第一章その12
雷牙は、器に満たされたシチューの匂いを確かめ、一口だけ舐めた。
「……毒は、ないな。 じゃあ、いただきます」
トレーに乗せられていたスプーンを手に取
「グゥッ!?」
ろうとしたその瞬間、左肩に激痛が走った!!
驚いてみると、左腕には幾重にも包帯が巻かれ、僅かに血が滲んでいる。
「……そうか。 あの竜と戦って、倒れたんだったな」
左腕は動かせそうにない。 雷牙はとりあえず、右手だけでシチューを口に運んで、すごく嫌そうな顔をした。
「───マズい」
料理の文化が違うとか、そういうのを無視したレベルでクソマズかった。 粉っぽい味に、生煮え、焦げ、ざく切りの素材が適当に突っ込まれている。 ものによっては、皮が残っていたりしている。
「なんつー雑い作り方だよ」
だが、飯を粗末にするのは、信条に反する(コレを飯に含めるのも信条に反する気がするが)ので、意を決して二口目を救った時、
「ん?」
視線を感じた。
視線は、部屋の扉からきている。
「じー。」
横目に見ると、戸の隙間から、無言で見つめるルチルの姿があった。 雷牙のことが気になるのか、息をひそめるように見つめている。
「いや……、見つめられると、食べにくいんだが」
「あ、ご、ごめん…なさい」
ルチルは気まずそうに、視線を逸らした。
「……」
その動きに、違和感。 ”””左目が動いてない。 いや、これは───”””
「お前、その左目……、見えてないのか?」
「ッ……! う、うん……」
ルチルは一瞬、驚いたような顔をした。 それから、小さく頷いた。
「……そうか。 いや、悪い。 忘れてくれ」
雷牙の聴覚(アストロボーイ級)は、ルチルの声が僅かに震えていることに気付き、深入りするのをやめた。
ルチルは、その気遣いに気付いたのか、僅かに顔をほころばせた。 その変化は、雷牙には気づかれていなかった。 雷牙は食事に戻っていたからだ。
~~~ 閑話休題 ~~~
食事を終えた雷牙は、ルチルに案内され、別の部屋へ移動していた。
道中の通路も、『医務室』の札がかけられたこの部屋も、すべて岩でできていて、観葉植物の照明が並んでいた。 部屋には窓があって、日光が差し込み、結構明るかった。
「ほ、包帯…変える、から……、そこ、す、座ってて……」
「おう」
雷牙は言われるまま、木製のベンチに腰を下ろす。 そう言えば、このベンチも、見たことのない木材が使われている気がする。 こんな所にも、別世界だと思い知らせてくる要素があるものだ。
壁際の薬品棚に目をやる。 入れ替えの激しい感じがした。 そして、薬が極端に少ない。 おそらく、手に入れた端から、消費されているのだろう。
”””部屋自体も、血腥いな。 死人がでてる部屋の匂いだ。”””
雷牙にとっては、特段異様でもないが、一般人なら、においだけで気分が悪くなるような部屋だ。
雷牙「もうテンプレでいいや」
愛羅「気に入ったら、応援してね!」
雷牙「次回もお楽しみに~!」




