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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

殺戮探偵タヌキチちゃんリターンズ

作者: のこ

タヌキチちゃんの名推理をお楽しみください。

※推理はしません。

 ここはいろんな動物が楽しく仲良く住む森、ハラハラズーだよ!


「ぎゃあああああーーーーー!」


 森に響き渡る男性の悲鳴は渋く重低音の効いたとてもいい声。この声はタツノオトシゴのカイバさんだ。何が起きたんだろう。


 でも、悲鳴を聞いても誰も助けに来てくれないね。これもカイバさんの信頼の成せる技だね!

 どんなことがあってもカイバさんなら何とかしてくれる。そんな安心感のあるタツノオトシゴなんだ!

 既婚者だしね!


 お、誰かがカイバさんのところへ向かったぞ?

 あれは僕たちのヒーローにして森の破壊者! タヌキのキ○ガイ、タヌキチちゃんだ! 最近視力が落ちてきていろんなものにぶつかっちゃうんだ。ここ三日で森の大半がなぎ倒されたのは楽しい出来事だね!


「うおおおおおおおお、男の声! 男の声が聞こえたわよおおおおおーーーーーー!」


 より一層増えた体重のおかげでドスドスと鳴る足音とメキメキとなぎ倒されていく森がとっても楽しい音楽を奏でるよ♪

 それにしてもタヌキチちゃん、発情期だからって既婚者を狙っちゃだめだよ。とんでもない額を払わないといけないかもしれないからね!

 あ、でも、この森じゃあそんなことは関係なかったね! この森は弱肉強食。強いものが絶対正義だから、タヌキチちゃんは最強だ!

 きっと今回こそは殺――おっと、頑張ってね、タヌキチちゃん!


「声、声、声ええええええ! どこよおおおおおおおーーーーー!」


 一回の悲鳴じゃ完璧にはカイバさんの場所は特定できなかったみたいだね。でも安心だ。ほら、タヌキチちゃんが赤い斑点のある鼻をひくつかせているぞ! タヌキチちゃんの嗅覚は犬の百倍はすごいんだ! たとえ音が聴こえなくても匂いで辿るのはわけないね!


「あっちから男の匂い!」


 ぎゅるりと首だけ回転させて興奮のあまり涎が飛び散ったよ。

 飛び散った涎が煙を上げているね。今日の朝食は硫酸かな? 硝酸かな? 脂肪を直接と化そうとするタヌキチちゃんはダイエットの鬼だね!


「男おおおおおおおおーーーーーーーーー!!」


 もうタヌキチちゃんたら節操ないんだから。折角の女子力も意味ないよ!

 タヌキチちゃんはすぐにカイバさんのところまでたどり着いたぞ! これで怖いものなしだ!

 

「カ、カ、カイバアアアアアアーーーーー!」


「う、うわああああああああああ!!」


 もう、タヌキちゃんたら、イケメンには目がないなぁ。カイバさんも盛大に悲鳴を上げているよ!

 確かにカイバさんはイケメンだけど、既婚者だよ!? 襲っちゃったら大参事! チクッと定型抗精神剤の注射が必要だ!


「ん、ふぅ……」


 お、どうやらタヌキチちゃんが落ち着いたみたいだぞ! これで事件もすぐに解決だ、やったね!


 さぁ、事件の現場に着いたぞ。カイバさんはどうなっているのかな。


「お、俺の子どもがあああああああああーーーーー!」


 もう、今回は登場人物が叫んでばかりだ。僕は「!」を抑えようと思うね。

 というのはおいといて。

 どうやらカイバさんの子どもに何かあったみたいだ。

 あ、いつもカイバさんのお腹の中にいるはずの子どもがいないぞ?

 ま、まさかカイバさんの子どもが誘拐されてしまった、という事件なんじゃないかな?

 まぁ、そんな簡単な事件、タヌキチちゃんなら即解決だね。即決だね!


「あ、あなた! 何があったの!?」


 カイバさんの奥さんのタツコさんだ!

 タツコさんはカイバさんの悲鳴を聞いて駆けつけたみたいだ! 流石奥さんだね!


 おや、奥さんのお腹から何ひょろひょろと……。


「あああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


 タヌキチちゃんがひしゃげた拳を全力でタツコさんを振りぬいたぞ! これにはタツコさんもひとたまりもない! 文字通り砕け散ったぞ!

 タヌキチちゃん、もしかして嫉妬かな?


「タツコおおおおおおおおおおおおおおーーーーー!」


 突然のことにカイバさんはなす術もなく悲鳴を上げるだけで、どうしようもないね!

 タヌキチちゃんに至っては満足いったようで定型抗精神剤の注射以前に落ち着いた様子だ!

 これで少しは物語が進む予感!


「そ、そんな、タツコ……」


 カイバさんが奥さんの亡骸を丁重に扱っているね、粉々だけど。でも、その奥さんの肉片の隙間からカイバさんとタツコさんの愛の結晶がひょろひょろと顔を見せているぞ。

 それを見たカイバさんは驚いているね。

 それよりも事件だ!


「タツコ、お前……」


 もう、カイバさんは一人で納得しちゃっているみたいだけど、もしかして事件解決かな?

 あ、タヌキチちゃんがぬるりとカイバさんを見たぞ。まさに獲物を狙う狩人だね!  どんな男もイチコロだ!


「んああああああーーー!!」


 わぁ、タヌキチちゃんが気が狂ったようにカイバさんに襲い掛かったぞ! 危ないカイバさん!

 あぁでも、残念ながら僕の叫びが届く相手はすでにいないみたいだ。タヌキチちゃんの早業テクでカイバさんが逝ってしまったよ。

 まさか食べてしまうなんて……物理的にだけど。すごい肉欲だ!


 みんな、今日の教訓を教えるよ?

 発情期のタヌキチちゃんを見たときは迷わず死のう!


 次の名推理も待ってるよ! タヌキチちゃん!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 殺戮探偵の面目を躍如したと思います。すべてを凌駕する発情期。タヌキチさん、この上なくフリーダムだなあ…
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