいして変わらなかった。

無表情で爽快にぶっ飛ばすネルネル。

ネルネルが打ち漏らしたモンスタ―を剣と蹴り技で器用に撃破していくジュリア。

二人のサポ―トのため慎重に最低限の魔法を使うマドライナ。

何もしないのにレベルだけ上がっていく俺。


……申し訳ない気持ちもあるが、何もしないのが仕事の時もあるしな。


そうして地下72階が終わり、73階に下りたところ、変化があった。


階段を下りた先は今までと違う一本道の直線の通路で、突き当りに人工の建造物が見える。


神殿……かな?


大きな入り口。そこだけ人工的な装飾。


「お、何か意味ありげなのが出てきたわね。」ジュリアが楽しそうにいう。

「マドライナ、何かわかる?」

「いえ……」マドライナは戸惑った表情を浮かべる。


中に入ってみると、中央に祭壇のようなものがあるのが分かる。

中は正七角形になっており、入り口以外の6方向に一つずつ部屋があるように見える。


祭壇には意味ありげな装飾が施された直方体の箱?棺?があり、フタが空いていて、中はカラだった。


「やっぱり誰かが来たのかしらね……最初からこうだったわけじゃない。長いこと放置された後、誰かがフタを動かしたのよ。それからもだいぶたっているみたいだけど」

「埃の積もり具合なんかからすると、数年くらいかな」マドライナが言う。


他の部屋も探索してみる。

やはり誰かが来た痕跡があり、めぼしいものはなかった。


目立つものと言えば、6つのうちの一つの部屋に像があった。悪魔のような翼や尻尾のように見えたが、顔はワニみたいにも見えた。


「これ、何かしら……神様?それとも悪魔崇拝?」ジュリアが言う。

「見たことはないな……」マドライナがつぶやく。

「ネルネル、何か知らない?」ジュリアが聞く。

「さあ。分からない。」ネルネルが答える。


試しにジュリア、フルフル、俺で持ち上げようとしたが、持ち上がらなかった。

どうやら地面とくっついているようだ。


部屋から出る。もう一度祭壇を見てみる。

「マドライナ、ここが何か分かる?やっぱり神殿かしら?」

「う―ん、でも私の知っているどの宗教とも一致しないなあ。専門じゃないから分からないけど……」

「この棺みたいなのに何かいたのかな?」俺が聞いてみる。

「まあ分からないなあ……」ジュリアがため息をつく。


「一応、ギルドに報告すれば、踏破の報酬はもらえそうかな……でもお宝はなかったなあ……残念。」

「あの仏像?何とかして持って帰る?」俺が提案してみる。祟りがありそうであまりやりたくはないが……

「いや、ああいう信仰の対象になってそうな像はうかつに壊すと大変なことになったりするのよ。

予期しない呪いが降りかかったりするからね。」


「まあ帰りましょ。

帰りは気が重いけど、一応、ヨウのおかげで前人未踏のダンジョンの踏破が出来たわけだし。」

「一瞬でダンジョンから出れる魔法とか道具とか、ないの?」俺が聞いてみる。

「そういう空間を転移する魔法は高等魔法で、その道の専門家じゃないと使えないのよ。

道具もあるって聞いたことがあるけど、高くてとても個人では持てない。

だから法律魔法だっけ?それで人をワープさせられるヨウがすごいわけだけど」

ほめられてんのかな?照れるなあ。




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