表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界最優秀民族が異世界にやってきました  作者: mk-3
第一部 世界最優秀民族が異世界にやってきました
15/37

二日目インタビュー

 二日目の放送は血液を失って黒ずんだ顔の道彦の顔のドアップから始まった。

 いわゆる死相である。


「おはようございます。鈴木道彦です。血を失いすぎて死にそうです。この世界には輸血の技術はないそうなのでヒールをかけてもらってます。血や肉の元になる肉を食べればかなり高い確率で死なないそうです」


 いきなりのヘヴィな発言に視聴者はドン引きした。

 実は爆発で道彦の腹に突き刺さった木片が致命的だった。

 ヒールをかけたがその前にかなりの血液を失っていた。

 それでもほとんどが助かるのだからこの世界の魔法は素晴らしいものに違いない。

 道彦はカップに村人から渡された岩塩の欠片を入れるとお湯を入れ飲んだ。

 赤い岩塩からはなんとも言えないにおいがした。

 一言で言えばくさい。

 卵の腐ったというか牧場の牛舎のにおいというかとにかく耐えがたいにおいだった。

 だが道彦は我慢した。

 聞きかじりの知識だが、水分と電解質を取っておくべきだと思った。

 少なくともヒールは効いている。

 あとは時間を稼げばいいはずだ。

 まだお腹がすく程度には元気は余っている。

 人まで殺したのだ死んでたまるものか。

 道彦の目はギラギラとしていた。

 道彦が画面に現れると怒濤の勢いでコメントが投下される。

 明らかに昨日より英語のコメントが増えていた。

 幸いにも英語のできる親切な人が翻訳をしてくれていた。

 せっかくなので道彦は翻訳された中から質問に答えることにした。



 Q.服を代えたんですか?


「血で汚れてしまったので捨てました。下着も全部。今は兵士からはぎ取った服と親切な村の男性に下着を借りてます」


 道彦のシャツと兵士から奪った上着とズボン、それにトランクスはべったりとした血を吸い込んでいた。

 異世界に全自動洗濯機と中性の衣類洗い洗剤があるはずもなく、しかたなく廃棄処分にした。

 はぎ取った軍服とブーツは使うことにした。

 さすがに奪った靴下をはくのは嫌だったので結局、靴下と下着は村人から借りたものである。

 日本でもわりと最近までノミやシラミなどが多かったと聞いたことがある。

 今でもアジアの国の安宿ではシラミがたかったベッドで宿泊することになるそうだ。

 そう聞いていた道彦は心配になって服をよく調べたがそんなことはなく安堵した。

 下着と言っても腰に巻き付ける布である。

 ふんどしとはだいぶ違い、最初はどうやって履くのかわからなかった。

 そんなことを説明するとかなりウケたようだった。



 Q.どんな武器を使っていますか?


 道彦はその質問に答えることにすると剣を抜いた。


「まずは剣。鉄製だと思います。全長70㎝くらいかなあ。韓国兵が持っていたナイフの方が切れ味はいいです。結構な重さですが骨に当ると刃が滑るし、肉も固くてなかなか斬れません。家で使っていた穴あき包丁の方が斬れ味はよかったなあ」


 道彦はしみじみと言った。

 CMで見たが現代の技術で作った包丁なら固い骨も太い電線もスパスパ斬れる。

 現代の包丁と比べてこの世界の剣は叩き斬るものなのか道彦の腕力と技術では戦闘不能にするには多大な労力が必要だった。

 道彦がしみじみと語るその生々しい発言に多くの人が一瞬フリーズした。


「次は拳銃。韓国兵から奪いました。名前とかはわかりません。手榴弾もいくつか手に入れました。それと……グレネードがついた小銃ですが10キロ以上あって重すぎて僕では使えません。それに昨日の兵士は暴発事故で戦闘不能になりました。重いし死にたくないので小銃は持っていくのをやめました」


 重いから持っていかない。

 その決断は賢明だった。

 いつの時代の戦争でも重量は大きな問題だった。

 重い荷物を持てば機動性は落ちるし、すぐに疲れてしまう。

 どんなに最先端の兵器であっても通常のアサルトライフルの二倍強の重量の兵器では初動は遅くなるし、行軍も撤退にも影響が出るのだ。

 当然生死を分けることにもなる。

 しかもグレネードの暴発事故までついてくる。

 持っていくのは自殺行為だった。

 ミリタリーマニアを装った何者かが一生懸命「そんなことはない」と主張していたが誰も相手にしなかった。


 Q.欲しいものはありますか?


「医薬品です。怪我をした子供たちがたくさんいてフィーナのヒールでとりあえず血は止めたんですが……死にそうな子が数人います。他の子も感染症が恐ろしいので抗生物質が欲しいです。大麻だけだと怪我の位置によっては鎮痛効果が低いので痛み止めも……」


 あくまで道彦は自分以外に必要な物資をあげた。

 特に考えてのことではない。

 自分に言われているような気がしなかったのだ。

 少し間を開けると道彦は言った。


「いや薬より……いっそお医者さんが欲しいです。いまこのキャンプには死にそうな子供が何人もいるんです。夜中に1人亡くなったそうです」


 そう言うと道彦はテントの一つに歩いて行く。

 テントの前で警備をしていた村人に道彦は声をかける。


「いま中に入っても大丈夫ですか?」


「もちろんです。道彦様」


 道彦は村人に会釈をしてテントを開ける。

 中には5、6歳くらい思われる子供が横たわっていた。

 それは誰も目から見ても酷い有様だった。


「彼女は韓国軍に酷いことをされて、僕がわかるだけでも骨折に打撲にナイフで裂かれた傷に……内臓も痛めているんじゃないかなと思います。僕ではこれ以上のことはわかりません。ただの高校生ですから。フィーナが血を止めましたが意識は回復しません。他にも酷い怪我をした子供が何人もいます」


 なるべく静かに道彦は言った。

 このとき道彦はあきらめていた。

 助かるはずがないと。

 死を見たくない。

 逃げ出したいとさえ思っていた。

 殺人を犯してなお死というものが怖かった。

 見ている視聴者も嫌な気持ちになっただろう。

 道彦は目的を果たすとそっとテントから出た。



 Q.道彦さん個人はなにが欲しいですか?


 その考えはなかったので道彦は少し考える。


「僕が個人として欲しいのは迎えに来るヘリ……というのは無理として充電用の装置にカメラに、できれば護身用の武器に……あと大麻以外の痛み止め……」


 「大麻以外の~」は非常にウケた。

 画面が「w」で埋め尽くされる。

 道彦は自虐的に笑ったが実は惨めな気持ちだった。

 欲しいものはここにあるもの以外の全てだ。

 清潔な服に、ミネラルウォーター、ふかふかの布団に、ジャンクフード……なにより安全が恋しかった。

 うまくいけば韓国軍は虐殺を止めて道彦を保護しようとするかもしれない。

 いや、それは甘い考えだ。

 道彦は彼らの仲間を殺しているのだ。

 躍起になって道彦を殺そうとするに違いない。

 仮に保護したとしても誰も見てないところで自殺に見せかけて殺されるだろう。

 道彦は昨日よりも確実に死に近づいていた。

 だから思わず弱音が漏れた。


「でも……たぶん見殺しにされるんだろうなあ。遠藤の話だと有川議員が僕を殺せって言ってるみたいだし。あの人、中東で捕まった人の情報をイスラム国に密告する書き込みをリツイートしたんでしょ。今ごろ僕の家族の情報とかも売られてるんだろうなあ。家族が人質に取られたらやだなあ……」


 この言葉は世界中に拡散された。

 有川事務所には抗議の電話が殺到する。

 もちろん有川は「全てネトウヨの陰謀だ」とわめき立てた。

 だがそれだけでは終わらない。

 有川の所属する政党「民主主義クラブ」に抗議の電話が殺到したのだ。

 もちろん民主主義クラブもネトウヨの陰謀であるとわめき立てた。

中途半端なのでもう一話投稿します。


前回の李明博については竹島上陸に関しては争いのない事実ですしその行動に対してなんの評価もしてませんので実名で出しました。


>リアルじゃない


これはノンフィクションじゃないですよ。

いやかなり真面目に。

冷静に考えると現実にゲートが出現したら世界の共有になるんじゃないかと思います。

アメリカが調査したがらないわけがない。

そこで福音派の宣教師と宗教系のNGOとバカな企業が無茶やってテロが発生すると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ