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第十話

中学3年になって、俊と荒太は付き合う事になった。


だからといって変わった事は何もなかった。

一緒に帰って、一緒に勉強して、家に遊びに行くくらいで何もない。

少し期待していたような事は今は何もない。


周りからも付き合っているようには見えない程度にただの親友だった。


「今日は勉強どこでやる?」

「うち来るか?」

「おう、荷物置いて着替えたら行くわ」

「飲み物何がいい?」

「なんでもいい。適当によろしく」


一旦家に帰ると着替えてから家を出る。


「荒太、帰ったの?」

「今から俊の家に行ってくる。勉強教えてもらいに行く〜」

「なら、これ持って行きなさい、いつもお世話になってるんだから〜」

「おう」


母親におやつにとプリンを持たされると近所である俊の家へと向かった。


「こんちわー」

「おう、誰もいないから入ってこいよ!」

「おう、これプリンな!母さんが持って行けって!」

「悪いな…、適当にくつろいでくれていいぞ」

「おう」


俺達は、東京の高校に行くために必死で勉強していた。

俊の成績なら余裕なのだが荒太の方はそうはいかない。

頑張っても受かるかどうかは賭けだった。


恵にまた会うために東京の寮に入る予定で猛勉強をしているのだ。


まじめに考える俊の横顔を見ると少し胸が痛くなる。

これは恵がいたらこんな関係にはならなかったんだろうと思うと虚しく

なりそうで、自分がどれだけ卑しいかを思い知らされる。


恵と出会うまででいいという期限付きの付き合いだったからだ。

もちろん俊にとっては荒太より、恵を選ぶのは分かっているけど、少し

でもいいから恵との寂しさを紛らわせてやりたいと思ってしまう。


「何か分からないか?」

「あぁ、ちょっとボケっとしてた〜、はははっ…寮に入ったら俊と一緒が

 いいな〜、俺人見知りだし?」

「誰とで仲良くなれるくせに…。でも、先に申請しとくとできるらしいぞ?」

「え!ほんと?」

「あぁ、本当に荒太はちゃんとパンフ読んだのか?」

「えへへ、俊が見てるからいいかなって…」

「ちゃんと自分で読めって!こいつはぁ〜」


揶揄うように言うと、俊が乗りかかってくる。

言い合いだったのが絡み合うようにもつれ床に転がった。


気づくと俊の下におさまっていた。

見下ろされ一瞬ドキッとするとすぐに退いて起き上がった。

手を出され、掴むと起き上がる。


「あ、ありがと」

「あぁ」


まだぎこちない二人は無事高校も受かると一緒の高校へ通う事になった。

もちろん寮も同室になったのだった。

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