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第21話



「ど……どうしよう……」


「ゼルスン?」


「あ、ああいや!」


 怪訝そうな顔をするファレンスに、俺は慌てて首を横に振った。


「なんでもないぜ! そうだよなあ~必殺だもんなあ!」


「うむ。つまり、私の<ヴァイオレットジャスト>さえ決まれば、何も心配はいらないということだ。今までの実績が証明している」


「うんうん」


「いかにしてスキルを当てるか、その点に力のすべてを注いでくれ」


「ああ。……それはわかってる」


 キッチリやるさ。

 キッチリとな。

 ……流れのままに考えれば、ダクテムがそれを怠った、ってのがいちばんしっくりくるんだが……


 そうとは思えない。

 違っていてほしい。

 でもそうじゃなかったら、それはそれでどうしよう?

 やっぱここの魔王が弱かったら、負けない程度に手ぇ抜いちゃおうかな……


『心配ないですよ~』


 む?

 マロネ?


『ゼルス様がなにを心配してるか、マロネだいたいわかっちゃいましたけど』


 あん?

 ほんとかあ?

 この魔王ゼルスの偉大なる頭脳についてこれるとでも?

 ましてやその頭脳を悩ませる問題に、そう軽々しく心配いらないとは……


『ダンジョンの魔王が弱かったら、ファレンスに強化スキルかけると同時に、それ以上の強化を魔王のほうにこっそりかけちゃえばいいんですよ~』


 ……………………。

 マロネ……

 俺はいつしか、あいつを見くびってしまっていたようだ。

 ツインテールが本体とかうわさ流してすまない……


『お顔が明るくなりましたね~。ではマロネは朝のおやつをば』


 まって顔に出てたの俺!?

 あんな心配ごとが!?

 ちょ、ちょっとー! 早く言ってよねー!

 恥ずかしー!


「ファレンス様」


 恥じらう俺の後ろから階段を降りながら、アリーシャが小さくもよく通る声で言った。


「ファレンス様の、その決め手のスキルですが。なにか特徴があるのですか?」


「特徴かね?」


「たとえば、強力ながら予備動作に時間がかかる、ですとか。射程があまり長くない、ですとか。そういった点が把握できていれば、ゼルスン様もサポートしやすいかと」


 ふむー。

 ふふふ。

 アリーシャよ。

 それは正論というか、当然ながら事前にしておくべき質問だがね。


 今回ばかりは口止めしておくべきだったかなあ。

 直に見るときの楽しみにしたいじゃあないか。


「ふむ。いい質問だ」


 胸を張って先頭(・・)を行きながら、ファレンスは振り向かずうなずいた。

 パーティに重装兵がいる意味、今のところ皆無。


「やはり私は剣士、そして<ヴァイオレットジャスト>は聖剣ロンダルギアのスキルだから、射程はさして長くはない。だが、今まで問題になったことはないな」


「近づいて斬る、の基本は(たが)えない方向でしょうか」


「ああ。とはいえ、心配する必要はない。私は剣の腕前においても、王国に比類なき存在なのだからな」


「左様ですか」


「魔力武器はおしなべて、素材となった武器の扱いがスキルなどにも影響する。私の操るロンダルギアがどれほどの力を示すか! それはもう……」


「それはもう?」


「すごいものだよ!」


 語彙力は比類なきってわけじゃなさそうだな。


「む……?」


 俺は耳を澄ませた。

 パーティメンバーの装備がガチャつく音の合間、ダンジョンの奥から物音が聞こえた気がしたのだ。

 ほどなく、通路の奥にゆらりと影が立つ。


「ゴブリンか……。ダンジョンの初手としちゃ、妥当なとこだが……」


「ふむ。だが? どうしたね、ゼルスン?」


「…………。いいや? 別に。当然、戦うんだろ?」


「ふふふ、言うまでもない! 私の行く手を遮る魔物に、鉄槌を下さぬ理由なし!」


 ふむ。

 くふふ。

 それでは、いよいよ。

 勇者殿のお手並み拝見といきますか!



お読みくださり、ありがとうございます。


次は11/23、7時ごろの更新です。

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