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眠り姫は熊将軍のキスを所望する  作者: とらじ。
第1章
8/20

長い夢を見ていた

亀更新…すみません!



ーまるで長い夢を見ていたようだった。




「エステル…エステル」と誰かが自分を呼んでいる。



その声は切なげだが、どこか熱をはらんでいるようにエステルは感じた。

ふわり、と髪を揺らしながら振り返ってその声のする方角をみた。何故かそちらにいかなければいけない気がして、エステルはそちらに行こうと一歩を踏み出す。だが、足は思うように動かなかった。まるで目には見えない足枷が付いているかのようだ。







ーだが次の瞬間、カチャリとその枷が外れた。


「行きな、可愛いお嬢さん。

その声の主の元へ。」


という、誰かのセリフと共に。


















「…?」


なんだろう。自分の体の上で何かが動いている。

動物?猫?いや、城内に動物はいないはずだ。

ではなんだろうか。とてもそれは暖かい。


ーにんげん?


眠り姫はその答えにようやく行き着いた。そして、彼女は正解を確かめようと、ゆっくりとその瞼を持ち上げていく。何故かその身体は重くまるで瞼に錘が乗っているかのように感じたし、瞳には涙の薄い膜が貼られてまだ視界はボヤける。だが、その目はうっすら大きな影を捉えた。その大きさや形はまるで、


「く…ま…さん?」

「…っ?!ひ、ひめ!」

エステルがか細く少し掠れた声を喉から発すると、くまさんと呼ばれた相手はひどく焦った様子を見せた。一瞬動きを止めたようだが、慌てながらも何故かエステルの寝着を整えると彼女から離れる。自分の寝相が悪かったのだろうか、とエステルは少し恥ずかしくなった。


考えている間にぼやけていたエステルの視界も次第に晴れ、はっきりとしてくる。

10年ぶりの世界。

そんな彼女のその開かれた瞳に映ったのはかわいいくまさんなどではなかった。

「…人。軍人様?」

彼女の瞳にうつされた人物。

そう、それは、警護に当たっていたゲオルグ将軍であった。二つ名は熊将軍。あながちエステルの答えは間違ってはいなかった。



















10年の間、眠りについていたエステル皇女が目覚めた。どんな音にも動作にも全く反応せず、ただひたすら眠り続けたあの姫がー。


その事実を、ゲオルグは簡単には理解出来なかった。

逆に本人はまるで呪いなどもとから存在していなかったかのような顔でキョトンと寝ぼけた表情を浮かべている。20歳になる姫のその顔がまた可愛いらしく、それを目にしたゲオルグは思考が混乱を極めた。


一体、どういうことだ?


皇帝の話では、姫の目覚める条件は「真実の愛のキス」の可能性が高いということではなかっただろうか?では、何故、彼女は今目を覚ましたのか。

思い当たる節がないわけではなかった。だが、その事実はゲオルグにとって大変分が悪い。南軍将軍ゲオルグは、たった今45年の人生最大と言っても過言ではない窮地に直面していた。




「あ、あの…」

と、ゲオルグの悩みも露知らずベッドの傍に立っている彼にエステルは話しかける。

「…なんだ?」

ゲオルグは思わずいつもの調子で、低い声を腹から響かせた。むさくるしい部下達ではなく相手は可憐な女性、しかもこの国の姫だったと気づいた時には既に遅し。強面の熊男に不機嫌な返事をされた姫はきっと震えだすが、下手をすれば泣き出すかもしれない。

「貴方は、私の新しい近衛の方でしょうか?」

だが、エステルはそんなゲオルグの心配をよそに何のためらいもなく話を続けてきた。そんなゲオルグの顔を見ても怖がる様子を見せない姫に、彼はまた驚くしかない。

「…そうだが、何か問題でもあるのか。」

先程反省したはずなのだが、ゲオルグはまたもぶっきらぼうな返答をした。

「マシューは、今日お休みなのですね。」

そうですか、とエステルは、ある男の名を口にだし寂しそうに微笑んでみせた。その名前にゲオルグは聞き覚えがあった。

マシュー・ヘンラート一等兵。彼は10年前、第一皇女の専属近衛兵であった男だ。彼はエステルが眠りについてのちも姫の護衛兵としてゲオルグのもとで働いていた。だが、三年前に事故に遭い左足を損傷し退役。今は、フィッシャーのもとでエステルの呪いの研究の手伝いながら時折ゲオルグに手紙をよこしていた。そんな彼の忠誠心は騎士の鏡と言えたし、だからこそ姫はこんな表情を浮かべたのだろう。

「マシュー、一等兵は…」

と言いかけて、ゲオルグは口をつぐんだ。彼はあの質問からしてエステルはこの10年自分が眠っていたことを知らないし、気づいてもいないのだと、今理解したからだ。

もし、ここでそのことを告げたら彼女はどんな反応をするのか。だからと言って、隠し黙っていることは出来ない。いずれ、自分の身体の変化にも彼女は気付くだろう。


そしたら、姫はー。












「…すまぬ。」


ー!!


そういうと男は、彼女の首に軽く手刀をうちこんだ。





…おかしいです。汗

物語が全然明るくなりません_:(´ཀ`」 ∠):

ああ…文章力…ああ…

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