逆神、有川
道彦の初めての殺人ショー。
その映像は一瞬で拡散された。
殺人ショー自体は珍しくない。
戦地や治安の悪い地域なら毎日あるだろう。
実際にイスラム国などが公開している映像も存在する。
実際防犯カメラに犯罪の証拠が撮影されるのはよくあることだ。
だが道彦の中継は違った。
いきなり戦地に放り出された少年が行為に及んでいた小児性愛者を惨殺したのだ。
これは誰も見たことのない映像だった。
ちょうどこのライブを見ていたアメリカ人の青年エディ・ハンセンは思わず「YEAAAAAAAAAAH!」と叫んだ。
それは実に痛快だった。
わかりやすい悪党を地味な少年が成敗する。
確かにスーパーマンやバットマンよりはスマートではない。
パニッシャーのようにえげつない方法での殺害だ。
だがそれが逆に良かった。
それはコミックにはないリアルで心の底からの願望だった。
そう、悪党は苦しんで死ぬべきなのだ。
これを正義ポルノと言うが、日本の愛国ポルノのように悪意を持った言葉ではない。
気持ちいいコンテンツという意味である。
そう最高に気持ちがよかったのだ。
全米ライフル協会のお得意の答弁に「この少女が銃を持っていれば犯行は防げただろう」というのがある。
それと同じだ。
持っていたのが銃ではなく剣だっただけだ。
確かに裁判も受けなかったし、民主的ではない。
だがとにかく悪党は死んだのだ。
これで少しは世の中が良くなるはずだ。
エディはSNSにこのライブのURLを書込んだ。
スゴイ映像が見られるぞと。
同じことをしたのはエディだけではなかった。
全世界で数千人が同じことをしたのだ。
その宣伝効果は凄まじい。
素早い海外マスメディアが一斉に道彦の映像を生中継しはじめた。
合間合間で兵士を惨殺する道彦の映像が流す。
SNSには道彦の個人情報が拡散され、顔写真まで流出する。
ヒーロー出現か?
それともただの殺人者か?
議論は真っ二つに割れた。
そもそもペド野郎は死ねという暴論。
韓国軍に殺されそうになったと道彦が言っていたこと。
彼はレイシストだ。
様々な角度から議論が進んだ。
だがそもそも世界の一般人は韓国と北朝鮮の区別もつかない。
「韓国って中国のどこだっけ? あの変な髪型の王様がいる国だっけ? なんで日本人がいるの? 日本って欧州のどこだっけ?」を繰り返し議論することになったのだ。
一方、日本のマスコミは沈黙を保った。
韓国様の不利な情報は流さない。
それが日本のマスコミなのだ。
明日のニュースはゆるキャラとB級グルメとアイドルだ。
動物園のライオンの赤ちゃんのニュースも忘れない。
あとはいつもの政権批判で穴埋めでもして道彦が死ぬのを待てばいい。
死んだら小さく報道してネットで右翼主義者だと繰り返しレッテルを貼ればいい。
それ以外は許されないのだ。
すでにマスコミには心を持った人間はいない。
あるのは賄賂と性欲と麻薬、それに韓国至上主義の宗教家だけだ。
彼らには韓国に都合の悪いことは見えない。
だから報道もしない。
それが正しいと信じているのだ。
こうして露骨なまでに不自然な報道は続くのである。
その結果として視聴率は下がり続け、新聞の購読者は減り、本は売れなくなるのだ。
だがそれも国民の選択なのだ。
だがそんな自国民以外に優しい国にも確実にバカは存在する。
それが有川裏地海松議員である。
かの偉大なレーニンから名前を頂いた根っからの共産主義者である裏地海松は短文投稿型SNSで問題を提起した。
「鈴木道彦は差別主義者でネトウヨ」
完全に意味不明である。
いつから小児愛好者を殺害するのがネトウヨになったのだろうか?
そもそもネトウヨの定義はなんだったのだろうか?
そんなことは有川にとってはどうでもよかった。
彼にとっては韓国に逆らうものは全てネトウヨなのだ。
いや自分自身の思い通りにならないものは全てネトウヨなのだ。
もちろんこれに対して大量の意見が投稿された。
「意味わかんねえよ」と。
有川はそれを華麗にNG登録していく。
その姿はどこまでも必死だった。
「ネトウヨの煽りが凄まじい。全員NGにしてやった」
もはや意味がわからない。
いや最初から意味などない。
自分に逆らうものは全てネトウヨ。
それがこの日本の左翼の姿なのだ。
「思えばナチスもこうやって宣伝をしていた」
議員でありながら国民の生の声をナチス呼ばわりして切り捨てたのだ。
どちらの方がナチスなのかはすでにわからない。
当然、ネットは大炎上した。
だがこの有川。
実はネットでは有名な逆神様なのである。
そこまで嫌われているのか超自然的な現象なのか不思議なことに「買うな」と言った本が次々とベストセラーになって行くのである。
この時は、道彦の動画の再生回数に働いた。
逆神様のおかげで再生数が異常なまでに増大したのだ。