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第八話 穏やかな時代

今回の回から二日目の朝に入ります。

*


一番早く目が覚めたのは菅野だったが、眩しい日の光で少し目を細める。

少し寝返りを打つと隣で鴛淵が子供みたいにすやすやと寝息を立てて眠っているのが視界に入った。


壁に貼り付けてある小さな時計を見ると、二つの針が丁度朝八時を指していた



(ん? 八時……?? しまった! 寝坊した!!)と思いガバッと起き上がったが、此処は居候させてもらっている栞の家にある客間だと直ぐに理解するとバタリと再び布団の上に倒れ込む。



(死んでまで、紫電改に乗ろうとしていたとは……)



すると、隣の居間からほのかに味噌汁の香りが漂っていた。菅野はその匂いにつられてムクりと起き上がりまだ夢の中にいる皆を心の中で謝りながら、またぎ居間に通じる襖を開ける



ガラリ



「おはようございます。直さん」

「おう。おはよう」


朝食の用意をしてくれてる栞に軽く挨拶を交わすと、畳の上に胡坐をかく。テーブルの上には真っ白に輝いていて少しだが麦も入っている白い飯と豆腐とネギが入った味噌汁にふわふわで綺麗な形をした出し巻き卵と胡瓜の浅漬け…『これぞ日本の朝食』とも言えるような献立だ。


味噌の香りや、菅野達の時代では高価だった白飯に卵を使った出し巻き卵のいい匂いが菅野の食欲を搔き立てる。



「旨そう…!」

「あ、先に食べててもいいですから」

「いや、もう少ししたら彼奴ら起きてくる頃だろから待っとる」



ガラリ


すると、眠っていた他四人が頭を掻きながら寝ぼけ眼をしておるが樋口と菅野に向かって『おはよう』と挨拶をし、ドカリと座布団に座り込んできた。



皆でいただきますと挨拶し、箸を持ち白飯をすくい口に運んだ。

嚙めば嚙むほど甘かった


昔、菅野達がおやつに食べた事のあるキャラメルみたいな甘さとは違う、甘さで出来立てだからなのか温かった




少し経ったら四人は眠気が覚めたのか樋口に『美味しい』と言ったら樋口は嬉しそうに笑みを浮かべながら『ありがとう』と言った。


ワイワイと喋りながら朝食を食べていると、栞が味噌汁をすすりながら


「今日は直さん達の生活用品や食料品を買いたいので身支度を済ませたら直ぐに行きますから。これから夏の時期なので夏服や靴も買わないといけませんので」



朝食を食べ終わると、樋口は使った食器を片付けている間、菅野達は顔を洗って歯を磨くと昨日着たポロシャツじゃない服を着てズボンを履き玄関に向かうと、貴重品を持った樋口が靴を履いて待っててくれていた。



「じゃあ、行きましょうか」


どうやって行くんだろうか…?? 自転車? それとも歩き??


そう菅野達は考えながら家を出ると、樋口は用心のため扉についてある鍵穴に鍵をかけると畑の隣には倉庫に着いたそこには…



「じゃあ、乗ってください」

「え!? これって…」




菅野達は驚いた。何故なら、


一般人が高価で手に入らないモノ、車が一台置いてあったのだ。しかも菅野達の時代にある上層部の人間達が乗っていた車よりも大きいワゴン車だ。


驚いて開いた口が塞がらないままでいる菅野達見てを樋口はおずおずと


「車…見たことあります…よね?」


「見た事あるから! …乗ったことはねぇけど」

「俺らそこまで昔の人間じゃないから!」と菅野達は少し焦りながら栞に言った。




「あら。栞ちゃん! お買い物?」


外から声がする方を向くと、畑仕事をするような恰好をしたおばあちゃんが立っていた。

すると、樋口はそのおばあちゃんの元まで小走りで向かうと頭を軽く下げて挨拶した


「おはようございます。これから畑仕事ですか?」

「ええ! もうそろそろレタスが収穫できるから様子見に行こうと思っていてね。あ、そうそう胡瓜ありがとね! とってもおいしかったわ」


「そうですか。それは良かったです!」


「あら? あの男の子達は?」

「嗚呼。今日から此処に住むことになった人達何ですよ」


「あら~。いい男達じゃないの! もし私が栞ちゃん位若かったら好きになってたかもね~」

と冗談か本当かはよく分からない事を口にした。



樋口に続いて菅野達もおばあちゃんに頭を下げて挨拶した。


「は、初めまして。菅野直です」

「栞ちゃんの家に住むことになりました。僕は林喜重です」

「俺は杉田庄一です」

「武藤金義です」

「俺は鴛淵孝です よろしくお願いします。おばあちゃん」



「初めまして。これからよろしくね」とニコニコと笑っておばあちゃんは畑仕事に向かった





おばあちゃんの姿が見えなくなるまで見送った後車まで行き、樋口は鍵を開けた


菅野達は車に乗り込み、座席に座ると栞は運転席に座った。菅野は助手席に座り、鴛淵と林は真ん中の後部座席に座り、杉田と武藤は一番後ろの席に座る。



「この時代、6人乗りの車なんてのがあるんだな」

「ええ。まぁ最大で8人乗りの車がありますよ」

「へぇー! スゴイな!」


「栞ちゃん。運転出来るの?」

「かねさん失礼ですね。こう見えても18歳の時に免許…まぁ、運転の許可証を貰ったので大丈夫ですよ」



「それじゃあ、行きましょうか!」と樋口が言うと、それに答えるように菅野達は『オー!』と拳を上げて叫ぶと同時に鍵を指し回すとエンジンがかかり右足でアクセルを踏むと車を動かした。


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