第十三話
勉強の甲斐あってか、赤点は免れたのだった。
「はぁーーーー、よかったぁ〜」
「よく頑張ったな?」
俊に頭を撫でられるのはすっごく気持ちよくて好きだった。
友人としてはあまりにも近すぎる距離感に少し反省しつつ会話を続ける。
「荒太ー。今日はこの後暇か〜」
「あぁ、テストも結果出たし、補修もないから大丈夫だけど?」
「ならちょーっと付き合ってーな!」
「晴翔がそういうなら仕方ねーな〜」
「よし、じゃー彼氏くん、荒太を借りてくな!」
晴翔は俊を見ると、そう言って荒太を手を引いて歩き出す。
「おい、さっきの!」
「ん?彼氏じゃないの?部屋でよく声が聞こえてたし?まさか聞こえてない
と思ってたん?」
「そ、それは…」
「しっかりヤってる事はやってるんだなーって聞かせてもらっとったわ〜。毎
晩なんてお盛んやな〜」
「ち、違うから!まだ…してないから…」
「まぁ、そうゆー事にしとこか!相談なんだけどな〜、恋人の贈り物を何にしよ
うかって話なんだよな〜」
「そういえば…俊もうすぐ誕生日だった。」
「お!なら一緒に探しに行こうぜ?」
晴翔と一緒にプレゼントを探しながらショッピングを楽しんだ。
「今日は付き合ってくれて助かったわ〜」
「いや、こっちもだよ。」
最近俊のつけている時計がボロボロなのを知っていたので俊の好きそうな
メーカーのを買った。
長年の付き合いで趣味は大体把握している。
だてにずっと見つめてきたわけではない。
「ただいま〜」
「おかえり、どこいってたの?」
「ちょっとな〜、もう寝るの?」
「誰かさんが相手してくれないから…女子でも誘おうかと思ったよ。」
「えっ…それって…」
「冗談。ほらっ、服脱いで?」
一瞬、驚いて荷物を落とすところだった。
いつものように抱き合ってキスをして、ただそれだけ。
素股はするけど本番はなし。
俊の机の中につかいけかけのゴムが入っているのは知っているのに、一向に使
われる気配すらない。
(やっぱり、恵とはヤってたのかな?)
どうしても考えてしまう。
慣れた手つきで脱がせていくし、キスも上手かった。
手つきも慣れきっていて、怖くさえ感じる。
逃げたくないのに、つい逃げ越しになってしまう荒太はこういう行為にいつま
でも、慣れる事はなかった。