二つの世界を巡る物語
仕事帰り、何気なく立ち寄った古本屋で私は一冊の本を見つけた。ネザーランドとネバーランドという題名の、普通の文庫本だった。でも何故か惹かれたのだ。運命とは、そういうものらしい。私は本を手に取って、思わず立ち読みしてしまった。
「お客さん読むんだったら買ってからね」
そう人の良さそうな店主さんに言われて私はあわててレジに向かった。
*
「珍しいな、僕の存在に気付くだなんて。さては....。いや、何でもない。物事には順番がある。やがて僕とゆっくり話せる時が来るだろう。引き留めてごめん。さあ、目覚める時だ...。」
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「ぶはっ」
私は目覚ましの音でいつものように目を覚ました。でも何かが違う...。
確か、変な夢を見た。暗いなにも無い部屋に自分と同い年くらいの男がいて、そいつは変な、青白い炎が灯ったろうそくを持っていて、前髪がめっちゃ長くて目は見えないけど、薄いくちびるを歪めてわらいながら言うんだ。
「久しぶり」って。
一応続くかも...。