魔境じゃなくて神界ですよ?
「これは奇跡だ!神々が我らを救って下さったのだ!」
『転移』を使って街に帰ると、冒険者や衛兵の方々がそんなことを口にしながら騒いでいた。・・・何事?
「あっ、ジンさん。こんな所にいたんですか!」
「ルミアさん」
向こうからルミアさんが走ってくる、その後ろには何やら疲れた様子のアリーネさんもいた。
「聞いて下さいジンさんすごいんですよ!先程こちらに向かっていた魔物達が全滅したとの報告があったんです。数はまだ調査中とのことですが、最低でも10万はいたというのにですよ!」
「は、はぁ」
ルミアさんが熱弁を始める、アリーネさんは眉間を押さえている。
「これはもう奇跡です!神の奇跡と言っても過言ではありません!」
駄目だ、これはしばらく止まりそうにない。アリーネさんに助けを求めるも今度は頭を抱えている。
10万、さっきの氾濫もそのぐらいだったけど、戦力的にはたいしたことなかったし、どうやら僕が行っている間にまた別の氾濫が来ていたらしい。
にしても神の奇跡かー、神様達は基本こっちに無干渉だったはずだけど、また雷神様が酔っ払ったのだろうか。
にしてもアリーネさんは大丈夫だろうか、何やら胃の辺りを痛そうに押さえている。
「きっとアレは夢だ、そうに違いない、きっと疲れているんだ・・・・」
アリーネさんが何やら呟いているが周囲の喧噪でよく聞こえない、
「聞いてますかジンさん!」
「はっ、はい」
その後ルミアさんの熱弁を2時間ほど聞かされた後、僕は(精神的に)疲れ宿屋へと戻るのだった。
「さて、昨日のことに関して少し聞かせてもらおうか」
朝部屋を出たら、なにやら疲れ気味のアリーネさんがいた、何事?
「えっとアリーネさん?その、大丈夫ですか?」
「面白いことを言うな、大丈夫に決まってるだろ」
だめだ、目が据わってる、よく見ると目の下に隈もできている。
「さあどうした、こちらは昨日の心労のせいで一睡も出来なかったのだぞ、しかも当の本人は宿屋に帰って寝てしまったときた、フフッ、ハハハッ・・・」
アリーネさんが1歩、また1歩とにじり寄ってくる。怖い。
「えっと、僕はただ普通に魔法で魔物を倒した後、普通に原因をたどって、普通にそれを処理しただけですよ?」
事実、僕は昨日これといって特別な事をした覚えはない、せいぜいあの二人組と珠と一緒に洞窟を更地にした位だ、それに、あの場所ならもう魔法でなおしたはずだ。
「ということですので、きっと人違いでは・・・アリーネさん?」
「・・・・・」
「あのー、もしもーし?」
ジンは呼びかけた
→しかし、返事がない
「あっ、あのー?」
「・・・・・」
ジンは揺さぶった
→しかし、返事がない
「・・・・・(バタンッ)」
「アリーネさん!?」
アリーネは心労で倒れた
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「よし、お前が常識に疎いと言うことは分かった」
その後アリーネさんを回復魔法で回復させると、開口一番にそう言われた。なして?
「何を言っているか分からないといった顔だな、なら言わせてもらうが、まず普通の冒険者は10万を超える魔物の群れを1撃で殲滅したりしない!」
「えっ、でも神か・・僕の地元では誰でも出来ましたよ?」
「どんな魔境だそこは!?」
魔境じゃなくて神界なんだけどなー。
皆様お久しぶりです、暑い季節ですがいかがお過ごしですか、最近家の冷蔵庫が壊れて氷は凍るのにアイスが固まらなくなりました。