04 メイドさんはやっぱり天然だった
1時間後
「つまり、貴様は我が家のメイドに手を出したと言うことだな」
アリスからの最終確認。
「いえ……そう言うつもりは……」
まだ反抗する俺。
「はい♪ そうですね。胸も揉まれましたし」
いきなり沙亜耶が割り込んできた。
何故このタイミングで言うのか。
「むっ……胸を?」
アリスが顔を赤らめる。
「はい♪」
貴女は何でそんなに喜ぶ!?
「……イクト」
どす黒い声でアリスが喋り出す。
「は、はい?」
俺の泣きそうな顔を見て、一言。
「次はないからな……」
「……はい」
パンとアリスが手を叩き、仕切り直しをしる。
「では、行くか」
「はい♪」
「えぇ」
パーティー
イクト 武器・長剣 能力・呪ノ縛ニ陥ル者 魔法・混沌
アリス 武器・双銃 魔法・不明(と言うより、聞いていない)
沙亜耶 武器・不明(何も持っていない) 魔法・自称回復主体
指定された場所まで行き、望遠レンズで魔物達を確認する。
(うわっ。かなりいるじゃん)
数十匹いた。
(空飛んでる奴もいるし)
これを3人で戦えと。随分無茶を言う王だな。
「なぁ。お前達はこの数に勝てると思うか?」
「勝てるのではないか?」
さらっと言うアリス。どこからそんな自信が沸いてくるのか。
「何でだ?」
聞いてみる。
「決まっている。お前がいるからだ」
へ? 俺、そんな重要人物だったのか?
「そうですよぉ。イクトくんがいるんだからぁ」
沙亜耶さんも乗ってきた。
「だろう。イクト、期待しているぞ」
もう……勝手にしてくれ。
「出来る限りの事はしますよ」
「頼みますよ♪」
そんな笑顔で俺を見ないでくれ。
「……呪ノ縛ニ陥ル者――」
ジャララララララ……―――
詠唱し、鎖を解き放つ。
俺の能力は、この世界に来てから制限がかかるようになった。
制限、より段階と言えばいいのか。自分の意志でより細かく鎖の数を変える事が出来るようになった。
「―――version5」
魔物の三分の一ほどを捕まえる。
おぉ、などと感嘆の声を女2人が出しているが、これでもまだ本気ではない。
(まぁまぁ……か)
いつもの感覚を思い出していく。
あ、言っとくけど、俺は前の世界では優等生だったんだぞ。捕縛だけは。
俺は右手を振りかざし、もう一度詠唱。
「混沌」
持ってきた長剣に混沌を纏わせる。
昨日の夜に試してみたんだが、刀を創り出すより纏わせる方が楽だ。
「せあぁああああ!!」
連斬。
長剣を元に、混沌を伸ばして斬る瞬間だけ長くする。
ギォャアァア!!
うるさいほどの呻きが聞こえてくる。
「呪ノ縛ニ陥ル者――version1」
次の魔物達も拘束していく。
「アリス!! 沙亜耶さん!!」
2人に攻撃を促す。
「う、うむ!」
「はい!」
アリスが双銃を連射していく。
普通の軍人より命中率が高いのでは、と思うほどの連射と命中だった。
しかも、魔物の弱い部分を見極めている。
「お前って、属性は何なんだ?」
戦いながら聞いてみる。我ながらいいタイミングだと思う。
「それっはなっ。王族なっんでっ基本属性っ全部だ!!」
何で言葉が途切れ途切れなのかと言うと、アリスは銃を撃つ一撃毎に魔力を込めているからだ。
「ひゅーう。それは凄い」
下手な口笛を吹く。
基本属性とは、火、水、緑、闇、光の5種類の属性で、大体の人はこの属性の1つが宿るらしい(王様から借りた文献から参考)が、王族は全部持ってんのかよ。
マジですげー。
「沙亜耶さんは……」
10mほど跳躍して銀ナイフを投げつけている。
セバ○チャンかよ。
あの跳躍は、魔力から来るものらしく、俺の跳躍力もそこから来ているらしい。
「あの人は魔法を使わないんですか?」
俺の何気ない問いに、アリスが答えてくれた。
「使っているぞっ。ほらっ銀と氷はっ相性がっ良いらしくってな。切れ味とっ威力がっ凄いぞ」
「氷?」
「あぁっ水のっ派生系のっ事だっ」
目を凝らして見ると、確かにナイフの刃に何か纏われている。アリスの弾丸にもついている。
「へぇ。アリスも弾丸に使ってんだろ?」
「うむ、しかしなっ一度にっ多くの種類のっ魔力はっ練れないっのだっ」
「大変なんだな」
「それほどでもっないぞっ」
謙遜すんなよ。
「きゃあぁぁあああ!!!」
遠くから声が聞こえてきた。
いきなり何だ!?
「どうしたんだ!?」
アリスと沙亜耶に状況を聞いてみる。
「イクト!! あそこで馬車が襲われているぞ!!」
アリスが指差す先には、壊れた馬車と小さな女の子がいた。
「くそっ!!」
この距離からは混沌でも呪ノ縛ニ陥ル者でも届かない。
「アリス!! この距離からお前の銃で魔物を倒せるか!?」
「だめ!! 威力が足りない!!」
「ちょっと貸せ!!」
「え、あ、うん!!」
アリスから銃を一丁借りる。
「混沌!!」
銃に混沌を纏わせ、発射。
「当たれ!!」
混沌を纏った弾丸は、魔物の胴体を撃ち抜く。
「どうだ!?」
魔物は倒れ込んでいく。
「よし!!」
「凄いな。イクト!」
「流石です♪ イクトくん」
沙亜耶が抱きついてくる。
柔らかい物が体に当たる。
「ちょっ、止めてください……って……」
気付くと、アリスが怒りで震えている。
「イクトぉぉおお!!」
「うわっ!」
本気で殴りかかってきた。
「いっつっ――」
かなりいてー。
「それより、馬車を見に行きましょうよ」
まだ腕に張り付いている沙亜耶がフォローしてくれた。
「あぁ、そだな」
「う、うむ」
馬車の前で
「だいじょぶですかぁ――」
沙亜耶が声をかける。
「ひえぇっ!!」
うわっ。何か引かれた。
「大丈夫か?」
手を差し伸べてみる。
「あ! はい。ありがとうございます」
顔が隠れて見えなかったが、かなり可愛いな。
「どうしたんだ? こんな所で」
「えと。私はトラス国の使者です」
「トラス国?」
「トラス国とはな、私の国と交遊関係を結んでいる国だ」
「へぇ」
「で、その使者様とやらが私の国に何のようだ?」
「はい。ちょっと手伝って貰いたい事があって……」
「何だ?」
「トラス国が、魔物に襲われたんです!!」
あぁ、また魔物退治ですか……。
遅れてすいません
話がまとまらなかったんですよ
これもまとまっていませんが……
はい。いろいろ含めてすいませんでした
次回も見て下さると倉夜拓は喜びます