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プロローグ

2120年、世界は1世紀前には考えも及ばない位進歩しており


道路は地面から空へ移り空飛ぶ車がフロントガラスのバーチャルコースにより闊歩し


当初は身体の不自由な人の娯楽やリハビリ、

場所要らない通信学校の為に発明された現実と遜色ないバーチャル世界の発明は今となってはオンラインゲームにも応用され、


現実と見分けがつかなくなるファンタジー世界やよりリアルな恋愛が楽しめるギャルゲとなり僕、望月 小爪 (もちづき こづめ)の暇つぶしにも一役かっている。


僕は俗に言うコミュ障であり、人と話すことはおろか目を合わせる事もキツい。


僕がこうなった理由としては高1の頃からのイジメから始まっていたのだろう。


まだ当時逆らう気力があった僕は、

1番効果的な報復にと思っていつも優しく人望の厚い担任の教師に伝える事にした


「この事は先生に任せろ」


その言葉を信じ、ひたすら耐えた。


1年から2年かけて無視や差別から始まったイジメは所持品の消失から見え辛い部分への暴行へと移り変わった。


僕の一家は伝統的な政治家の家計で親戚や先祖には俗に言う大物政治家や総理大臣なんて人もザラにいるような一族だ、


そんな家柄のせいか父も母も兄でさえも厳格そのものだった訳で、

泣き言なんて吐いた日にはその場で家から叩き出される勢いだった。


そんなハードモードからナイトメアモードへと変わった日々を耐えて、耐えて、ただひたすら耐えて


僕の心の支えはバーチャルオンラインゲームの世界だけだった、


パソコンに付けたヘッドギアをかぶる事により紡がれるその世界と言うに遜色ない視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚、


自分から求めない限り決して他の干渉のない第五感の全てを備えたこのバーチャル空間は僕の唯一安息できる場所であり、

僕はこのゲーム内に建物を作り家と呼んでいる。


ある日僕はいつものように2人に身体を地面に押さえ付けられ主犯格に頭を踏み躙られていた、


あぁ、これに耐えて家に帰ったら今日もノゾミさんに会えるぞ、もうちょっとだ!


ノゾミさんとは黒髪ボブカットの幼馴染のお姉さん属性まで兼ね備えた美少女で、バーチャルPC専用ゲーム「シュガーガーデン〜デザートは私!?〜」に登場するヒロインの1人である。


何とでも言うが良いさ、僕はクラスメイトに羽交い締めにされ頭を踏み躙られながらギャルゲの事を考えるような高校生だ


廊下から締め切ったこの教室へ足跡が聞こえた。


今日はこれで終わりだな、


僕はそう安心していた。


あわよくばこの教室へ入って来てこの非人道的な行いが横行している現場を押さえてくれないだろうか、


なんて淡い希望を持っていたら、


ガラガラ、とドアの開く音が聞こえた。


輝いた僕の瞳に映ったのは、担任の先生だった


「先生!前に話したでしょ!こいつらです!こいつらが、」


形勢逆転だ、そう言わんばかりに僕はまくし立てる


「おい、お前ら、もっと静かにやれよ、外まで筒抜けだぞwww

俺だったから良かったものをw」


先生は何を言っているんだろうか、


笑いを堪えず吹き出している不良達を見ても僕には最初理解が出来なかった。


その後サンドバックにされながら教卓に座りタバコをふかす先生と目があった。


目を背けるでもなく、笑うでもなく、ただ僕を見つめていた。


奴等が飽きて教室がガラ空きになってから1時間が経った、下校の音楽が鳴り響く。


「皆さん、下校の時刻です。今日も素晴らしい1日でしたね、明日も元気に登校しましょう。」


無機質なアナウンスを聴きながらゆっくりと立ち上がる。


流石にもう無理だこの学校で何を信じれば良いんだろうか、


「じ、実は僕は学校で、、、イジメられて、います。」


家に帰り両親に打ち明け、上着を脱ぎアザだらけの上半身を見せた。


今まで被害を覚えている範囲で事細かく話した、途中から涙が止まらなくなったがそれでも喋るのを辞めなかった。


リビングの机にできた水溜りに映る自分のグシャグシャな顔を見ながら両親の答えを待つ、


いくら厳格な両親と言えどこれだけの惨状をみれば転校なりなんなり考えてくれるはずだ。


「それで?」


父は眉一つ動かさず言い放つ


「え、、、?」


僕は驚いて何も言えなくなった


「お前はそんな事も1人で乗り越えられんのか?」


「いや、だから、」


「それより小爪、また成績下がったじゃない、将人まさとに頼んであのパソコン処分してもらったから。」


母が冷たく言い放つ


僕は急いで2階の自分の部屋へ走った


ドアの先にある僕の部屋にはベッド、本棚、勉強机とありふれた物が並ぶがやはり無い、


勉強机とは別に置いてあったPC用の机ごとPCもベッドギアも無いのだ。


「あんな物があるから腑抜けた連中に舐められるのだ!これに懲りてもっと高みを目指せ!」


父が部屋の外から怒鳴る


あぁ、ここにはもう僕の家は無いのか、


呆然と立ち尽くすと玄関が開く音が聞こえた、将人兄さんだろう。


将人兄さんは2階に上がり僕に封筒を差し出した


「これ、廃品回収の請求書、今月までに振り込めよ?」


「あ、、、、あぁ、、、、」


その場でしゃがみ込んだ僕を見て兄さんは部屋へ戻る


頭が真っ白だ、

僕の居場所はどこにも無いし、

僕を必要とする人も居ない。


僕は要らない人間なんだ。


そう気付いた時すでに走り出していた、

上半身裸で生々しい傷を晒したまま家を飛び出す


止める人は居ない。


これまでの我慢は何だったんだ、

信じてた教師に裏切られ、

思いを打ち明けた家族には突き放された。


いつもより身体が重い、最悪の精神状態だからだろうか?


関節が曲がらなくなって来た、


つまづいて転んだ、


それなのに痛くない、


身体が動かない、


かすかに見える左腕が、、、黒い、、、?


そこで意識が途絶えた


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