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第1話

私は今夜、このお屋敷を出ようと思う。



私はとあるお屋敷の長女として生まれる。

しかし、私の母は私を産んですぐに流行り病で亡くなってしまった。


公爵である父はしかし、私の母のことを本当に愛してなどいなかった。


何故なら、私の母は隣国の貴族の娘であり、政略結婚だったからである。


なので、私の母が亡くなっても父は涙一粒も溢さなかったという。


酷い話だと思うが、父も仕方なく結婚した被害者とも言えるであろう。


そして私はメイド達に可愛がられて育ったが、その際に父が私に会いにくることはほとんどなかった。


それは16歳になろうとしている今でも変わらない。


父にとって私は要らない子なのだ。


私が4歳の頃、父はとある飲み屋の娘と再婚した。


貴族が平民と結婚するなんてと周りは猛反対したが、その飲み屋の娘の器量の良さと父の頑固さで再婚が決まった。


この時、いずれ継母になる飲み屋の娘は、私に対しても優しく接してくれた。


私はすっかりこの魔性の女に騙されてしまったのだ。


私も父の再婚を後押ししてしまったことを今でも深く後悔している。


そして飲み屋の娘は正式に私の継母となり、一緒にお屋敷で暮らすことになった。


最初こそは良かったが、継母が第一子を出産してから、私の立場はどんどん追いやられる様になった。


父は生まれたばかりの妹を激愛し、足繁く継母と妹のいる部屋に通っていた。


私の時はそうでもなかったのに。


そして、妹が成長するにつれ、継母の私に対する態度もどんどん変わっていく。


「私のリザの方があなたより可愛いわ。」


「あなたは1歳2ヶ月も歩くのがかかったんだってね?うちのリザは9ヶ月だけどもう歩いたわよ。」


「あなたって本当にノロマよね、まだ1歳のリザの方がきっともっと賢いわ。」


この頃6歳の頃の私はそんな心ない言葉にすごくショックを受けていた。


しかし、私にも味方がいた。


私のことを育ててくれたメイド達は、まるで我が子を庇う様に私の味方をしてくれたのだ。


「あら、メイドの分際で私に口出すの?私は公爵夫人なのよ?」


だが、上下関係は明らかだった。

それは、子供の私が見ても分かること。


「お嬢様、ごめんなさい…」

「あの女だって元は平民の成り上がりの癖に!」

「旦那様に事を伝えても、何もしてくれないなんて…」


メイド達の抵抗は虚しく、中には辞めさせられる者も出てきた。


仕事をしなければ生活が出来ない。


そう割り切ったメイド達は徐々に私の味方をすることもなくなっていった。


そうした中、継母は更に第二子、第三子と出産した。


恐らく後継ぎの息子が欲しかったのだろうか、その期待は虚しく全て女児だった。

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