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モフモフと私とダディーの出会い

作者: siro

↓『テルミア・ストーリーズ+(プラス)』企画に参加してみました。↓

http://www.geocities.jp/canopustusin/termia/kikaku-top.htm


読んでいたらおもしろそうだったので、初企画物に挑戦!!

リュトリザ国を舞台にちょっとしたお話。

「我は聖獣リオノスの~ぐはっ!!」

「ねーモフモフお腹すいた」

私は、ぬいぐるみのように可愛らしい金色のネコといっても背中に小さいはねがあるのだが、そいつの首根っこを締めた。


熱い教室からサボって涼しい図書室で寝ていたはずなのに、気がついたら私は砂漠のオアシスにいて横にはこのネコがいたのだ。

しかもしゃべるネコ。


これはきっと夢だ。


自己紹介されたのだが、モフなんとかという名前らしく外人名が苦手な私はモフモフと呼ぶことにした。


だって夢だし、名前なんてそんな重要じゃないっしょ。


とか思っていたら、いかついアラブ系のおじさんたちがオアシスに来て、ぎゃーぎゃー騒いで刀を向けられてそのまま、麻袋に入れられガツガツ振り回されて出されると石畳の牢屋に投げ入れられ今にいたる。


「む、無理だ」


「なんでよ、ていうかココどこよ」


「ここは、リュトリザ国の南部のどこかだ」

「・・・どこか?」

あいまいな表現に思わずモフモフ睨んでしまった。

「うっ・・・仕方が無いだろ!!失敗してしまって残りの力がないだから!!」

しまった、という顔をしてモフモフは可愛い前足で口を押さえた。いやん可愛い!!とか思いつつ聞き捨てなら無い言葉。

「失敗?・・・何が失敗したのモフモフ」


「う・・・しょ、召還の術を失敗して、座標位置も失敗した。また・・・失敗した。うっ・・・うわぁあああああん」

といって泣き出してしまった。また父上に怒られるとも。

「ぇ?!ちょっと泣かないでよ!」

いきなり泣き出されるのでこっちは驚きだ、とりあえず抱き上げて頭を撫でてみる。

召還とか、失敗とかなんだかファンタジックな響きが聞こえたが、図書室の本で寝る前にそんなの読んだかな?とか思いつつ、泣き止むのを待ってみた。


「こ、今度は上手にできると思ったんだ。陣だって作ったし、座標位置もちゃんと作成したし。なのに、なのに」


「ストップ!!!泣くな!!とりあえず失敗したことはわかった!!解ったから、これからどうしたらいいのよ!」

また、泣かれるのは困る。泣いた人のといってもモフモフはネコだけど、対応は苦手なのだ!!

とりあえず、なんだかいろいろ知ってそうなモフモフを問い詰めると、なんでもミア様とかいう人(?)と父上に始めて一人でお仕事を任されて張り切ってやったらしいが失敗したらしい。


「で、召還を失敗したっていってるけど、私を呼ぶはずじゃ無かったって言うこと?」

「そうだ、お前は僕のお仕事で呼ぶ人間じゃなかったんだ、じゃなかったらこんなに魔力を消費してない、なんか別の大きな使命があるはずだよ。」

「んん?!なんかややこしくない?私一応何か使命があるの?」

「うん。わからないけど、使命があるものは加護がついてるから解る。」


ずぉおおん!!


突如牢屋が揺れ、地鳴りが響いた。


「何?!何?!」

モフモフを抱きしめながら牢屋壁に背をつけて、鉄格子の向こう側の黒い廊下を見つめた。

ワーワー騒ぐ声と鉄と鉄がぶつかり合う音が遠くで響いていた。


「何が起きてるの?!」


「リュトリザ国は今、部族やら村みたいな物が集まって出来ている国で、治安がすこぶる悪いんだ。大方盗賊かどこかの部族が侵略にきたんだろう」


「きりっとした顔でいってるけどさ、つまり今の状況はめちゃくちゃ悪いってことでしょ」


「うっ」


「なんとかできないわけ?」


「うっ。魔力が切れてて空も飛べないんだ!!できるわけないだろ!!」


「ちっ、使えない」


「つ、つかえない・・・」


がーん、という言葉が似合うほどモフモフは落ち込んでクテっとなってしまった。

やば、ちょっと言い過ぎたかなと思いつつ夏のカーデガンの胸元からモフモフを入れて、下から堕ちないようにカーデガンのすそを絞った。

いやだって、手に持ってるのメンドクサイし。

鉄格子をとりあえず叩きながら、もろい場所が無いか探してみると、いい感じにがたがた言っている棒があった。


お、出れそうじゃない?とか思っていると足音が近づいてきた。

急いで鉄格子から離れ、奥の暗い壁に背をつけながらしゃがみ息を殺した。


牢屋を一つずつ確認するような音が聞こえ、そのたびに、違うという言葉と絶叫が聞こえた。

ガタガタと震える体を抱きしめて、鉄格子の床を見つめていると、とうとうこの牢屋まで来てしまった。

「違う」


殺される、と目を瞑った瞬間。今までと違う音が聞こえた。それはガランガランという耳障りな鉄の音。


目を開けて見ると、目の前に男が一人立っていた。背後には鉄格子が伐採されたようになっていた。その向こう側にも数人の男が立ってこちら側を見ていた。

皆アラブのようなだぼだぼの服に、顔には布を巻いて、目は血走った獣のようだった。


「女」


低い呟きにビクリとし、目の前に立ちはだかる男を見あげると腕を掴まれ立たされた。

「いたっ」


「思わぬ収穫があったな。」


その言葉に思わず恐怖した。よく本で読んだことがある、こういう争いごとの後に女の人がされることと言ったら一つしかない。


叫ぼうとした言葉は、喉に詰まって変な風に空気が入り込むしかなかった。

体は震え、言うことを聞かない。


私は、そのまま男の肩に担がれ牢屋の外に出た。


外は夕暮れ時で、周りは全てオレンジ色に染まっていた。風は冷たく頬をなでる。


「お頭!居住区にあいつは居ませんでした!」

「そうか、こっちの牢にもいなかったな」

「お頭!捕虜の男がいうには、もう移動したあとだそうです。」

「ちっ、遅かったということか。」


バタバタと駆け寄ってくる足音の主たちは、私を担ぎ上げている男をお頭と呼んでなにやら報告をし始めていた。


それを聞きながら、男は歩き始めた。

とある建物の一室に入ると男は、そのまま私をクッションの上に乱暴に卸した。

「お頭・・・その女はどうするんですか?」

「暇つぶしだ」

「そうですか」

そう言って男たちは部屋を出て行った。男はそれを見届けてから、私の前にしゃがみ目線を合わせた。

男の目は、赤茶色の瞳をしていた、睫が白く、年寄りなのかと思ったが声からして若い男だったことを思い出した。


「お前、名は?」


「・・・」

口を開けるがうまく声が出なかった。

男はその様子に、右手で私の頬に触れた。

おもわずビクリと振るえてしまった。


男は顔を口元を覆っていた布を左手で下げて顔を出した。

こげ茶色の肌に整った顔に思わず見ほれてしまった。


「俺の名はタディラット、お前の名は?」


ん?タディなんだって、やばいちゃんと聞いてなかった。タディってダディーみたい、それにしてもイケメンだ、布からはみ出ている髪の毛も白い、ということはダディー(もうあだ名に決定)は体毛が白なのか

とか思っていたら、顔が近づいて目の前に赤茶色の瞳しか見えなくなった。

暖かい感触に、おもわず唇に力が入る。


「俺の顔に見惚れるのはいいが、名を答えたらどうだ、異世界人」

「異世界人?」

「此方にはお前のような格好の女は居ない、それに、リオニア国に現れた異世界人をみたことがある。そいつの種族にお前は似ている」

「へー、ダディーはお頭って呼ばれてたけど盗賊かなにかなの?」

「ダディー?」

「あ、」

思わず心の中で命名したあだ名を言ってしまった。


「ぶ、はははははあ!!!この俺によくも変な名をつけたな。」

首筋にあたる冷たい感触にサーっと頭の血が下がる。


「えっと、あの」


「タディラット」

「た、タディヤット」


「ラット」

「ラット」


「もう一度呼べ」

「ダディラット」


「わざとか」

「違います!!」


だから外人名は苦手なんだよ!!私は半分なみだ目でダディーを見た。


「はっ、まぁいい。久方ぶりに笑ったしな」

そう言って、ダディーは私の横に腰を下ろして寝転がった。


「名を覚えられないのであれば、頭と呼べ。デェザット盗賊団の頭だ。異世界人。明日は早い、もう寝ろ」


そう言っったきりダディーは言葉を発しなかった。

どうしていいかわからず、途方にくれたままダディーを見るが、目を瞑って起きる気配が無かった。

とりあえず周りを見るとTVでみたことのあるアラビアンな部屋の内装に布がかけられた小さい窓があった、立ち上がって布をめくるとそこは砂漠の中に立つ町並みが見えた、町を囲うようにある壁の向こう側はどこまでも続く砂丘しか見えない。辺りは真っ暗で満天の星空を映し出していた。

冷たい空気に思わず身震いした。


「夜の砂漠は冷える、窓を開けるな。」

そっと後ろから抱きしめられ、布が落とされた。

「砂漠に住んだことがないのか?」

「ないよ」

「そうか、なら明日は服を調達しなければな。その格好ではすぐに異世界人とばれてしまうしな」

「異世界人ってバレルとよくないの?」

「異世界人は幸運をもたらすと言われている。力を持った奴なら喉から手が出るほど欲しいさ」

そして、カーディガンの中に手を入れら、すっかり忘れていたモフモフを持って掲げた。


「特に、聖獣が導き出した異世界人は」

モフモフは置物のようにピシリと固まってダディーを見ていた。


「お前、王家の生き残りの」


「ほう、さすが聖獣様。俗世のことにもお詳しい」


その言葉は、とても冷たくて私は固まってしまった。しかもモフモフは怖いっとか一言言って消えてしまったのだ。

「消えた!!モフモフ!!」

まてこらぁ!一人逃げとはどういうことじゃー!!!ヘ(*`Д´)ノっと心の中で叫んだのは言うまでも無い。

「さて、これで邪魔者は居なくなった」


そういってお頭は、こそばゆい所を舐めてきた。しかも私の服の間から手を入れようとしたがビリリと電流が流れて阻止された。

「ちっ加護か」

今の加護っすか?!しかも私も痛いですが?!

貞操は守られたが、自分も痛い。なんとも理不尽な感じに、唖然としながらお頭に抱きかかえられながらクッションの上に横になって就寝した。




このときは、この盗賊の頭が昔リュトリザ国を統一させた王家の末裔とは露にもしらず、しかも統一させるとも夢にも思わなかった。

しかも、このとき私を保護した理由が暇つぶしに異世界人を保護して、どんな加護があるのか試してみたかったからとかいう理由だった。

もちろん、私の加護は貞操以外にも遺憾なく発揮され、なぜか盗賊団の皆には姉御とか聖女様とか慕われるようになり、お頭が王様になったときに一緒に王妃になっていた。



ぇ?貞操の加護はどうしたかって?

お頭に愛を囁かれ始め、了承してしまっていらいお頭に対しては効力がなくなってしまいました。

今は軽く後悔していますが。

ぇ?なぜかって?

それは大人の事情です。



リュトリザ国の設定を読んだ瞬間。

砂漠=アラビアン=盗賊って連想してしまいました。(☼ Д ☼) クワッッ!!!

こんな発想しちゃうのは私だけでしょうか?

日に焼けた肌に、アラビアンな格好になんだかロマンを感じちゃいます

..+'(◕ฺ∀◕ฺ)..+* ゎぁ


テルミア・ストーリーズの世界設定を読んでたら面白そうで、続きを書く時間があったらミッションの方もいれつつ書きたいです。


そうそう、なんでもかんでも「大人の事情」って言ってしまうのが最近マイブームです。



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