超短編小説・処女作・夢の回想
彼はある1人の男に襲撃された。
その男には盗聴の癖があった。
その襲撃も盗聴の過程によるもの。
だが、偶然にも近くにいた
女性に助けられた。
彼はその女性に縁を感じたのか
頻繁に連絡をとるようになる。
気がつけば恋に落ちていた。
彼女は綺麗であった。
言葉では表せないくらい。
そして彼女は家庭的すぎた。
女性の模範であるかの様。
彼は彼女と一緒に住むために
やや大きめのマンションに引っ越した。
彼女は以前あったものの他に
新しい机と椅子をくれた。
そこから彼の生活は順風満帆
のように思われた。
だが、彼はふと疑問に感じた。
彼女のような女性が平凡な自分に
尽くしてくれるのかを。
思えば彼女は自分と交わることを
やんわりではあったが、頑なに拒んだ。
急な疑心暗鬼に襲われた彼は
友人に電話をかけた。
以前、友人の彼が言っていたことを
思い出したからであった。
やや大きめのマンションに、彼女はいなかった。
きっと出掛けているのだろう。
そこには、友人の彼との電話を
終えて青ざめている彼だけがいた。
彼は急いで外を出た。
盗聴器発見器を買いに。
すぐに家に戻ってきた彼は
それをおもむろに使い始めた。
そこで彼は驚愕の事実を知る。
盗聴器発見器。
それは近くに盗聴器があれば
鳴るというシステムだ。
近くに寄らないと鳴らないのだ。
彼は彼女からもらった机と椅子の前で
盗聴器発見器の電源を入れた。
刹那、
ピピピピピピピビィビィピッ!!
その音は全ての居住スペースで
鳴り響いた。トイレも。廊下も。寝室も。
彼はなぜ彼女があの時、
助けに駆けつけて来れたのかを
知ってしまった。
偶然ではない。
前のアパートに住んでいたとき、
彼女も盗聴していたのだ。
そう結論付けなければ今の状況を
理解できなかった。
彼女もそういう癖を持ち合わせていた。
そう気付いてしまったとき
彼の目の前は真っ暗になった。
という夢を見たw