02 清水暁人
始まりはドアーズ。
ビートルズ・フリークの父の雑貨店で、バイトの女性が勝手に流していた。
頭のおかしい歌詞とうねるキーボード。
まるで別の店になってた。
サイケはとうに過ぎたポストパンクの時代のイギリス。
その時に限ったことじゃないけど、みんなどうかしてた。
俺はのまれてしまった。
熱に浮かされ歌い出す。
もっと、何かを……!
足掻いているのに手が届かない。
なのに、何もしなくても手に入れている奴がいる。
ひとつ年上の従兄。
同じ所に立っているのに、何故こんなに違う?
十五歳から母が住む日本で暮らすことになった。
それまではイギリス人の祖母の家で育った。
高校の同じクラスの髪の毛を立てた奴と意気投合した。
「清水暁人、アキだ。よろしく」
「俺はジェイと呼んでくれ!」なんてカッコつけたバカ。
そんなジェイと組んだバンド、『セデューサー』。
リズム隊は流動的でいつもてんでバラバラ。
うだつの上がらない学生バンド。
たまたま伯父に呼ばれて、学校帰りに従兄の河原京也の家に行った。
彼の周りには私立高の品の良さげな友人たち。
京也がヴォーカルで他の三人と組んでるそうだ。
和気あいあいと話す四人。
ムカついた。
そう、顔に出たんだろう。一人だけ少し毛色の違う奴に見られた。
慌てて笑顔を作る。
嫌ってなんかないよ。
疎ましいだけだ。




