第十八話
ラブホテルはどこの内装も豪華にできていたのだった。
「すげ〜なんかすげ〜な。ミラーボールまである。付けていいか?」
「あぁ。荒太…本当にいいのか?」
「嫌なのかよ〜。嫌なら俺に付き合わなくても…っ!」
いきなり唇を塞がれるとベッドへと傾れ込んだ。
「ちょっ…シャワー浴びさせて…?」
「いいだろ?どうせ汚れるんだし…」
「嫌だっ!!…シャワー浴びよ?さっきので汗かいちゃったし…な?」
俊は荒太の上から退くと手を引いて風呂場へと向かった。
「なら。一緒に入るか!」
「えぇぇぇーー!」
「男同士だしいいだろ?いつも見慣れてるし?」
「それは…そうだけど…」
戸惑いながらも一緒に入る事を了承した。
「泡風呂じゃん!おぉーーー!」
「危ないからはしゃぐなって…」
「俊は来た事あるのか?」
「あぁ、前にな…付き合った女子と…」
「そーいや、お前モテるもんな〜」
「恵と付き合ってからは無いからな!」
「はいはい。分かってるって、ムキになるなよ〜」
さっきまで緊張してたのが、解れるといつもの口調で笑いあえた。
身体を洗って、いざベッドへと入ると初めてだったが、お互い気負う事なく
適度な緊張感を保ったまま行為を終えた。
サイドテーブルには使い終わった残骸が無造作に放置されていた。
二人はベッドに寝転がりながら余韻を楽しんだ。
「あのさ〜…俊はさ、俺の事好きって思ってくれてるって事でいいのか?ほらっ
こういう事するって訳だし…」
「ん〜?…まぁ、荒太がやりたいって言ってたしな…嫌ではないかな」
「…」
「どうした?」
「なんでもない…たまにはシたいって言ったらどうする?」
「いいんじゃないか?身体は大丈夫なのか?初めてだっただろう?」
心配してくれるのが余計に辛かった。
荒太にとって、俊の本音が聞きたくて言ったはずなのに…。
まさか、荒太がねだったからと言われると、流石にそれ以上は聞けなかった。
たまに身体を重ねる仲には発展したが、心は余計に離れて行った気がした。
高校もそのまま卒業資格を取ると、大学へと進んだ。
同じ学部には進まず、俊は経済学部へ。
荒太は情報学部へと進んだのだった。
「明日はサークルの飲み会だろ?何時に帰ってくるんだ?」
「う〜ん、何時だろう?まぁ11時には帰るよ!」
たわいのない会話をしながら同じアパートから大学へと向かう。
高校を卒業した二人は寮を出て、近くのアパートを借りる事にしたのだ。
親の仕送りも少ないのでバイトをしながらだが、一緒に住めば家賃が浮くと考え、
今も一緒に住んでいるのだった。