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物語の神様  作者: 七草 流火
第一章 物語の神様
5/7

第三節 神様の報酬

お待たせしました、第三節です。

キッキーっとブレーキの音を響かせて自転車を止める。

ここは昨日の古本神社である。

「んー、居ない。大丈夫か」

とりあえず昨日の少女は見当たらない。

この神社に来る主な目的は

奉納される報われない物語達を読むことである。

まぁ、神社そのものの雰囲気もかなり気に入ってはいるけど。

マイフェイバリット場所である。


「こんにちはーお邪魔します」

いつものように拝殿に行く。

この神社は一面平積みの本だらけである。

古いのから新しいのまで盛りだくさんだ。


さてどの積み本から手を付けるかな。

まずは積み本で出来た本のタワーというか

本の山を決めないとな。

「ど・れ・に・し・よ・う・か・な。か・み・さ・ま・の・い・う・と・お」

と呟きながら指差す本の山を変えていく

本来は2つのどちらを選ぶかと言う場面で使うのだが

今回は山のようにある本を適当に選ぶ為に使う。

「りぃいいいい!?」

最後の「り」で指が指し示したのは少女だった。

「こんにちわー」

少女に、とても元気よく挨拶をされた。

頭に天使の輪っかがびよよーんとし

背中にはフェルト生地の羽根が生えた

天使な神様少女だった。

「こんにちは・・・」

挨拶は大事である。

挨拶をされたからには挨拶をしなければならないのだ。

「昨日は酷いですよー。あの小説はあなたのじゃなかったじゃないですか」

なにやらプンスカとお怒りの様である。

「いやなに、あれが俺が書いた小説とは一言も言わなかったのだけど」

小説であるとすら言ってない気もするが。

「それはそうですが。催促したときに渡されたら目的の物だと思うじゃ無いですか。

その上渡したらそのまま去って行ってしまったですし」

少女は納得がいってない感じである。

「そういわれてもなぁ。なんだっけ?物語を書けだっけ?」

昨日の記憶を呼び起こしてみる、確かそんなこと言ってた気がする。

「そうですそうです。あなたに物語を書いていただきたいのです。是非に」

強い意志を感じる気迫である。

「あ、うん。無理」

いいかげんこの話に決着を付けないとな。

「ええええ。何故ですかー」 

何やら驚いている。

そもそも書く理由ないじゃん。

「いや、自分の書いた文章に吐き気を覚えるんだよ」

「なんですかその呪いみたいなの、怖い!?」

衝撃的な事実を知ったかのような驚き様だ。

仕方が無いなぁ、もうちょっと詳しく話すかな。

「自分が書いた文章が、普通の文章でも若干気持ち悪くてさ。

小説ともなるとガチで吐きそうになるんだよなー。理由は分からん」

マジで分からん。

「うーん。なんでしょうね?

まぁいいや。

それじゃ小説を一丁お願いしますねー」

(あご)に手を当て何やら考え込んだと思ったら

両手を胸の前でパチリと叩き合わせて合掌をしながら

お願いをしてくる神様天使少女。

「よくねぇよ!?

俺の話聞いてた?

ゲロゲロになるんですけどぉ?」

どうやら人の話を聞いてないらしい少女にツッコミを入れる。

ってか入れざるおえない。

「ゲロぐらい吐きたいだけ吐けばいいのですよ。

私の至高の小説の為とあらば、やむを得ない犠牲なのです」

限りないドヤ顔で言い切りやがった。

「いや・・・普通に嫌だよ。それじゃ」

なんか凄い萎えたのでぐったりしながら言った。

帰ろ帰ろお家に帰ろ。

「ちょっと待ってください。普通に帰ろうとしないでください」

少女は追いすがり引き留めてくる。

既視感があるな。

「よく分からないけど、そもそも

俺が小説書かなければならない理由無いじゃん?」

そう動機がないのだ。全くない。


「あぁ、なるほど。報酬の話をしていませんでしたね」

少女は何かに気がついたとばかり手を打っていた。ガッテンぽーず。

「報酬?? えーと何かくれるのか?」

奇抜な格好におかしな言動そんな相手が何をくれるというのだろう・・・。

恐る恐る聞いてみる事にした。

「えぇ。ちゃんと報酬は支払いますよ。

何が欲しいですか?

私は神様なので与えられるモノの範囲は広いですよ?」

「えぇ・・・」

俺は困惑した。

質問に質問が帰ってきた。

その上、神様に何かを強請(ねだ)れと言うのだ。

「そーいわれてもなぁ。うーん。まいったなぁ」


正直、今まで神様に何かを祈った事はなかった。

神様が居る居ないとかではなく

祈りが必要だと思ったことが無かったのだ。

欲しい物があっても現状で入手困難なモノ、

お金が無かったり、そもそも売ってなかったり。

全然手の届かない範囲のモノ。

それはそれとして折り合いを付けてきた。

困難でも絶対に欲しいモノというのは今まで特になかったのだ。


まぁ、それと(ほか)に問題があるとすれば。

この()(かい)な天使で神様少女が、天使でも神様でも無かった場合。

残りの要素が ()(かい)な少女 というワードになってしまうことだ。

一番可能性が高いのだがその場合は、報酬とやらも

()(かい)なモノである可能性が高い。

怖い。


結論は出た

「報酬とか要らないから帰るわ俺」

関わりたくないという至極まっとうな結論になった。


「そんなぁぁあ。私のハッピー読書計画がぁああ」

頭を抱えながら少女は叫んでいた。

え?ハッピー??計画?。


「あのさぁ。昨日と今日ふつか連続だけどさぁ

もしや明日もここに来るつもりなの?」

今日このまま帰ったとして明日も居るのなら

今ここで逃げ出す事に大した意味がないのである。


「え?来るというか居ますよ。明日もあさってもずっと」

「・・・」

この神社は マイフェイバリット場所である。

毎日のように来て居るが相手も毎日居るという。


「わかった。小説を書くかは分からないけど

詳しい話を聞かせてくれ」

俺は手のひらを返す事にした。

「おぉおおお、その気になられたのですね。

ありがとうございます。やはり神の報酬は効果的ですねぇ」


返す言葉も無い。

俺にも望みができたのだ。


マイフェイバリット場所である古本神社での

一人穏やかな読書の時間。

このプライスレスな時間を守りたいという願望が。

お待たせ致しました。

3話目の投稿です。

前回までは千文字くらいで短いなと思っていたので

次は二千文字にしたいと思っていたのです。

先月末に千文字くらい書いてはいたのですが、

二千文字を超えたのが今日でした。


プロットとかほぼ無くて書き始めてしまったので

先をどうするか暗中模索です。

次はもう少し早く次ぎの項を上げたいです。

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