序:5~覚醒~
至らぬところが多々ありますが、よろしくお願いします。
誤字脱字ミス知識などありましたら、申し訳ございません。
「主電源よし。動力問題なし」
彼女の操作する様を後ろの座席から眺める。
フーッ…
長い呼吸を挟む。
彼女が両腕を後ろに、体を反らす。
胸を突き出し丁度俺の頭の横にあった操縦桿を握り手前に引き出す。
左腕に痛みが走ったようだ。脂汗が浮かぶ。
「システムスタンバイ…!」
彼女のヘッドギアに変化が起きる。
両目を覆うように粒子状のバイザーが現れる。暗闇で青く光るそれは彼女の色白い肌をより一層際立たせた。
「行くよ」
「うん…」
「ミュージィ・アップル!アランカー《発進》!!」
白いPJは立ち上がる。格納庫を押し上げる轟音が鳴り響く。
頭部のゴーグルの奥から覗かせるツインアイが輝く。
あちこちでドンパチが行われる中立ち上がる。まだ朝日は水平線の向こうだ。
「味方のPJがやられてる…」
「蜘蛛の目…」
「アデル軍のPJはそんなに弱いの?」
「アデルのPJは世界的には旧式扱いよ。新しい機体がガンガン作られるから、技術的に追いつけ追い越し…きた!!」
会話が終わらないうちに敵影が向かってくる。
俺は喉の奥で思わず声が出た気がした。彼女に聞こえてないか恥ずかしかった。
蜘蛛の目が建物の影から銃弾を浴びせる。
「やられる!?」
「やられない!!」
「うわ!!」
敵の銃弾を交わすために横に緊急回避する。
「ステップぐらいで驚かない!」
負けじとこちらもマシンガンを撃つ。
蜘蛛の目はさらに奥に下がる。
「逃げられた!?」
「今のうちに引くわよ」
「逃げるの?」
「味方と合流するの!戦いは2対1以上が基本でしょ!」
格納庫の隅に盾が落ちている。
「拾わないの?」
「拾ってる余裕がない」
「…」
「拾えないんじゃないのか…!?」
「!!」
「その左腕で拾う余裕がないんじゃないのか」
「左の操縦桿を貸して!」
「ちょっと!」
俺は無理矢理彼女の操縦桿を奪った。
「俺が左腕を!大丈夫PJの操縦は授業でもやったから盾を構えるぐらいなら俺にもできる!」
左の操縦桿を手のひらで前に差し出すとPJの腕も前に出される。
操縦桿を握るとPJの指も握られる。
盾を拾うと自然と笑みがこぼれてしまう。
何か成し遂げたような不思議な感覚だった。
「危ない!」
蜘蛛の目の弾丸が脇をかすめる。
すかさず身をひるがえすと反撃に出る。
「弾薬は…!?」
「被弾してる!右肩!」
一瞬の隙だった。
「大丈夫!」
上半身を捻る。
「障害物の情報を!」
建物の影に隠れながら敵機と並行して走る。
「味方と合流して…弾薬の確保を…!」
建物の影から出た一瞬だった。
蜘蛛の目が至近距離で光る。
「早い!!」
蜘蛛の目の腕からナイフが飛び出す。
「また右肩!?」
「盾を!」
必死に全面に押し出した盾をあざ笑うように蜘蛛の目は右に回り込む。
振りかざされたナイフは適格にこちらの右肩を切り刻む。
「右肩に亀裂発生」
「まずい!」
「このぉ!」
俺が思いっきり左腕を突き出すとPJも左手を突き出す。
これでもかといったぐらいに上半身を捻るようにして盾の先端は蜘蛛の目の横っ面を叩く。
よろけた蜘蛛の目は建物に倒れかかる。
「今だ!反撃を!」
ミュージィはペダルを強く踏み込むと後ろに大きくジャンプした。
バーニアを吹かして後退を始めた。
「なんで!?今なら隙があるのに!!」
「これ以上右肩に負担をかけるわけにはいかない!立て直す!煙幕を!」
「煙幕?」
「左のパネルを!」
白い煙幕は周辺を覆い隠した。




