第一章その3
~~~ 再誕の森(自然文明) ~~~
KABOON! KABOON! 森の中に爆音が響いた。 獣道同然の細い道で、兵士が戦っている。 戦いは激しく、何人もの死体が転がっていた。 KABOON! 爆音とともに蒼炎が上がる。 また爆発だ! 一体だれが?
よく見ると、爆発を起こしているのは、蒼い槍の男。 どうやらその男が片方の勢力の隊長のようだ。
「なんだ? ……戦闘? 一体、誰が?」
雷牙は足を止め、近くの木の枝に着地して、状況を観察する。
「……」
一方は蒼い槍の男を中心に組まれた軍隊。 革製の鎧と、統一された装備の兵士が周辺を囲んでいる。 数は20人ほど。 どこかの国の正規兵だろうか。
もう一方は、捻じれ角に赤毛の女が率いる部隊。 装備も統一されておらず、全体的に貧しい印象を受ける。 数は10人ほど。 昔、映画で見たレジスタンスのような姿だ。 しかも、年齢、性別もバラバラで、明らかに練度の低い少年兵や、少女が混じっている。
「諦めろ。 戦力差は倍。 そんな寄せ集めの雑魚で、三本槍の一人、蒼槍のジードに勝てるものか。 潔く投降しろ」
ジードと名乗った男は、槍を突き付けて宣言する。 雷牙は、その動きだけで、ジードの実力がはったりではないと見抜いていた。
”””あの男、かなり強いな。 周りの兵士は瞬殺できそうだが、アイツは結構苦戦するかもな”””
雷牙は気配を消して、観察を続ける。 今の雷牙の視力なら、気付かれようがない距離からでも、はっきりと見えるし、聞こえていた。
「ハン! 誰が諦めるもんかい! アンタらが圧政を敷いてるから、民が死ぬんだ。 あれだけ殺してるのに、今更、投降? 鏖す気だろうに!」
捻じれ角の女が言い返す。 この人も、ジードと名乗った男と同格の戦闘能力があるようで、その動きや言動には、まったく隙が見当たらない。
「元、防衛隊長は、さすがに鋭いな。 なぁ、レラ。 レラ・バニング。 確かに私は鏖せと言われている。 だが、貴様を殺そうと思うと、私の部隊も無事では済むまい。 だから、取引をしよう」
「……取引?」と、レラと呼ばれた女は顔をしかめた。
「レ、レラ。 どうする、の? 勝て、ない……よ」
レラの隣で、褐色肌の少女が問いかける。 その顔には、不安が浮かんでいた。
「そう、取引だ。 貴様がその首を差し出せば、他のものは見逃してやろう」
「……それを、信用できる根拠は?」
ジードはやれやれという風に肩をすくめた。 そして次の瞬間、蒼炎が放たれていた! KABOON! レラの立っていた場所で、爆炎があがる。
「貴様が要求を拒めば、そこの女から殺す。 順番に捕らえて、痛めつけ、犯し、嬲り、殺す。 これは間違いなく保障しよう!」
雷牙「次回はお待ちかねバトル開始だぜ!」
金紅「わ、私も、出てるんだよ~」
雷牙「次回も、お楽しみに!!」