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第二十四話

山村教授の受講生徒数はかなり多い。

主に女子生徒の数が半分以上を占めていた。


実際ラブレターなる古風なものも貰った。が、一個も興味を誘うモノはなかった。


「山村教授、質問いいですかぁ〜」

「あぁ、いいよ。でも、ちょっとやる事があるから準備室で待っていなさい」

「はい」


最近よく熱心に講義を聞いてくれている生徒に好意を持たれている気がする。

もちろん男子生徒でいつも一番前の席に座っている。


男子生徒はいるにはいるが、誰もがつまらなそうに聞いているので、印象は良かった。

女子目当てにこの講義を受講する人も少なくない。


「池上くんは私の講義はついていけているかい?」

「はい…少し難しいですけど。面白いです」

「それはよかった。どこが分からないんだったかな?」

「えーっと、今日のところのここなんですけど…」


一途で真っ直ぐな子だった。


「サークルの飲み会は行っているのかい?」

「はい、最近多くて〜俺は酒弱いんで…」

「酔ったらどうなっちゃうのかな?」

「はははっ…相方が迎えに来てくれてたみたいなんです」


はて?相方…?


「一緒に住んでいるとかかな?」

「そうですね〜ルームシェアしてるんです。その方が家賃も浮くんで」

「仲が良くないと難しいだろう?」

「そうですね〜、最近は喧嘩もした事ないし、結構上手くやってますよ」


嬉しそうに話されると少し妬けてしまう。


肩を引き寄せると意外と細い事を知った。


「ちゃんと食事は取っているのかい?」

「はい、俺料理苦手なんで、相方が作るかバイトで賄い食ってますよ〜」


この生徒はどこまで噂を知っているのだろう?

もしかしたら噂を知って、わざと焦らしているのだろうか?


そんな考えを浮かべながら、良く話すようになった。


そんなある日、彼を見つけて話しかけようとすると隣に見知らぬ学生がいた。

仲がいいのだろうと微笑ましく見ているとそのまま校舎裏へと引かれるように行っ

てしまった。

まさか、イジメか?と思うとすぐに後を追った。


イジメなら証拠を取ってあげれば助けになると思いスマホのカメラを起動させながら

向かった。


木の陰から成り行きを見守ると誰もいない事を確認したのかキョロキョロと眺めると

少し何やら話したあとで、キャンパス内だというのに抱きしめるとキスをしたのだ。


もちろん同性だし、初めは嫌がっているかとも思ったが、されるがままにさせている

彼の目はただ、その相手しか見ていなかった。


教授は自分と同じだと思った。

同性を愛してしまっているのだ。

辛い選択をしている彼に心が揺れ動いていったのはもう、考えるまでもなかった。


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