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チュートリアル

気が付いた僕が目にしたのは真っ暗で薄い光が通っている空間だった、


ここはどこだろう、と思う前に僕はホッとしていた。


身体が動く事では無い、


学校から、家から逃げられた事だ。


おそらくここはバーチャルオンラインゲームの世界だと思う


気を失う前に見た身体の硬直と右腕の変色は今世間で恐れられている石化病というやつだろう


石化病はここ数週間のうちに瞬く間に世界中で流行しだした原因不明の病気である。


発症した者は身体が石のように固まり成分上も石と何ら変わらなくなるといった奇病で


ニュースで言うには石化病患者は身動き一つ取れないが意識があり


精神は健常者と何ら変わりなく生きている状態らしい、


意識はピンピンしてるのに身体は一切動かない、


この状態を重く見た世界中のお偉いさん方はバーチャルオンラインゲームの世界に患者をまとめて幽閉しようと考えた、


表向きは緊急処置となっているが、

実際、他のオンラインサーバーに入られたり患者が散らばったりしたら他の健常者にどんな影響があるかわからないのだから当然と言えば当然だろう、


今現在まで増え続けていて、

何人になるのかわからない石化病患者を幽閉するには並のサーバーではすぐに持たなくなる、


そう考えた世界の政府はまだβテスト中の全世界同一サーバーとして売り出すはずだった超大型バーチャルオンラインゲーム「Ark」に患者達を送り込む事にした。


「ようこそ、Arkの世界へ。」


何も無い空間から何とも無機質なアナウンスが聞こえてくる。


やはりここはバーチャルオンラインゲーム「Ark」の中らしい、


おそらくは今からチュートリアルが始まるのだろう、ネトゲでは良くある手だ。


「この世界で貴方はこの世界を制御している7つの神器、


『アーク』を同じプレイヤーの仲間達と全て集めこの世界を救ってもらいます」


「Ark」という名前はここからきてるらしい、


「Arkの世界には様々なスキル、そしてジョブがあります、


戦士や魔法使いといった戦闘職は勿論、

鍛治や料理といった生活職も兼ね備えており、


その中から一つメインジョブを選んで頂き、各町にいる職人NPCからスキルを学び修練、


進級テストを繰り返してスキルアップすることができるのです。


なお、メインジョブに選択したスキル以外のスキルも覚えることは出来ますが、


メインジョブで選択した時と比べて低ランクのスキルしか覚えることが出来ません。」


ほほう、だが悪いな、人間相手どころかバーチャル世界のリアルなNPCにさえ人見知りする僕には無理な相談だ


別に友達が居なかった訳では無い、


イジメが始まる前はそこそこ社交的でクラスでも何人かとは放課後良く遊んだりもした。


僕の家の事は他所では極力他言しないように言われていた、


家の名前に頼るなという話だったが、


今思うも家の名前を穢したくなかったのだろう、


僕の成績は平均的に見ても悪い方じゃ無い、むしろ良い方だった、


だが、我が家はそれを良しとしなかった。


「お前程度の成績で私や将人と同じ学園には入れさせられん!」


父の一言で僕は言われるがまま一般的な進学校へ進んでいた訳で


それを快く思ってなかった連中の格好の餌食となった訳である。


最初のうちは


「気にするな」


そう言っていた友人達もイジメがエスカレートして行くうちに僕に近寄らなくなり、呼び方もいつの間にか名前の「小爪」から苗字の「望月」へと変わっていた


仕方ない、あいつらもイジメられたくなんて無いはずだ、


僕があいつらを巻き込むわけにはいかない、


そう自分に言い聞かせた。


ある日、帰ろうと下駄箱へ行くと靴が無かった


珍しい事では無いので上履きで帰っていたら校庭に友人達がいた


何かを埋めているようだった


とても、とても楽しそうに


翌日みたらその穴に僕の靴があったのは言うまでもない。


この日からだ僕が人の目を見れなくなって上手く喋れなくなったのは


まぁ、幸い、こういったゲームには大抵空腹などの概念が無いし、今リアルの身体は石だし


特効薬が出るまでゴロゴロしてようかな?


「なお、このゲームはリアルさを限界まで追求しており、空腹の概念が存在します。」


マジかよ、なんて余計な事してやがる運営


「極限のリアルを追求した結果、このゲームにはリスポーンの概念もありません。」


おいおい、ネトゲで1回しんでアウトとかどんなクソゲーだよw


「痛みも感じます。」


え?


「このゲーム内の死はすなわち現実での死を意味します。」


無機質なアナウンスは眈々と現実離れした話を続ける


「あなた方の石化を解く術はゲーム内で7つのアークを集めこのゲームをクリアする他無いのです。」


「おい!ふざけ、、」


「それでは、このArkの世界をお楽しみください。」







これが、5年経ってもなおプレイヤー数は増え続け、


クリア者は1人も出ず、


犠牲者は現在20万人を超えている


リアルの世界では知られることの無い、


「Ark」による大量殺人のデスゲームの被害者のみが知る真相である。


だが僕はこの5年で気付いた、


ここはゲームなんかじゃない、

信じ難いが「Ark」は異世界なのだ

やり方も目的も分からないが石化病にかかってArkに送られるまで何者かの陰謀なんじゃないのか、、、と。

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