第一章その8
山の主はガチガチと牙を鳴らしている。 おそらく、火炎ブレスの予備動作だろう。 だが、少女は腰が抜け、その場から動けずにいる。 少女の顔が、恐怖に歪むのを、火の粉が赤く照らしていた。
そして、山の主は火の玉を───発射!!
「まにあ……えぇええッ!」
「え、きゃあ!?」
スライディングで火の玉を掻い潜ると同時に、雷牙は少女を抱きかかえる。 少女は突然のことに躰を震わせた。
「えぇい。 ぼさっと座ってんじゃねぇよ!!」
「……ご、ゴメン、ナサイ」
少女は怯えた声で謝罪する。 その声は雷牙を怖がっているようだったが、そんなことは気にしていられない。
「……」
少女の顔をよく見ると、左側に大きな火傷跡が見える。 だが、それを気にするのは、今ではない。
KABOON! 雷牙のすぐ後ろに火の玉が着弾! だが───
「───Moenia terrae!」
少女の声が響く。 同時に、雷牙のすぐ後ろに『土壁』が生まれ、二人を爆炎から守った。
”””なんだ今の? いや、考えるのは後だ!”””
雷牙は少女を近くの木陰に隠すと、山の主と向き合った。
「GRRRRRR……」
「さぁて、此の躰なら、竜にも勝てる、のかねぇ」
「無茶だよアンタ! 人間が勝てる相手じゃない!」
レラが遠くから忠告してくるが、雷牙は無視した。
”””誰かが囮にならなければ、コイツは森を焼く。 で、、獲物を炙り出すよな。 なら、俺が戦うしかねぇだろ……!”””
雷牙の中に、理性が戻ってきていた。 だが、それは危険なことだ! 雷牙の力の源は、精神力、つまり、殺意だ。 雷牙の奥底に眠る力。 それを、殺意によって引き出している現在、理性を取り戻すほどに、力は弱体化していくのだ!
山の主は、地面を爪で削りながら、雷牙を睨めつける。 警戒しているのだ。
「……」
雷牙は、先手必勝とばかりに跳躍する。 脚力を活かして、近くの木の幹に移動。 即座に幹を蹴り、山の主へと飛び掛かる!
「どらぁああ!!」
山の主は、空中の雷牙に向けて火の玉を発射! BOMB! 直撃か? 否! 雷牙は鋭い斬撃で爆炎を切り裂き、一気に突っ込む!
「Break it!!」
SLASH!! 雷牙の拳が、山の主の後頭部を直撃! 鱗の隙間を正確に捉えた一撃で、鮮血が舞う!
「GYAOOOOOU!!」
山の主は、急速な失血によりダウン! 頭が地面に着くと同時に、地響きが広がった。 ズズゥウン。 そのまま山の主は動きを止めた。
雷牙「今日も大活躍だな、俺」
愛羅「すぐそうやって調子にのるんだから・・・」
雷牙「そう言うなよ。 んじゃ、次回もお楽しみに~」
愛羅「応援してね!」




