序:3~目覚め~
至らぬところが多々ありますが、よろしくお願いします。
誤字脱字ミス知識などありましたら、申し訳ございません。
舗装もままならない道を黙って歩く。
丘の上に一軒ある我が家は木とレンガでできている。今にも倒れそうだが見た目の感じを残して中の補強は見た目のわりにしっかりされている。
日が沈む直前に家に着く。
我が家だけ街から少し外れている。
それは俺たちの出生にわけがある。
「俺…諦めてないからな」
リュコフは自宅の扉を開けると一目散に部屋に向かった。
「おかえりなさいませ。お食事のご用意ができております」
「うん。荷物置いてくる」
家政婦に声をかけ階段を昇る。
木の廊下を歩くと靴の音が響く。撓る木の音も。俺はこれが好きだった。隠れて移動することはできないけどね。
家政婦の作るシチューがとても好きだ。黙々と食べる。食器の音だけが鳴る。廊下の音に比べたらこっちはたいして好きではない。
「お母さまの容態は?」
食器の音が鳴りやむ。
どうせこんな時しか聞けないから。
「あまりよろしくありません」
「そう…」
少し離れた屋敷に母はいる。
お抱えの医者たちが側にいる。
病名は教えてもらえてない。でもなんとなくわかる。心労だ。きっと…
ヤパンの国はメティスの近くにあった。俺たちが生まれる前に滅んだが紛争地帯だった。ヤパンも戦禍にを被ることになる。
ヤパン家はその名の通りヤパンの王族だ。
俺たちは失われたヤパンの亡命者たちだ。
気分を落ち込ませながら部屋に戻ると真っ先にベッドに倒れこんだ。
ちょうど同じころベッドの脇にある冷たい金属の管に耳を当てる。
伝声管だ。
「ペケ…起きてるか?」
やっぱりだ…俺たちにはなんとなく互いのことがわかる。
「あぁ」
「どうして今日母さんのこと聞いたんだ?」
「…」
「もう俺たちが入り込む余地はないんだろうか」
「さぁな…少しでも進展があればいいのにと思ってね…」
「ヤパンの血は…俺たちで最後になるのかな…」
「いやお前だけだリュコフ。俺は所詮忌子さ」
沈黙が流れる。こればかりは仕方ない。
双子で生まれた俺たちはヤパンの風習で弟の俺は忌子とされる。
主に長男の影武者として起用される。
母は俺をリュコフだと思って俺を背負って戦禍を逃れた。
あの時の優しい母の背中を忘れていない。
リュコフは別の船に乗っていた。
今ここアデルの地でひっそりと暮らしているがみんな承知している。
「おやすみリュコフ」
「おやすみペケ」
リュコフの優しさが少し辛かった。リュコフの闘争心も少し辛かった。
リュコフは俺の持っていないものを持っているような気がする。
きっと子宮の中に忘れてきた記憶に二人の性格を分ける何かがあったんだろう。
それとも本質的には俺にも備わってるのか。
あの好戦的な性格は俺の中から分離したものだと思いたい。
もう苦しいことから逃れたい。
街から外れた我が家の灯が消える。
まるで誰かに監視されているように分かりやすい位置にある家は街が見守るなかひっそりと眠りについた。




