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第二十二話

ー数時間前ー


ばったりと俊と昼の食堂で会ってしまった晴翔は舌打ちを隠せなかった。


「チィ…」

「なんだよそれ?荒太じゃなくて悪かったな〜」

「あぁ、そうだな。今日山村教授の機嫌がマジでいいんだよ、気持ち悪いぜ…」

「あぁ、確か今日荒太が山村教授の手伝いで遅くなるって言ってたっけ…」

「マジかよ!お前不安じゃねーのかよ?」

「何が不安なんだ?」


何もわかっていないような平気な顔で見てくるのがもっとムカつく。

顔がいいだけのクズとはこいつの事を言うのだろうと考えながら飯を駆け込みながら

話した。


「あの教授って変な噂があるんだよ。気に入った生徒に自室で作業させて食べちゃう

 ってさ。」

「食べるって…何を根拠に…」

「あの教授ゲイなんだよ。」

「…!!」


飲んでいたお茶を吐きそうになると俊は驚きながら晴翔を見た。


「汚ねーな。最近荒太にべったりだからさ〜気をつけろよ?」

「あぁ、そうだな…」

「お前らって本当に付き合ってんの?ただのセフレとかじゃねーよな?」

「違う、俺はちゃんと…」

「言いたい事があるなら本人に伝えてやれよ。あいつ最近気落ちしてるだろ?」

「そうだな…」


食堂を出て歩いているとベンチに座っている荒太を見つけた。


晴翔は悪戯っぽい笑みを浮かべると走っていった。

後からゆっくりと歩いていく俊は出て行く前に一瞬足を止めてしまった。


「どうしたんだよ?なんか落ち込んでる?」

「晴翔かよ?びっくりしただろ?」

「ごめんごめん。お詫びにジュース奢ってやろうか?」

「おう!」

「えーっと、無糖の紅茶でいい?」

「いや、隣のいちごミルクがいい。俺さ〜紅茶苦手なんだ。甘くないもの

 って飲めねーんだわ」

「ん!?この前って無糖の紅茶ばっか飲んでなかったっけ?」


いつも俊が手渡すと美味しそうに飲んでいたのを思い出す。

だったらなんで?苦手ならどうして言わない?

俊は自身で自問自答すると、また声が聞こえてくる。


「俊が買ってきてくれたから…俺さケーキも苺のショートは嫌いじゃねー

 けど、本当はケーキならチョコみたいな甘いヤツがいいんだけどな〜」

「なんだよそれ?言ったらいいじゃん?俊のやつ、絶対知らねーだろ?」

「…うん。きっと知らないんだろうな〜。俺の事、興味ないもん。」

「はぁ〜だったらなんで付き合ってるんだよ?」


この前の誕生日も毎回苺のショートケーキと紅茶を用意していた。

初めて荒太を抱いた日だって帰ってから辛そうにしてたけど、ケーキと紅茶を

出したら喜んでくれたんじゃないのか?


何も分からなくなって来ていた。

荒太はなんで俊に付き合おうなんていったのか?

なんで抱かれたいなんて…。

男に抱かれるなんて屈辱でしかないだろ?

現に俊だったら、親友でも男に抱かれたいなんて絶対に思わない。


最近は当たり前のように毎日抱いていたけど、文句ひとつ言わなかった。

恵がいなくなってから、荒太はずっと俊に合わせていた気がする。


プレゼントも物は受け取ってくれなかったし、何も欲しがらない。


分からない事だらけの混乱した俊にメールが届いた音がした。

差出人の名前を見ると慌てて晴翔を残して駆け出していた。


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