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物語の神様  作者: 七草 流火
第一章 物語の神様
1/7

第一節 神様の庭で

人生初の小説作品です。

拙いとは思いますがよろしくお願い致します


*後に画像を挿入する予定がありますがスケジュールは未定です

いままで特に神様に何かを願う事は無かったように思う。

日本では神様は八百万で数え切れないくらいいっぱい居るらしい。

それでも自分には縁遠いものであり

日常の中では神社でお賽銭をあげ御神籤(おみくじ)を買うくらいのもの。

それくらいの距離感だった・・・はずだったんだ・・・。


「私は神様ですよ」

出会って間もない目の前の少女はそんなことをのたまっていた。

何言ってんだこいつ と俺は心底思ったが仕方の無いことであろう。

「何言ってんだこいつ」

口にも出ていた。

「あ、えっと言っているのは自己紹介ですよ。

(つかさど)ってるのは"物語"なので 『物語の神様』 ですね」

少女は特に気にした様子も無く自己紹介を続けるのだった。


ここは静岡県浜松市の郊外(こうがい)にある古い神社である。

通称"古本神社"。

人形供養という神社に人形を供養して貰うというのがあるらしい。

ここでは人形では無く『本』

ノートでも何でも何かしらの内容のある紙を束ねたものならば

何でも供養してくれるという有り難い神社である。


家から自転車で行ける範囲にある事と

余りディープでは無いがライトでもない感じで読書が趣味である事もあって

行きつけの神社であった。


いつも通りに神社に寄る、そんな何気ない日常の一幕だった。

しかし今日はとても奇妙な先客がいた。


その少女は黒髪を肩まで伸ばし黒い瞳をしていた。

そして、ゆったりとした白いローブを着て

頭からは針金で支えられた天使の輪っか?みたいなのをビヨンビヨンさせていた。

背中からぬいぐるみの素材でできたような羽根が生えて

手にはとても立派で高級そうな装丁(そうてい)の本を大事そうに抱えていた。

その本には本の題名なのか「人間賛歌」と書かれていた。


なんだあれ・・・。

それ以外の感想が出てこないほどの奇妙さである。

関わりたくないからサッとこの場から離脱しなければ・・・。

間もなく少女は俺に気がついたのかその場から走り出すと

なぜか俺の方に駆け寄ってきた。

「こんにちはー」

この上なく元気で凄く嬉しそうに挨拶をされた。

どうしよう。

逃げるどころか回り込まれてしまった・・・。

「・・・こんにちは」

仕方なく俺も挨拶をする。

「えーと何か用?」

できれば知りたくないが一応聞いてみる

「はい。あなたを待っていました」

「なぜ・・・」

心当たりとか全くないよ?ないない。

「あなたに物語を書いていただきたいのです」

きりっとこの上なくどや顔で少女は言う。

「あー。無理だわ。それじゃ」

別れの挨拶をしたのでお家に帰ろう。

「ちょっと待ってください。いきなり帰ろうとしないでください」

必死にすがりつく少女。

「というか君は誰なんだ?」

さりげない離脱に失敗したので誰何(すいか)することにした。

ここで冒頭のシーンに戻る。

「私は神様ですよ」

「何言ってんだこいつ」

「あ、えっと言っているのは自己紹介ですよ。

 (つかさど)ってるのは"物語"なので 『物語の神様』 ですね」 

「物語の神様?」

神様?物語の??なんだそれ聞いたこと無いんだが

「まぁ物語といっても"人"の物語です。人以外の物語は管轄外なので」

だめだ全くわからない。

「えっと・・・その格好は何?」

「天使です」

「神やないんか・・・じゃぁその本は?」

「聖典です」

「それ人の持ち物やん」

格好がおかしい・・・言動がおかしい。

全部おかしい。

「それで聖典を持った天使な神様は俺に何の話を書けと?」

聖典を持った天使な神様。ぱわーわーど過ぎる。

「はい、いい物語を書いてほしいのです」


「いい・・・物語??」

”漠然とした”という言葉があるがそれを軽く超えた雑さの要求である。

「えーと、それはどういう」

何を聞いていいのかすら分からない分からなさだった。

「もはや我慢の限界なのです。

 奉納される物語はろくでもない物ばかり。

 それを際限なく読み続けるのも・・・辛いのです。

 ここは一つあなたの書いた物語を読んで癒やされたいのです」

「んー奉納ってことは君も神社の本の読者なのか。

 まぁ、供養されるべき物だから当然ろくでもないだろうけど。

 神社のじゃなくてほかの普通の作品読んだら?」

「神社に奉納された本しか読めないのです」

なにその縛り。よくわからん。

「はぁ」

ため息では無く感嘆詞である。

いや、というかそもそも。

「いや、ってか 物語?というか小説なんてほとんど書いたことが無いのだけど・・・」

そうほとんどない。事務的な文章とかでも余り得意ではないのだ。

「大丈夫です私には分かるのです。あなたは”いい”物語を書くと」

「いやそう言われても」

「まぁまぁそう言わずに」

どうしよう・・・あー小説といえば確か。

「じゃぁこれを」

俺は鞄から一冊のノートを取り出した。

「おー、もうすでにあるとはありがたいですねー。では」

俺から受け取ったノートを開こうとしてる少女。

この隙に自転車へそろりそろりと進む。

「どれどれー」

よし、自転車に乗った。

「それではー」

「え?」

搬入用と思われる坂をシャーっと音を立ながら颯爽と神社から脱出した。

しかして運命は動き出す。

つづく


2020/08/08 20:45

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