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世界最優秀民族が異世界にやってきました  作者: mk-3
第二部 伝説の生放送
37/37

最終話 トゥルーエンド

「破壊する」


 道彦は言った。


「破壊?」


「知識の泉を破壊するんだ! こういう施設は外は強いけど中は弱い。その証拠にキムの攻撃で壁や柱が壊れてる。知識の泉を破壊すればキムもどうにかなるはずだ!」

「いやでもどうやって?」


 道彦は飛行機を指さす。


「あの飛行機からミサイルを本殿にぶち込む。山岡さん指示して!」


「ああ! わかった! 君たちは逃げて!」


 山岡が指示を出し、道彦たちは死ぬ気で逃げる。

 道彦はここ数日で嫌と言うほど思い知った。

 撤退は全力で。さもなければ死ぬと。

 走るたびに体が軋む。

 傷を塞ぐ糸がぶちりと切れる。

 銃で撃たれた傷から血がにじむ。

 あまりの痛みに道彦の脳が自ら創り出した脳内麻薬でハイになる。

 かつてキムだった肉塊の一つから爆発的に肉が増殖した。

 肉が一気に回廊を埋め尽くし全てを飲み込んでいく。

 未来の戦闘機は機関砲を撃ったが焼け石に水だった。


「クソ! 撃つぞ!」


 もう距離や仲間の撤退など気にしている暇はなかった。

 飛行機に乗り込んだ兵士は中のマニュアルを読みながら安全装置を解除して肉の先にある本殿に向けてミサイルを発射しようとした。

 まともに飛ぶわけがないがやらないよりはマシだろう。

 兵士はミサイルを発射する。

 パイロンからミサイルが切り離されミサイルが本殿に向かう。

 幸運なことにミサイルは地面にこすってバウンドしながらも予定通りの進路をたどった。

 ミサイルは神殿を包んだキムの肉に突き刺さり、爆発した。


「やったぞ!」


 遠藤が逃げながらガッツポーズをした。

 するとガラガラと敷地全体が揺れる。


「な、なんじゃこりゃ!」


「遠藤、いいから逃げろ!」


 ドーンという音がした。

 道彦は知識の泉が破壊されたことを確信した。

 次の瞬間、勇者の墓が崩壊していく。

 壁はぼろぼろと崩れていき、床がめくり上がる。

 そんな状況でもキムの肉は消えず増殖していた。


「道彦! お前キムは消えるって言ってたよな!」


「まあ、なんだ……間違ってた」


「道彦ー!」


 もはやキムを止めるものはなかった。

 崩壊する勇者の墓を肉が埋め尽くしていく。

 だが以前のように道彦たちを追ってくるだけの意思はもはや感じられない。


「道彦! 勇者の墓の出口から逃げるのか?」


「違う! 入り口から逃げるんだ! とにかく全て逆らうんだ!」


 道彦たちは必死に入なってり口に向かう。

 道彦たちはなんとか無事に勇者の墓を脱出した。


 道彦たちが自動車に乗って逃げ出すとキムの肉は増殖し勇者の墓からあふれ出した。

 そのまま肉が勇者の墓を飲み込み、バキバキという勇者の墓の断末魔が聞こえた。

 道彦たちはトラックに乗り込み一目散に逃げた。

 外にはキムの仲間たちがいたが、すでに知性はなくほどなくキムの肉に全てが飲み込まれた。


 軽トラックの荷台で道彦はかつてキムだった肉の塊を見ていた。

 次々と肉は世界を喰らい増殖していく。

 その姿は癌細胞そのものだった。

 道彦はこれからどうするのだろうと

 轟音が響いた。

 飛行機が飛んでくるのが見えた。

 飛行機は遠くにあるキムだった肉へ一直線へ飛んでいく。


「なんだあれ?」


 道彦が指をさす。


「ああ、爆撃だよ。連絡したら、韓国兵がキムみたいな化け物に変わっているってさ。こちらの世界にやってこないように爆撃が開始されたらしい」


 道彦たちの車からミサイルが爆発するのが見えた。

 それはまるで怪獣映画のようだった。


「肉を焼きまくって小さくしてから液体窒素で凍らせて焼却場に運んで焼却処分するらしい。さすがに肉を全て灰にしてしまえば復活しないらしい。もう試してうまく行っているらしいよ」


「へえ……」


 本気を出した人類がコストを考えずに怪獣と戦う。

 それを見ながら道彦は山岡に言った。


「山岡さん……あの悪いんだけど、報告してくれないかな。たぶん勇者の墓はあれ一つじゃない。いくつもあるはずだ」


「え?」


「これから全世界と勇者の墓との戦いが始まる……と思う」


「な、な、な、なんだって!!!」


 山岡の叫び声が響いた。



 道彦はその後、家に帰還することができた。

 再開した両親は泣いていた。

 結局、横っ腹に爆弾の破片やらがまだ残っていることが判明し再手術になった。

 傷跡は酷く、形成手術でも完全に取り除くことはできないだろうと言われたが道彦はそれでも構わなかった。

 傷は服を着てしまえばわからないし、道彦自身は傷をそれほど醜いとも思えなかった。


 あれから世界は良い方にも悪い方にも変わった。

 戦争が始まったのだ。

 それは異世界の人類との戦争ではなく勇者の墓との戦争だった。

 この人類以外との戦いはどん詰まりだった世界経済を復活させた。

 戦費に糸目をつけない戦争でかつてないほどの大量の消費が起こったのだ。

 さらに勇者の墓から持ち帰った未来の道具で文明は驚異的なスピードで発展を遂げていた。

 今まで投資に不適格だった国にまで富は行き渡り、各地で起こっていた内戦は終結し、世界最貧国と言われていた地域の平均寿命は上がった。

 韓国と北朝鮮以外はこの消費を歓迎した。

 韓国が歓迎していないのには理由がある。

 戦いを始めたのは韓国なのだから韓国が責任を取るべき。

 血を流すのは韓国である。

 国連ではそう結論づけられた。

 韓国は兵士を差し出し永遠に戦う。

 もちろん足らない分は各国から兵士が派遣されたが、韓国軍が一番危険な場所に派遣される。

 それによって上がった利益は世界で分配された。

 どんなに血を流そうとも報われない。

 ブラッドダイヤモンドなどという甘いものではない。

 自業自得とは言え日本軍にされたと主張する搾取よりも過酷な搾取を受けることになった。

 北朝鮮も悲惨だった。

 完全に無視されたのだ。

 最初からいなかったように扱われ続けたのだ。


 韓国はかつての日本と同じように韓国には自虐史観が植え付けられ、韓国や北朝鮮を貶める発言は先進的でリベラルとされ、それに疑問を持つ意見は無職で無教養な極右の妄言と片付けられた。

 国教であるはずの反日教はたった数ヶ月で「世界のために死ぬことは罪民族が天国に行くための切符を買うこと」という極端なものへと変貌した。

 かつての日本への工作が自分たちに降りかかった形だ。

 これには日本は眉をひそめたが抗議はしなかった。

 関わりたくなかったのだ。


 キムたち化け物は当初こそ恐れられていたが、馴れてしまえば対処が早かった。

 肉を焼いたら凍結させて焼却場へ。これだけで充分戦えたのだ。

 まだ韓国軍の死亡率は高いままだが、それでも戦えるというのには希望があった。

 幸いなことに異世界では勇者の墓自体が信仰の対象ではなく勇者そのものが信仰の対象だったため、勇者の墓の破壊はそれほど致命的な軋轢は生まなかった。

 実際、門や勇者の墓は何者かが作ったデバイスでしかなかった。

 それ自体に漠然とした意思はあるが、神そのものではないし、未来の道具を使うというアイデアも生まれなかった。


 異世界の住民いは移民をする権利が与えられた。

 真面目で勤勉な彼らはどこの国でも喜んで受け入れた。


 道彦の立場は微妙なものだった。

 パコ大統領が道彦に勲章を授与。

 兵士を殺したことまで正当化され全ては有耶無耶になった。

 そのせいか大麻の摂取まで含めて全ての罪は不起訴処分になった。

 ところが左翼側は道彦の起訴を検察審査会に請求。

 起訴議決がはねつけられて恥をさらした。

 それでも彼らはあきらめずに道彦の救助に使った金が不当だと大騒ぎしている。

 その醜悪な姿にますます人が離れていっているようだ。

 マスコミは相変わらず醜悪だった。

 道彦が帰ってくると赤日や冥日はしきりにネトウヨだの軍国主義者だの人殺しだのと好き放題道彦を追いかけ回した。

 日弁連は道彦のこの状況にだけ人権救済申立てをはねつけた。

 これに関しては赤日や冥日の記者や左翼勢力が覚醒剤の所持で大量に逮捕されることで沈静化した。

 危機を察したマスコミは手の平を返し「異世界と日本を繋ぐ親善大使」と道彦を褒め称えた。

 海外のマスコミが、報道や人権部門の賞を道彦与えることを提案したが、道彦は断った。

 だがすかさず遠藤が勝手に道彦と共同で賞を受賞した。

 不器用な道彦に比べて遠藤は世渡りが上手なのだ。


 そして道彦は半ば強制的に勇者として外交官の真似事をさせられるようになった。

 千代田区のビルの一室にオフィスを設けられ、そこで臨時の大使館が作られた。

 韓国軍の虐殺から生き残った異世界の軍人や外交官が勤める本格的なものだった。

 そこのお飾りとして働くことになったのだ。

 左翼が襲撃した高校は廃校になった。

 しかたなく道彦は山岡のコネで千代田区の学校に通いながら大使館でも働いている。

 要するに隔離だった。だが道彦には不満はない。

 遠藤も同じ学校に行き大使館でも働いている。

 テレビにもよく出演している。

 同じく大使館スタッフのアリアとも仲が良いらしい。

 フィーナはだけは少し違った進路についた。

 医療を学ぶために海外留学したのだ。

 この世界の医術と異世界の技術交わるとき、どういった変革が起こるのだろうかと道彦は楽しみにしている。


 道彦は大使館のオフィスでテレビを見ていた。

 景気の良いニュースばかりが報道されている。

 株に投資しろと銀行や証券会社から電話がよくかかってくるくらいだ。

 実際に景気は良いのだろう。

 ニュースが切り替わる。


「パコ大統領に死刑判決が言い渡されました」


 あのだけは景気の悪いニュースばかりだった。

 彼らは全てを人のせいにすることを選んだ。

 今では全ては北朝鮮の陰謀とまで公言している。

 世界はそんな彼らの言葉を信じなかった。

 いや彼らの意見などどうでもよかったのだ。

 彼らは未来永劫、世界に使い潰されるのだろう。


「道彦様。書類にサインを……ってまたサボりですか! もう仕事しなきゃダメですよ!」


 エレインが道彦を叱った。

 あれからエレインは日本にくることを望み、そのまま道彦のアシスタントをしている。

 最初は絶対服従の人形のようだった彼女もだんだんと普通の女性のようになっていった。

 道彦はそんなエレインの方が好きだったが、気恥ずかしくて言えないでいる。

 だからこの時もごまかした。


「なんの書類?」


「また異世界での撮影の依頼です」


「韓国軍は撮らないことを明記してある?」


「はい。もちろん」


 プロパガンダ以外の何者でもなかった。

 それでも道彦は異論を挟む気はなかった。

 彼らを好きになる理由もなければ助けてやる義理もないのだ。

 世界は誰かの犠牲で幸せになっている。

 それが韓国の番だったのだろう。

 道彦はそう結論づけた。


 道彦はサインをするとはんこを押した。

 そうだ一度聞いてみなければ。


「エレインちょっといいかな?」


「はい。どうされました」


「ぼくはあのとき正しい選択をしたかな?」


「わかりません。でも最良の選択をしたと思います」


「そうかな?」


「ええ。最良だと思います」


「ありがとう」


 道彦は書類をエレインに渡した。

 道彦は勇者ではなくなった。

 だがそれでも人生は続く。

 世界もまた形を変えながら続くのだ。

感想の返信コーナー


>俺的


うわーお。本当に晒されてた。

コメントが「くっさ」で埋まってますね。

ちゃんと内容を批判している書き込みがほとんどない……

はっきり言って右翼成分ないんですけどね。

嫌韓に関しても「アメリカ軍と日本軍は悪く書いても良くて韓国軍はなんで悪く書いちゃダメなんだよ」って話ですし。

ヘイトスピーチなんて一つもありませんよ。

本気で嫌いなのはマスコミだけですよ。

そもそも右翼の定義ってどうなった?


>ゲートの擁護のための作品


違います。

文句のつけ方が気に入らなかったから韓国人が言うような作品を韓国を悪役にして書いただけですよ。

ゲートに文句をつけること自体は別に構わないんです。

商業作品ですしいろんな意見があるでしょう。

この作品だって「つまらねえ」とか「文章がゴミ」とか好きに言っていいんですよ。

ただ反論はします。


あくまで私が気に入らないのは文句のつけ方です。

日本人だから自衛隊は悪く書かなければいけないって、これこそ人種差別なわけです。

じゃあお前らが望んだ作品をお前ら悪役にして書いてやるよってだけです。


はっきり言って悪役はアメリカ軍でも旧ソ連でもよかったんです。

アメリカ軍だったら戦争の悲惨さだけの話にしたとは思います。


最終話も戦争には賛成もしてなければ反対もしてません。



最後に。


藤ゴン


さんざんご迷惑をかけて入院まで追い込んだ藤原ゴンザレス先生。

ごめんね。


読者の皆さん


最後まで読んで頂きありがとうございます。

第二部は失敗した感が激しいですが、生まれて初めて書いたにしてはよくできたかなあと自画自賛しております。

次もなにかネタがあれば書こうと思います。

最後までありがとうございました。

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