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第四話 後世に語り継がれている

この話は歴史に関する要素が多く含まれています。

「なぁ、何で栞は紫電改の事知っていたんだ?」

鴛淵は日本茶をかっと一飲みした後に聞いてきた。



(まぁ、そりゃあそうだよね…この人達からすれば女性が戦闘機に詳しいなんて物珍しいだろう…)


戦時中はまだ女性社会が現代みたいに進出してはいない。女性社会の進出が加速したのは戦後からだ。




「何でって…紫電改や零戦とか第二次世界大戦で作られた戦闘機、艦隊は後世では凄く有名になっていますよ。それに貴方方は”日本の撃墜王”と称されている位有名人なんです」


(日本人の殆ど知っている戦艦と戦闘機は戦艦大和と零戦だが…)



「特に菅野さんと杉田さんが有名ですね」

「俺!? 大尉は当然として俺もなの!?」


「良かったじゃねぇか、杉さん! それって、どの位有名なんだ?」



「杉田さんは農家の次男として生まれ、撃墜数は日本海軍戦闘機隊のなかで5本の指に入っていて”空戦の神様”と呼ばれています。


迎撃訓練中にB17と遭遇し、この戦闘で杉田は僚機と共に攻撃を仕掛けB17の右主翼を体当たりで破壊して撃墜、初戦果をあげたが垂直尾翼を失ったが その後も活躍を続け、204空の最多撃墜数保持者となった。


その後263空に配属されたが、直ぐに解隊し第201海軍航空隊に編入。上司である菅野さんの人柄と優れたリーダーシップに心服して、菅野さんの悪口を言う奴がいたら殴りかかったという話とか…」



「次に菅野さんは五人兄弟の次男として生まれ、近所ではガキ大将の様な存在で子供の頃に近所の猛犬を持っていたナイフで刺し殺したり、学生の頃は成績優秀で特に文学が好きで、好きな文豪は石川啄木。

飛行学生時代には九六艦戦を2、3機と零戦を壊したことから周りから菅野デストロイヤーと呼ばれていているフィリピンの撃墜王。

林さんと二人で防空壕の中に避難せずに爆弾の雨の中、談笑していたりとか。後麻酔なしで銃弾摘出手術を受けたり破天荒な性格として有名。


愛機に自ら敵をひきつけるために黄色のストライプ模様を描いて戦闘した事から米軍からイエローファイターと恐れられていた。


8月1日に”ワレ菅野一番”と入電で言い残し行方不明になる。」





「お前、俺と杉さんの事詳し過ぎだろ!? 何か怖ぇよ!!」

「凄い……全部当たってる…」

「まさかそこまで有名だったとは……」



樋口は失礼だな…と言いたいとこだが、この人達からしてみればストーカー並に知っているとゾっとするに決まってるな、と思いながらも言わないようにした。



「てか、俺行方不明になってるんだな…」

「部下の堀さんが一生懸命捜したらしいのですが見つからなかったらしいです」


「…堀はどうなったのか分かるか?」

「堀さんは生き延びましたよ。」



菅野さんは『そうか』と言い、フッと安心した笑みを見せる。よっぽど部下の堀の事が気掛かりだったのが分かる。


「てか隊長……犬刺し殺したって本当ですか?」

「いくら猛犬だからってなぁ……」


「あの頃は仕方がなかったんだよ!! 正当防衛だ! 正当防衛!!」

「正当防衛と言うより過剰防衛に等しいですよ…」



「てか、林さんと菅野さん。空襲の時に避難せずに談笑してたって……失礼なんですが馬鹿なんですか? 一歩間違えていれば死んでしまいますよ」


すると、武藤が「栞ちゃん。もっと言ってやって 俺達何回、隊長達を引きずってまで近くの防空壕の中に避難させたのやら……」と言いながら乾いた笑みをしながら遠い目をしている。




「武藤さんは太平洋戦争の撃墜王として有名で”空の宮本武蔵”と呼ばれていて、横須賀海軍航空隊の教官を務めた後、343空の戦闘301飛行隊に異動する。亡くなった杉田さんの代わりとして隊長菅野さんの護衛が務まる人物として司令の源田実大佐が指名で希望された。」



「鴛淵さんは戦闘第701飛行隊である維新隊の飛行隊長に就任し先任飛行隊長を務め、細部の空中指揮に関しては一任されていた。菅野さんと林さんと同様に自分の紫電改に敵をひきつけるためにストライプ模様を描いた。」



「そんな事まで…すげぇな」



「林さんは大東亜戦争末期、戦闘機「紫電改」搭乗員として本土防空戦に参加。性格は鴛淵さんと菅野さんの中間の性格でどちらかと言えば、無口だが芯は強く、一度目標を定めたが最後、梃子でも動かないところがあったと源田さんが評価しています。」



「源田さんが……そんな事を……」




「貴方方が亡くなった後、全員昇格しましたよ」


「え!?」

「なぁ、俺らはどの位昇級したのかわかるか?」と杉田は身を乗り出して私に聞いてきた


「えっと……確か、鴛淵さんと林さんは少佐、菅野さんは中佐で杉田さんは少尉、武藤さんは中尉です」


「……俺らも随分と出世したんだな…」


菅野はそう呟くと、日本茶を飲み干した。




「一応、戦後の日本の歴史をざっくりですが教えておきますね。戦後から二年後の1947年に大日本帝国憲法から日本国憲法を施行しました。

戦争で悲惨な経験を反省し、平和主義が日本国憲法の基本原則の1つとして戦争を放棄し、戦力をもたず、交戦権を認めないことを定めています。今は軍隊は廃止されて自衛隊と言う組織が作られました。


そこから日本は経済が急激に成長し、高度経済成長期に入りどんどん日本が豊かな国になりした。

その後昭和は64年で終え、元号は平成に変わり今に至ります。





それに……こうして私達が豊かで恵まれた生活が出来るのは、貴方方が日本の為に命を削ってまで戦ってくれたからだと思っています


本当にありがとうございます。そしてお疲れ様でした」






樋口は深く頭を下げた。


この人達が国を背負って戦ってくれたから平和な暮らしが出来て

戦争もなく、兵器を持たなくてもいい時代になった。


感謝してもしきれない。





顔を上げてみると菅野達は顔を赤らめて照れ笑いしていた。



「何か照れるなぁ…」

「貴方方はもっと誇りを持っていても構いませんよ」

「ンな事言われもなぁ~」



すると、壁に立てかけてある振り子時計が12時だと大きな音を出して樋口達に伝えた。


「あ、もうお昼ですね。お昼ご飯作ってきますから、ゆっくりくつろいで下さい」



栞は菅野達が飲み終わったコップを片付け、台所に移動しながら、今日の昼ごはんは何がいいのか考えていると、林が声をかけて来た。



「あの、栞さん。聞きたい事があるんだがコレは何でしょうか?」


指さす方にはテレビが置いてある場所だった。


「嗚呼。テレビですね」

「「「テレビ??」」」



菅野達は”テレビ”と言う言葉に首を傾げた。


参考文献・サイトの名前を書くのを忘れてました!申し訳ございませんでした。


【参考サイト】

◯Wikipedia フリー百科事典

URL: https://ja.m.wikipedia.org/wiki/


【参考文献】


◯『最後の撃墜王』

著者:碇義郎

光人社NF文庫


◯『六機の紫電改-若き撃墜王と列機の生涯-』

著者:碇義郎

光人社NF文庫


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