02 王女はだれでも我が侭だった
言い忘れてましたが、郁斗のプロフィールは
年齢;16歳
身長;178cm
性格;見た目は優しい。(心の中でキレてる)
見た目;長身で細身、髪の毛は真っ黒で少し眺長め(目にかかるくらい)です
泊まる為の部屋を貰った俺は、支給された生活用品の確認をしていた。
間違って転送したのは此方の責任だと言って、かなりの額のお金(この世界では全て硬貨、というより金と銀と銅だけ)を貰ったが、国の資金の一部
みたいなのを貰うのは悪いので半分程は返した。
それでも、かなりの量の金と銀ばかりがある。
暇だ。ちょっと城の中を回ってみるか。
見た目ではかなりでかかったが、実際はどうだろう。
数時間後。
……見た目より広かったな。うん。10回程迷ったよ。
もう夕方だし、朝から回ったのに、ってか昼飯食べてない。とか思っていると
「すみません。高崎様でしょうか?」
うおっ! 何かメイドさんが話しかけてきた。
「そ、そうですけど」
「父上がお呼びです。案内しますので」
「わかりま…………父上?」
王様~とかじゃなくて?
「あ、申し遅れましたが、私はアリス・リィン・ルーカス。ついでに、この国の第二王女です」
ついでに、じゃないだろ……
「え―と、本職はメイドさん? 王女様?」
「どっちもですよ」
歩きながら喋る。
「じゃあ、俺こんな話し方したら……」
「今はメイドなんで、話し方はこのままでいいです」
「あぁ、はい」
「あ、でも。父上達にはこの姿秘密にしといてくださいね」
つまりは、隠れてしていると。了解。
「その姿。似合ってますね……」
容姿は確かにお世辞抜きで可愛い。
「そうですかぁ。嬉しいです。それより、あなたに会いたかったんですよ?」
何故か詰め寄ってきた。止めてくれ、前の世界での俺は、あまり女子とは接触しない主義だったのだから。
「何でですか。会う必要ないじゃ無いですか。こんな素姓も分からない奴に」
「そんなこと無いですよっと。着きましたよ。私は着替えてくるんで、先行っててください」
「了解」
パタパタと走り去っていく王女。何だったんだ。
ギィ……
扉を開けると、そこには昨日会った王様がいた。
「……こん……にちわ……」
「あぁ、すまないな。呼び出して」
「いえ、俺も暇だったんで、大丈夫です」
朗らかな人そうだな。昨日と同じで。
「そうか。では早速本題に入る」
「はい」
声のトーンを変えてきた。
「貴殿は、何か新種の魔法を使うと」
「えぇ、俺もこっちの世界に来てから変な魔法を使えるようになりました」
(あの先兵。喋りやがったな)
「それ以外にも、魔法が使えると聞いたが」
「それは、魔法ではなく能力です。前の世界で使っていた物です」
「そうか。なら、貴殿は魔物と戦えるのだな」
「人並みには……戦えますけど」
見栄をはってしまった。
「ならば、貴殿に頼みたい事がある」
「何ですか?」
「今東で集まっている小さな魔物の群れを狩ってきて欲しいのだ。勿論、クエスト扱いになるので、報酬は与える」
クエスト? なんだそれ。モン○ン的な狩猟クエストか?
「クエスト……とは」
「そうか、知らなかったのだな。クエストとは群をなす魔物共を狩ったり、商人を次の町まで無事に送り届けたり……そんな感じの依頼だ。貴殿なら簡単に出来るだろう? 連れの護衛を何人か従える」
「それはちょっと無理」
だと言おうとしたのだが、誰かの声に遮られた。
「それなら、私も同行さして貰おう」
凛とした声だった。
「えっ?」
驚いて振り向くと、そこにはさっきの王女様がいた。
「しかし、お前は……」
何故か王様は狼狽えている。
「王女など姉さんがいれば十分でしょう。ほら貴様。行くぞ」
そう言って俺は王女様に連れてかれた。
何か俺、連行されてばっかだ。
「ふう。やっと着いた」
一息ついた俺は王女と二人きりで自室、俺の部屋にいた。
「で、あなたは何でクエストに付いて来たがるんですか? しかも、断ろうとしたのに」
「うるさい黙れ。私は付いてくったら付いてく」
どんだけ我が侭な王女様だ。いや、王女といえば大体そんなもんか。と間違った考えをしている俺に王女様が声をかけてきた。
「そういやお前は、私の演技を見てどう思ったんだ?」
「演技って、どっちが演技ですか?」
メイド姿の喋り方かさっきの喋り方の事だろう。
「そりゃ、メイドの時にきまっている。あんな喋り方、普通はせんわ」
(いや、ギャルとかはしてるんですけど)
「ってか、さっきの話。付いてくるのは良いですど、理由を教えて下さい」
「付いてのは良いのか? やったぁ!」
どうせ無理っつても無理矢理来るだろ。
「理由というのはな、外に出たいのだ」
両手を握り締め、決心したように言い放った。
「私は産まれてから殆ど外に出たことがない」
「箱入り娘……的な?」
「? 何だそれは」
キョトンとされた。こういう言葉は分からないのか。翻訳魔法もそこまで役にたたない。
「過保護って事ですよ」
俺はため息を尽きながら言う。
「言い方を変えれば、そうだな」
頷きながら王女は答える。過保護って言われて怒らないのか。
「あの手この手で外に出ようと考えていてな、そんな時に丁度お前が出てきたのだ」
(つまり俺は利用されたのか……)
「で、王女様は戦えるんですか?」
「まぁ、一応は。それと、アリスでいいぞ。みんなそう呼んでいる」
「うぐっ! ……分かりましたよ。あ、アリス」
女子経験値の少ない俺に、そんな名前を呼ばせるな……。
「うむ。そう言えば、そなたはなんと呼べばいいのだ?」
「名前は高崎郁斗。好きに呼んでくれ」
「タカサキイクト……。サキと呼べばいいのか?」
「どんな名前の区切りかただよ!!」
思わずつっこんだ。
「では、イクトにしよう。短くて呼びやすい」
(……それはそれで悲しいな)
「イクト。私は支度をするので、明日の朝私の部屋に着てくれ」
「あぁ、了解」
って、ちょっと待て! 俺はお前の部屋の場所など知らん!!
止めようとするが、アリスは鼻歌を歌いながら早々に消え去った。
……覚えとけよ。