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第十五話

誕生日も過ぎ、再びクリスマスがやってきた。

それでも、荒太がそばで祝ってくれるし、『イベントは楽しまなきゃな!』

と言って、ふざけながら友人を集めて祝ってくれる。


俊は自分から友人を作る気にはなれなかった。

が、いつの間にか荒太を中心に友人の中にいる。

そんな事が居心地が良くなってきていた。


「俊くん、聞いてる?明日はどうするのかな?」

「明日って?何かあったっけ?」

「おいおい、荒太の誕生日だろ?覚えてねーの?去年はどーしたのさ?」


言われて初めて気づいた。

荒太の誕生日を祝ったのっていつ以来だっけ?

恵がいた時はちゃんと祝っていた気がする。

でも、寮に入ってからは記憶になかった。


「薄情だな〜、付き合い長いんだろ?」


薄情だと言われてみればその通りだったかもしれない。

荒太はいつも俊を中心に考えてくれたし、何が欲しいかも、何が嫌いかも

理解してくれていた。


「そうだな、何か用意しとくよ」

「そういえばさ〜荒太って何が好きなの?本人に聞くのもさ〜?俊くん?」

「あぁ、何だったかな〜、ちょっと考えとくよ」

「考えるって、明日だよ?本当に親友なの?いや、恋人だっけ?」


晴翔は隣の部屋の住人だ。

毎晩の行為を誤解しているようだが、弁解するつもりもない。

恵を好きな気持ちは今でも変わらなくて。そばにいる荒太に最後までするつ

もりは全くなかった。

男同士でも、弁明できるギリギリまでしか手を出していない。

もし、これ以上超える事が有れば…きっと戻れなくなりそうで…。


(俺はまだ…恵が好きなんだ、それでもいいって荒太が言うから…そう、荒太が

 どうしてもって言うからそれで…)


自分へと言い訳をしながら部屋の中をぐるぐる回る。

すると荒太が戻ってくると元気よく抱きついてきた。


「ただいま〜、何?立ったままで…何かあったのか?」

「ん〜、そういえばさ〜何か欲しいものあるか?」

「…?ないよ…どうして?」

「ならやりたい事とか、行きたいところってあるか?」


とにかく本人に聞こうと言うと少し悩んでから何かを思いつくかのように言った。


「海かな〜、釣り行きたい!俊は昔父さんと一緒に何度か釣り行ってうちにも魚持

 ってきてくれたじゃん?」

「いや、すぐには無理だろ?釣りは俺の趣味だしな…、荒太やった事あったっけ?」

「ないよ、だからやりたいの!」

「他にはないのか?」

「他に〜?なんだろう?そうだっ、休みの日に暇ならボルダリング行かない?」

「いいな〜それ!行くか?」

「うん♪」


嬉しそうな荒太に頷くと俊がたまに一人でいくボルダリングができる場所の予約をとった。

荒太が風呂へと行っているうちに隣から晴翔が声をかけてきた。



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