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第二部 五話

救急車を呼ぶ時に症状を伝えるとその通りにしたら、顔色も戻ってきて、

しっかり呼吸をし出した。


「おい、なんでここにいるんだ?」


ホテルの前でいきなり倒れ込んだ荒太を見て、慌てて駆けつけたのだが、

なんでこうなったのかが理解できない。


ただ言えるのは昨日のよるは、山村教授と一緒にホテルにいたと言う事

だった。


今は荒太をといただす訳にはいかず、目の前にいる山村教授にといただ

すのが筋だろう。


「弁明があるなら聞くが?」

「いやはや、大変な事になったなぁ〜」

「自分の生徒をホテルに連れ込んでナニをしていたのか教えてもらお

 うか?まさか何もしませんでしたとは言わねーよな?」

「そうだね〜、ここまで来て何もないはないね!」


一瞬頭に血が昇ると教授を殴り付けていた。

大きな音がして病室の外まで響きわたっていた。


荒太は運び込まれた病院で今はぐっすりと眠っている。

ただの過呼吸症候群だといわれたが、過度なストレスが原因で起こる

ことが多いらしい。


「荒太に手を出すなって言ったよな〜!」

「ここは病院だから静かにしないか?」

「誰のせいでこんな事になってんだよ!」

「落ち着きなさい。昨日は偶然彼に会っただけだ。目を腫らしてずっと

 泣いていてね。それでホテルへ誘ったんだ。」

「やっぱり無理矢理誘ったんじゃねーか!」


教授は手で話を止めると落ち着くように言った。

大人のせいか、余裕があるのが俊にはイラつく対象だった。


「彼は自暴自棄になっていてね、自分から誘ってきたんだよ。私は流石に

 こんな傷ついた相手を抱く気にはなれなくてね。泣き止むまで抱きしめ

 ていただけなんだよ。そしたら疲れて寝てしまってね。シャワーでさっ

 ぱりさせているうちに逃げてしまったんだよ。」

「じゃ〜荒太には?」

「抱きしめたくらいで何もしてないよ。今日だってちょっと揶揄おうとし

 ただけだからね」


許せないけど、それが本当なら何に傷ついていたのだろうか?

そんなに泣きじゃくるほどの悲しい事など、俊は知らない。


「逆に聞くが、彼に何があったんだ?尋常じゃないないだろう?」

「知らねーよ。こっちが聞きたいくらいだ。」


そう言うと、荒太が目覚めるのを待ったのだった。

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