宣戦布告
韓国国防長官の演説が全世界に向けて中継されていた。
長いうえに意味不明なのでぜひ読み飛ばして欲しい。
「いま韓国を守るという国民みんなの決然たる意志と団結、そして軍の確固たる愛国心がどの時よりも切実だ。これは薄汚いジャップの極悪な対韓国政策が破綻したことに対する断末魔の悲鳴だ。薄汚いジャップを殺し尽くし日本列島を焼き尽くすことが慰安婦おばあさんの何よりの望みだ。我々はジャップを許さないし、我々の生活が苦しいのも、我々の社会の競争が厳しいのも、我々の年金が消えたのも、私の糖尿病も、甥っ子が事業に失敗して破産したのも、孫が受験に失敗したのも、嫁が出て行ったのも、初恋の相手に相手にされなかったもの、全て、全て薄汚いジャップの陰謀なのである! 今、韓国の企業は存亡の危機を迎えている。それもジャップの悪辣な陰謀である! あの悪魔は我々から言語を奪い、対馬を奪い、オリンピックの金メダルとノーベル賞を奪ったのである! 先の大戦で韓国が被った損害、慰安婦40万人(最近倍に増えた)、強制徴用者5000万人(当時の総人口越え)、戦死者3億5000万人(1920年国勢調査時の総人口は約1700万人)。焼き尽くされた田畑は総面積1,000,000㎢(朝鮮半島の総面積は220,800㎢)。奪われた数々の文化財。その数61万4090点(桁が増えた)。もはやジャップを根絶やしにすることは全人類普遍の真理なのだ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! ジャップを殺せ!」
いつの間にか倍に増えた慰安婦。
適当すぎる数字。
通常の商取引で手に入れたはずの作物。
日本と朝鮮半島は戦争をしていないし、そもそも根拠不明の謎数字。
普通に売買や贈与の記録がある文化財。
なのに理不尽な略奪の言いがかり。
しかも数字がいい加減。
さらには差別用語使いまくりだ。
これらは通常の国なら「侮辱である」と抗議するところだろう。
だが日本は今まで抗議してこなかった。
程度が低すぎて相手にしたくなかったのだ。
それに対する彼らの思考は単純である。
反論しなければ認めたのと同じことだし、反論すれば差別なのである。
つまり日本は反論してはならないし、言いがかりを鵜呑みにせねばならないのだ。
これは彼らの信仰であり絶対の真理である。
ゆえに韓国国民はこの言葉に興奮した。
子供のころから夢見ていた日本人皆殺しという人生の目的が叶うのだ。
「むくげの花が咲きました」のようなスカッとするシナリオが今実現しようとしているのだ。
それが反日という信仰だったのだ。
日本人を抹殺すれば国連からも褒められるし、全世界から賞賛と感謝の意を送られる。
だから日本を滅ぼそう。
それが韓国の民意だった。
「我々は日本に宣戦布告をする!!! これは我が民族半万年の歴史の悲願。世界が認める聖戦である!」
※韓国の建国は1948年である。(大韓民国樹立宣言日を基準とする)
拍手、歓声、歓喜の叫び。
自称元帥はこの日、半万年に及ぶ韓国の歴史の中で伝説を作った。
◇
長崎県対馬市。
言わずと知れた韓国が侵略を狙っている島である。
自衛隊はまず先にここにやってくることを警戒して住民の避難のために部隊を派遣していた。
戦闘より住民の命。
非難されることはないだろう。
だがおかしなことにそこは今緊張に包まれていた。
「自衛隊はー。いますぐ対馬から出て行ってくださーい!」
「出て行け! 出て行け! 出て行けー!」
対馬市民でもない平和団体がシュプレヒコールを上げる。
街宣車の屋根を壇上として社会主義党の女性議員が演説をする。
「みなさーん! 自衛隊は皆さんを守りませんよー!」
「そうだそうだ! 自衛隊は悪の軍隊だ!」
「世界で一番平和的な韓国軍が来てくれますよー」
アフリカや南米諸国で奴隷型プランテーション農園を経営して暴動まで起こされている国が何を言っているのだろうか?
「日本が大人しく島をあげれば日韓友好が実現しますよー! ねえ有川先生」
先日の大暴動から運良く生還を果たした有川議員が壇上に上がった。
「皆さん。私たちに逆らうものは全てネトウヨです。韓日友好のために頑張りましょう!」
「ネトウヨを殺せー! 殺せー! 殺せー!」
有川の狂ったスピーチを暴力的なシュプレヒコールが煽った。
だがこの狂ったデモも長くは続かない。
「うるせえボケが!!!」
日に焼けて顔が茶色くなった漁師たちがデモ隊を取り囲む。
「てめえら失せろ! なんだテメエらは、韓国韓国韓国韓国。恥ずかしくねえのかよ!」
「みなさーん! ネトウヨですよー!!!」
すでにネトウヨの定義すらあやしい。
すでにネトウヨは森羅万象全てを表す便利な言葉になっていた。
「みなさん、あの人たちのアレはいつものことですから……本土に避難してください」
ニコニコとした自衛官が漁師たちをなだめる。
「怒らないのかい?」
「いつものことですから」
漁師たちは隊員の顔にくっきりと浮かぶ苦労を感じ取って、
「ありがとう」
と一言だけ言った。
こうして住民たちの避難は着々と進む。
だがデモ隊はそんな自衛隊員に罵声を浴びせる。
「死ねよ! 死ねよ! 死ねよ!」
一通り罵声を浴びせるとデモ隊はお互いの腕を組んで人間の鎖を作った。
「韓日友好ー! なんて素晴らしいのでしょうか! さて今度はイ先生のスピーチがあります!」
バーコード型の髪型をした男が街宣車に上がる。
有川と握手をしてマイクを受け取るとスピーチをはじめる。
「チョッパリどもは皆殺しだ!」
「皆殺し! 皆殺し! 皆殺し!」
完全に主張は狂っている。
だがデモ隊を撮影するテレビクルーはそうとは取らなかった。
日本人は絶滅すべきだ。それが赤日の社是である。
彼らの言っている事は絶対の真理なのだ。
「だからお前らも死ね!」
イが外套を開いた。
そこにはダイナマイトが巻き付けられている。
「イ先生……なにを……」
有川の顔が恐怖で歪む。
「薄汚いチョッパリどもよ! 我が身を祖国のために捧げよう!」
「ひいいいいいいッ!」
有川は背中を見せて逃げようとした。
聞いていない!
なぜ世界で一番平和的な世界最優秀民族がこのような暴力的な行為に出たのだ!?
なぜさんざん韓国、北朝鮮に尽くしてきたこの有川がこんな目に遭うのだ!
許せない。それもこれもネトウヨの陰謀だ。
「マンセー!!!」
「撃てー!」
男が叫ぶのと同時に自衛隊員が一斉射撃した。
だが遅かった。
ダイナマイトが破裂する。
ダイナマイトと一緒に持っていたベアリングの玉や釘がデモ隊に突き刺さる。
釘や玉が突き刺さながら爆発で飛ばされた有川が街宣車から落ちる。
アスファルトに頭を打ちめきりという音が有川の頭の中に響いた。
耳から血が飛び出し、目からも血が流れ出た。
体は動かず、自分の吐いた血で喉が詰まる。
苦しい。
だが神経が切れているのか叫び声も上げられない。
怖い。
死が怖い!
だがだんだんと目の前が真っ暗になってくる。
チョッパリを絶滅させねば。
どうにかしてこの日本へ復讐せねば……
力を振り絞ったが指先一本すらピクリとも動かない。
そして闇が有川を包んだ。
最後にぐうと喉から音を出し有川は息絶えた。
死亡者20名。重軽傷者50名の大惨事だが赤日はなぜか「右翼系市民グループによる大暴動。住民20名死亡」と書き立てた。
有川先生へのお仕置きを忘れてました。
裏切られ死亡と逮捕から死刑とどちらがいいかなと思ったのですが、エンディング的に蛇足だなあと思ったのでここで退場させました。
歴史的にも売国奴の末路はたいてい悲惨ですね。
また感想欄の削除が行われたそうです。
例のスパムのようですね。
そろそろランキングから消えますが、あと一週間くらいで完結まで書けると思います。
現在空白除く7万字まで書きました。
平和とか書きまくってますのでSAN値がガリガリ削れてます。
では感想コーナー!
>なるほど、では韓国国内で親戚の原発から放射能が漏れてる云々は正に神罰なわけだw
自然放射能も多いみたいですね。
>エルフと韓国人のハーフ←のちのゴブリンである
ぬお、最後のネタばらしが!
もうちょっとひねる予定です。
>ムクゲ~を読みきった作者さん
私も途中だつら……いえあの独特の文章が……無理……
>……もう停波でいいんじゃね?
せっかく制度があるのですから一度適用してみればいいと思いますよね。
法律の死文はよくありませんよね。
>ネットうよ きもい~
ネトウヨの定義がマジでわからない……
>外患誘致罪
あの法律って結構成立要件が難しいんですよねえ。
もちろん出しますがラスト近くになると思います。




