プロローグ
*この作品はフィクションです。実在の事件・人物・団体などには、いっさい関係ありません。
この世界の人々は固有能力をもっている。
それが覚醒するのか、しないのかは誰も知ることはできない。
ものごころついた頃から発揮することもあれば、眠ったまま一生を終えることもある。
覚醒した能力者は、皮膚の一部に刺青のような印が浮かび上がるので、刺青者と呼ばれている。一部省略が入ったのは、訛りや本物の入れ墨との区別だとか理由は多い。
過去の歴史も、刺青者なしに語ることは不可能にちかいだろう。
時に仲間を助けあい、ある時は戦火をもたらし、個々の能力を輝かせてきた。
だが覚醒された能力を除けば、同じ人間であるために、感情の渦巻きや乱れは生じる。
しかしそれらに飲まれてしまえば、己の印が災いとなるらしい。
その理から逃れたく思い、自ら悲惨な結末に走った者もいる。
力の扱いに慣れることで、印の移動はできるようになるものの、消えることは無い。
だから愛する人に覚醒の証が表れると、皆、口を揃えて言う。
『強き意思を貫き通せ』――
ご閲覧ありがとうございました。