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01 魔法世界に

深い森林の中。高校生、高崎郁斗たかさきいくとは倒れていた。


(ここは……どこだ?)


自分はさっきまで寝ていたはず。自分の部屋で。


しかし、今いるのは森だ。


何かの夢なのか?


郁斗はありきたりに自分の頬をつねる。



(……痛い。ということは夢ではないのか。)


「ここどこ?」


一人で呟いてみた。何も返事が来ない。まぁ、当たり前か。


(そこら辺を探索するかな。何か面白そうだし)


郁斗が立とうとした直後。


ズズズズズッ!!


何か音が聞こえてきた。


(ちょっと行ってみるか。)


郁斗は音の方向に歩いていく。


『―――ッこちらE2!! 目標を見失った!!』


そこでは、数人の男が小型魔法陣みたいなのに叫んでいた。

4人の男達がそれぞれに武装をし、今は鎧で顔をおおっている。


(誰だろう?)


男達は駆け出し、先程言っていた“目標”か何かを追跡しようとしているらしい……が。


「グルル……」


そんな獣の鳴き声と共に男達の足は止まっていた。

何故なら、男達の周りには化け物がいるからだ。

男達の言う目標とは、この化け物の事だろうか。


大きく開かれた口には無数の牙が仕込まれ、牙には唾液が染み着いている。

そんな化け物が男達の周りに5、6匹いる。


(これは危ない状態なのか?)


「あ……ぅああぁ……」


男達は自分がその牙に砕かれ、肉を裂かれることを想像し、吐き気を感じる。


「た、退却!!」真ん中の男が叫び、4人はその場を逃げ出そうとするが、囲まれていて逃げれな

い。


「グルルル……」


そんなうめき声を発しながら、化け物は男の1人に近付いていく。


「ぁあ……、た、助け、ぇ」


それを見た化け物は口を開け、唾液で湿った牙を見せつけるように空を噛んだ。


(助けた方が……いいのか?)


高崎郁斗は能力者だ。この事態を切り抜けられると思う。しかし、能力といっても何でもできるわけではなく、決まったことしかできない。

自分の住んでいた世界は能力というものが当たり前にある世界で、みんな使える。郁斗もその中の一人だった。


(助けれる……か? ……一応助けようか)


「――っ避けろ!!」


一応叫んでみた。


俺は化け物を軽く一瞥いちべつすると、自分の能力を使うために詠唱えいしょうする


リリースフォー!!」


叫ぶと同時に、自分の周りから無数の鎖が化け物に向かって弾け飛ぶ。


ジャラララララララ……――


鎖は化け物に巻き付き、バランスを崩していく。


「グルルァァァアアア!!」


いかっているのか、バランスを崩された化け物は絶叫する。

化け物の筋力が凄い。リリースフォーで縛ってても限界がありそうだ。


正直に言えば、郁斗は焦っている。郁斗の能力はこれだけ、他は何もない。足止めをして男たちを逃げさせよう、と考えていたのだが、化け物は速い。すぐに追いつかれる。


(もう打つ手無しかよ!! 使えねーな俺!!)


自分で自分を叱咤しったする。


そんな事を考えていると、こちらに化け物が突進してくる。


やばっ!?


いくら能力者でも郁斗は普通の人間だ。特別な身体能力ステータスなどない。

化け物はもう目の前だ。避けれない。

郁斗は目の前の恐怖に目を閉じた……が。


ギュィィン!!


そんな音とともに魔法陣みたいなのが前に現れる。

その魔法陣もどきのが化け物の攻撃を止めている。

多分あの男達が頑張っているのだろう。

こんなの使えたら、俺助けに行った意味ねぇ!!

どうしたらいいのか迷った俺は、魔法陣もどきにそっと触れてみた。


バチチッ。


そんな鋭い感覚の後、指先から真っ黒い不確定な物体が流れ込んできた。


(っつ! 何だ……この感覚)


黒くでぐにゃぐにゃした物体が頭の中にイメージされる。


(混……沌……)


俺はその存在を心の中で呟いた。

頭の中の物体が剣の形に変わる。

次は、口に出して言ってみる。


混沌カオス……」


ブゥン。と、俺の右手に漆黒の剣が現れる。


良く分からないが、何だか強そう。


試しに剣を魔法陣に向かって切り裂いてみる……と、魔法陣どころか化け物まで切れた。


「グギャァァアァ!!」


化け物がうなりを上げる。


勝てそうだ。


俺は跳躍ちょうやく、なんと5メートル近くも飛べた。


自由落下の形で俺は化け物の首を切り裂く。


真っ赤な鮮血を撒き散らして化け物は力尽きる。


「グルルァァ!!」


鎖から解放された1匹の化け物が倒れていた男に襲い掛かる。


「ッ!!てぇぇあ!!」


ヤバい、と思い剣を投擲とうてき、刺さった剣を引き抜く動作と共に化け物の心臓を確実にかっ斬る。


もう一度、跳躍ちょうやく、至近距離から確実な攻撃を繰り出していく。


昔、色んな剣術を習ってて良かった。そう思える瞬間だった。


迫り来る魔物に対し、俺は横文字を呟く。


武器変更ウエポンチェンジ……」


右手に掴んでいた剣が、漆黒の大鎌に変更される。

何だか創造したとうりに形が変わるらしい。

ウエポンなんたらってのは、何となくつけた。かっこいいから。


「……一線!!」


下段から上段への斜め切り。

鎌は魔物の首筋を貫いている。


頬に付着した血を拭いながら俺は男達に近付いていく。


「えっと、大丈夫ですか?」


俺は男に尋ねた。




話はかなり変わるが、この男達の住む世界には、魔物と呼ばれる存在がいるらしい。普通の人間では到底適わない力を持っていて、魔物は男たちの住むこの世界を謳歌おうかしている。それに耐えきれなくなった、特に魔法学者達は、数千年前に魔物の脳波を解析して、人間にも魔物並みの筋力が使えるようにした。

それを独自に改良して、今のような魔法スキルを使用出来るようになった。


……と、それまでが簡単な世界の歴史らしい。

らしい。と言うのは、たった今俺が一国の王様から聞いたからだ。


俺はあの化け物を倒した強い奴らしく、さっきの男、先兵の人に連れられて城まで連行された。

連行……と言うのは、言葉が通じなかった俺は、不法進入的な感じで連れてかれたからだ。

城に着くと、ちょっと偉めな人に翻訳魔法(国によって言葉が違うらしく、翻訳魔法は重宝するだとか)をかけて貰い。やっと疑いは晴れたのだった。

と言うより、ここの魔法研究者が引き起こした偶発的な転送魔法で送られてきたらしい。俺は。

……せめて、魔王を倒せとかベタな事言って欲しかった。


あの魔法陣(のようなものではなく、この世界でも魔法陣と言うらしい)は先兵が出したガード系魔法だったらしく、魔力(魔法を使うためのMP的なもの)を持たない人間が魔法に触れると、魔力が宿り、その人の本質をかたどった人それぞれの魔法が発現するらしい。ありきたりな魔法が出る場合が多いらしく、俺みたいな混沌属性(俺命名)が出るのは初めてらしい。


その他の魔法は、少しずつ勉強すれば覚えれるらしい。

今はまた転送魔法の研究をしなければいけないらしく、少しの間滞在城にしなければならない。

どうなるんだよ、俺の人生。



2回目の投稿です

何か異世界ものが書きたくなったんですよ……

見てくださってありがとうございます!!

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