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第九話 気にしている時代

車を運転してから暫くしていると、菅野達はおーっと感動してるのか窓を開けて景色を眺めていては見たことのない建物…マンションとか鉄塔とかが視界にはいると好奇心旺盛な子供みたいに『アレは何?』と栞に聞いてきたりもした。



そんな様子に樋口は子供が出来て母親みたいな気分になった。別に子供は嫌いではない寧ろ大好きだ。

相手していると樋口も人間なのでイラっとくる事もあるが、可愛いし無邪気だなと思う所もちゃんとある、へぇ~やそんな考えをよく思いつくな~と大人の自分じゃ考えない事を思いつくからスゴイなぁと感心している。



 近所に住んでいる子達はよく樋口の家にやって来ては一緒に遊ぼとも誘われて夕暮れまで遊んだ事もあるし、此処最近ではたまにだが学校が終わってから直行で家に来て宿題をしてる事があったのだ。


分からない事があると先生になって教えたりもする。親たちにはとても感謝されていてはお礼にお茶菓子とか持ってくる事も多々ある。

『そんな気を使わなくてもいいですから!』…と言いたい所だが、それを言ってしまうと折角の厚意が水の泡になってしまう為言わないよにして遠慮なく頂いている。





 話を戻すが、彼女が今運転している場所は家より街並みがしっかりしている場所だ。田んぼも畑も住んでいる所より少ないが、信号や横断歩道も沢山ある所。平日なので渋滞はないが反対側の対向車線には車はビュンビュン走っていた



「直さん達は信じられないかもしれませんが、私達みたいな一般市民も車を所持出来てます。今じゃあ車は欠かせない存在になってるんですよ」



なんて事を話していると、あっという間に目的地であるデパートに到着した。


 今日は平日だからか休日よりも駐車場はスカスカに空いていたので立体駐車場じゃなく、屋外で出入り口の近くに車を止めることにした。

樋口はバックは苦手なため、モニター画面を確認しながらゆっくりとハンドルを切る。


何とか駐車場に車を止める事に完了し、直ぐに車のエンジンを切った



「着きましたよー」


「ここが、デパート??」

「ほんとに此処が商店なのか?」



 直さん達はキョロキョロと辺りを見渡しながら中に入ろうとしたが、自動ドアが直さん達に反応して音を出さずに無音で開く


そんな自動ドアに体をビクッとはねたり、うぉっと小さな声を上げた。


(てか、あの人達一応死人だって聞いていたから反応しないじゃないかと不安だったがそんな心配は無用だったみたいだな…)



「な、なぁ。さっきの魔法の扉は何だ??」


(魔法の扉って……発想が可愛いな。)


他の四人も直さんと同様鳩が豆鉄砲を食ったような表情(かお)していた。


「アレは自動ドアと言ってセンサーが人間だと感知すると、手を使わなくても扉が仕組みなんですよ。ま、偶にボタン式のも見かけるけど」


「まず最初は服売り場に行きましょうか」



カートや買い物かごが置かれている近くにはエレベーターがある為、エレベーターを使う事にした。



 初めて日本のエレベーターが誕生したのは、手動だが1842年(天保13年)で人間ではなく食事などを運ぶ事に活用していたらしい。

電動式が出たのは、その48年後の1890年(明治23年)。だから、菅野達にエレベーターの事を説明しなくても大丈夫だ。



三つ設置してあるエレベーターの間に上に行くためのボタンを押す。その内降りてくるため扉の前に立って待つと、エレベーターが何処にあるのかを示す段数ランプが1を示すと隣にあるホールランタンの上が光った。


無音で扉が開かれると、誰もいないかったため直ぐに乗り込むと服売り場がある3階のボタンを押した。




『3階です』と無機質な声がエレベーター内に響くと、無音でエレベーターの扉が左右交互に開いた。直ぐに降りると、服売り場が其々の店が並んでいる。




 服売り場には婦人服や子供服などがズラリと並んでいる。紳士服もあったが、別に必要はないだろうと思い、隣にあるカジュアルな服や靴が並んでいる所に入った


入ると室内はジャズやクラシックな曲ではなく、今流行りのアニメやアイドルなどの曲が流れていた。同年代の女性店員さんがいらっしゃいませと笑みを浮かべながら私達に向かって言った

客は私達の他に八人位いた。



「此処にかけてある服は男性服コーナーなので、気になったやつがあったらこのカゴに入れていください」



自分も何か気になる品はないかと樋口はハンガーラックにかけてある女性服を見た…正確に言えばTシャツとかスカートなどを手に取っては中についてある服の素材や洗濯表示タグを確認していた。


一通り女性服を見て回ったが、特にこれといった欲しい服はなかった為菅野達がいる男性服コーナーに行ったら直さん達は難しい顔していた。




「いいのありましたか?」

「いいのはあったのですが…」と林は地面に置いてあるカゴを目に移した。


それにつられて見ると、さっき渡したカゴには山盛りではないが結構な量の服やズボンが入っていた。見た感じ、お金の事を気にしているんだな…と思っているなと感づいた。



「一人服が3着でズボンが2本って決めていたが結構な量になっちゃってな」


「そんな気にしなくてもいいですよ! 決まったんでしたら試着室に行きましょう」

「試着室…?」


「買う予定のある服を試しに着る場所だよ」


 試着室コーナーに行くと、試着室は3部屋はあり丁度誰もいなかったため菅野達にそれぞれ選んだ服とズボンを持たせて試着室に入らせた。

三人が着替えるを杉田と武藤と一緒に待っていると着替えた三人はカーテンを開けて見せてくれた。



「どうですか? サイズは」


「丁度いいぞ!」

「下も窮屈ではないですよ」


サイズも問題ない事が分かっていても樋口はしゃがみ込み三人が履いているズボンの裾を入念にチェックした


「裾上げもしなくても大丈夫ですね…膝曲げたり、しゃがんだり出来ますか?」



 人間は日常的に歩いたり、しゃがんだり座ったりと動くのが当たり前だ。いくらサイズが合っていても動かす事が出来なかったら元も子もない。

三人は言った通りに足などの体を動かしたり、その場でしゃがんだり動いて確認した。



「他のも大丈夫そうですね。」

「結構大変なんだな…試着って」

「大変ですが、大事な事なんですよ」



三人は終え、二人も試着をさせた。

試着が終わると此処の店は服の他にも靴や下着類も売っているため、他の店に向かうのも面倒なので此処で買う事となった


靴はスニーカーにサンダル一足ずつと靴下や下着は二組カゴに入れた。


お会計の時、当たり前だが五人は持ち合わせていない為栞はあんまり使う事のないクレジットカードで支払いを済ませた。



 樋口は生活費以外ではそんなにお金を使う事はあんまりない。別に仕事が忙しいからとかじゃないし、無欲ではない。彼女も人間だから欲しい物は買ったりするが散財する程ことはしてないからなのか、稼いだお金は何かあった時の為に貯金してる


 店員さんは丁寧に畳んで袋に入れて貰ったら袋は結構あった為、菅野達に持って貰い店を出た。

後ろから『ありがとうございました』と結構な声量で言った。




「ホントに良かったの……? お金は大丈夫?」


武藤はおずおずと聞いてきた。武藤だけじゃない、他四人もお金の事を気にしていた。

言ってはいないが、顔にそう書いてあるのが分かる。


「大丈夫ですよ。貴方方は気にしなくてもいいですから」

「いやいやそう言う訳には……」と杉田が続ける


「安心してください。こう見えても結構稼いでいていますから!」



自信満々に言うと、五人は納得してくれた。

【引用・参考サイト】

○エレベーターの歴史・変遷-日本エレベーター協会-

URL: https://www.n-elekyo.or.jp/encyclopedia/history/elevator.html

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