第二部 二十話
別れなくていいんだ…俊は俺の事好きでいてくれたんだ…でも…。
「俊はさ〜はじめての時に俺が聞いた事、覚えてるか?」
「あぁ…好きってことでいいのかってやつだろ?」
「うん…でも、その時なんて言ったのか覚えてる?」
「あーーー、なんだ…恥ずかしかったんだよ…荒太が可愛いって思えてきて」
照れるように言うが、あれは流石に傷ついたと付け加えた。
「俊くんってなんていったの?」
「荒太がシたいって言ったからシたんだって、言ったんだよ!」
荒太が話すと、恵は俊の頭めがけてチョップを振り下ろした。
「最低!しかもはじめてだったんでしょ?マジ最低!荒太くんは痛くなかっ
た?辛くなかった?」
「はははっ、ずっと身体中痛かったし、裂けてこのまま死ぬんじゃないかと
思ったよ…恵が我慢強いのかと思ったほどだな〜」
「違うの〜僕は俊くんがはじめてじゃないからなの〜、先生とセフレとして
してたから、そんなに苦にならなかったんだ。でも、荒太くんは違うんで
しょ?」
そういうと腰を指すってきた。
しかし、俊によって荒太から引き離された。
「もう!そんなに威嚇するんだったら、もっと大切にしなよ!この間だって
さっきだってあんまりだよ!」
「それは悪いと思ってる。もし逃げるんなら監禁してでも側にいて欲しくて」
俊の素の嫉妬と独占欲が見えて少し嬉しかった。
「俊くんって本当に強引すぎっ。好きなら言葉でしっかり伝えてあげなきゃ、
荒太くんも、乱暴にされたら怒っていいんだよ。今回の事だって強姦なんだ
からね!しっかり痕も残っちゃってるし…」
「うん…」
頷く荒太に俊は擦り寄るように触れてくる。
まだ熱を持った身体は起きているのさえも辛かった。
目を瞑ると俊にもたれかかるように眠ってしまっていた。
慌てるように俊が揺さぶろうとしたのを恵が止めた。
「そっと寝かせてあげて!俊くん、今からやる事があるのわかってるよね?」
「…?」
恵の質問の意味が分からず『?』が浮かぶとまた頭上にチョップが落ちてきた。
「軟骨を持ってきなさい!」
「そんなものあるわけ…痛いって〜」
「もう、仕方ないな〜」
鞄から自分の使っているのを出すと手渡した。
「多分荒太もあると思うけど…今はこれでいいや。昨日散々むりさせたんだから
しっかり塗り込む事。」
「毎日やってたんだし、大丈夫だろ?」
「女性と違ってアソコはデリケートなの!腫れて使い物にならなくなったらどー
責任取るの!」
渋々眠る荒太に撒かれたタオルを解き広げると薬を塗り込んでいく。
近くで恵に見せたくなくて隠そうとするが、余計に怒られた。
「ほらっ、やっぱり腫れてるじゃん。絶対これ痛いやつじゃん!」
恵の言葉に荒太を見返したが、黙って眠るだけだった。




